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Posted by ブクログ
これは最高傑作?
正直前半というか、最初の印象は、
「読みづらい本だな」
というものだった。
話の展開も単調だし、読むのやめようかな?面白くならなそう…
と思っていました。
でも無理やり?読み通していくと、
そう、保管していた補給物資が、シロクマにことごとく食い荒らされていた、というあたりから、見事に物語に引き込まれていた。
「事実は小説よりも奇なり」
その言葉を地で行く展開。
探検を共にしてきた犬を食わなきゃならないという切迫した現実。
なにより最初の驚きは、
犬が人糞を食べるという…
犬が著者の排泄した糞を出したそばから食べ始め、肛門をなめ…
腹が減っているから?そもそも犬は糞を食べる習性があるんですね。知らなかった。
あとはなんと言っても、
極夜から太陽を拝む体験は、人間の原初体験に近似してるという記述。
著者が実際に体験したことなんだから、確かなんだろうな〜。
ノンフィクションて、普段あまり読まないんだけど、こういうのも、たまにはいいね。
他の著作も読みたくなった。
掛け値なしで☆5です。
Posted by ブクログ
極限の状況での心理描写をこんなにも情熱的でありながら、美しくできる人は角幡唯介以外にいないだろう。
極夜の中を歩き、そこでの出来事や心理変化を見事に文章に落とし込んでいるため、最初から最後まで面白かった。
決して私はこんな探検は出来ないし、やろうとすら思わない。
だから、擬似的にも体験させてくれた角幡唯介には頭が上がらない。
『極夜行』に星座に関する挿話があった。
それは星空以外何もない状況下では星座を擬人化して捉えてしまうというものだ。
角幡唯介は極夜を歩いているうちに、星座の性格を見出した。
この経験から、過去の人達も同じように星座に対してストーリーを加えたのではないかという気付いたらしい。
角幡唯介にとっての物語では、ベガは織姫みたいな奥ゆかしい女ではなく、もっとエキセントリックな恐女として描かれている。
今度、私は山行をするのだが、星座を観察し自分なりの物語を作ってみたいと思わせる力がこの本にはあった。
『世界最悪の旅』という本の内容をこの本で紹介されたいるのだが、角幡唯介は死を当たり前として捉え始めた隊員に対して恐怖を抱いたらしい。
しかし、『極夜行』でも死を当たり前として捉えているような表現があり、私も恐怖した。
特に、犬が食べるものがなく自身が出した吐瀉物を再び食すシーンは鳥肌がたった。
極夜を歩く中で生まれるような精神の美を私は体験できるのか全くわからないが、なるべく見つけようと思う。
Posted by ブクログ
第15回本屋大賞ノンフィクション部門大賞受賞、大佛二郎賞受賞作品。
角幡唯介氏を知ったのは、YouTubeチャンネル『日経テレ東大学』でした。そこで自身の探検について語る内容に興味を惹かれて、本書を購入してみました。
本書は、グリーンランドのシオラパルクから北極点へ向かう最中での『極夜』にスポットを当てた探検記でした。
『極夜』とは、南極圏や北極圏で起こる太陽が昇らない現象で、三〜四ヶ月から六ヶ月間は闇に包まれます。極夜の反対は白夜といいます。
角幡氏を極夜へと駆り立てたのは、イヌイットの言い伝えで「お前は太陽から来たのか。月から来たのか」と、今から二百年前、初めて部族以外の人間に出会ったイヌイットが発した言葉だったと。この一言が著者自身の心の琴線に触れたそうで「極夜の世界に行けば、真の闇を経験し、本物の太陽を見られるのではないか」との想いから、犬と共に橇を引いて望む『単独行での探検』の実現に至ったとのことでした。
この探検の中では、著者自身の人生観や死生観、探検を共にした犬『ウヤミリック』との物語、更には極夜が明け『本物の太陽』が登った時に悟った、この探検の本当の意味付けが描かれており、展開が進むにつれて、僕自身のページを捲る指を加速させていきました。
著者は他にも探検記を出しており、僕ももう一冊別の探検記買ったので、またそのうち読み進めようかと思います。