【感想・ネタバレ】僕はロックなんか聴いてきた~ゴッホより普通にニルヴァーナが好き!~のレビュー

あらすじ

“孤高のカルト芸人”とも呼ばれる永野は芸能界きってのロックフリークであり、自身のYouTubeチャンネルで繰り広げる音楽トークも人気を博している。
本書はそんな彼の初書籍となるロック本だ。
これまでに音楽に何度も救われ、音楽に自分を投影してきたという彼が、独断と偏見、そして脱線を織り交ぜながら、愛すべきロックを語り尽くす。
表紙に刻まれたバンド名に反応した人は全編通してたっぷりと楽しめること必至。
“孤高のカルト芸人”としての永野しか知らない人にもぜひ読んでいただきたい、ロック愛にあふれた一冊だ!

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Posted by ブクログ

「すべて正しくてその通りですね、という〝イジっちゃ駄目な人〟っているけど、 U 2もそうなってしまった。慈善活動もたくさんしてるのに、なんか鼻につくし、ロックンロール感がなくなっちゃったんだよな。ロックの良さをここまで感じないバンドもなかなかいないと思う。 U 2は正し過ぎるから、 U 2の前でロックなことを言ったら「間違ってる!」と怒られそうなんだよ。」

—『僕はロックなんか聴いてきた〜ゴッホより普通にニルヴァーナが好き!〜』永野著

「トレント・レズナーを一言で言うなら「天才」だろう。普通、『ザ・ダウンワード・スパイラル』みたいなアルバムは出せないと思うんだよね。ここまで突き詰めてできない。ちょっとバランスを考えてみたり、耳当たりの良いもの入れてみたり、他の人の目を気にしてみたりするものだと思うんだけど、この人にはそれが一切ない。自分が良いと思ってることを追求しきっちゃうヤバさみたいなものを感じるんだよね。悪く言えばワガママ、やりたい放題なんだけど、それが凄い、格好良いと思えてしまう。」

—『僕はロックなんか聴いてきた〜ゴッホより普通にニルヴァーナが好き!〜』永野著

「正直言うと、自分の中にトレント・レズナーへの憧れはある気がする。そういう妥協しない感じもそうだし、キープしない、安定しない凄さもそう。ナイン・インチ・ネイルズとしてのバランスなんか関係なく、奥さんのマリクイーン・マーンディグとのユニットにがっつりハマったり、急に映画音楽にハマったり。僕ですら憧れるんだから、多分ミュージシャンならトレント・レズナーになりたい人はいっぱいいるんじゃないかな。自分の保身だとか常識から逃れられないミュージシャンたちに、トレント・レズナーはめっちゃ羨ましがられてるはずだよ。」

—『僕はロックなんか聴いてきた〜ゴッホより普通にニルヴァーナが好き!〜』永野著


「勉強をしなかった自分が悪いのだけど、当時の僕は自分の置かれた環境を憎んだ。学校が嫌で嫌で仕方なかった。普通、そういう奴は非行に走ったり、ヤンキーにでもなるのだろうけど、学校が進学校で制服もあったので、僕はヤンキーになれなかった。良い学校の生徒がそんなことやってもボコボコにされるだけだからだ。ヤンキーにもなる資格がないし、でも勉強もできない。中学時代の僕は孤独だったんだと思う。今この歳になって、なんでこんなに孤独を抱えているのだろう、なんでこんなに独りぼっちの気持ちでずっといるのだろうと思っていたけど、考えてみたら中学の頃からすでにそうだったのかもしれない。」

—『僕はロックなんか聴いてきた〜ゴッホより普通にニルヴァーナが好き!〜』永野著


「良い学校に通っていたくせに、なんか精神はイギリスの労働者階級の気分だった。よくわからなかったくせに、「これが叫びだ!」なんて思ってた。」

—『僕はロックなんか聴いてきた〜ゴッホより普通にニルヴァーナが好き!〜』永野著

「サウンドに関しても、楽器や言葉よりも音とリズムで感情を揺さぶる、という体験が初めてだった。音だけでこうくるんだ、というのが格好良いと思ったんだ。でもサポートのミュージシャンはなんかパンクっぽい格好でギターを弾いてるし。音楽的にはテクノなのに、ロックミュージシャンみたいな雰囲気があって、ライヴもパンクっぽかった。そういう意味では、予備校生みたいで格好悪いケミカル・ブラザーズや、アーティスティック過ぎるダフト・パンクより、わかりやすくて格好良く、テクノの間口が広がった感じがする。」

—『僕はロックなんか聴いてきた〜ゴッホより普通にニルヴァーナが好き!〜』永野著

「ちょっと思うのが、スウェードって、性が倒錯してるというのをウリにしていたんだよね。同性愛っぽいフリをしたりとか、歌詞も同性愛とか近親相姦とかそういうことばっかり歌っていた。今の時代は、 LGBTQの文脈って「多様性を認めよう」「みんなを認めよう」という方向だけど、スウェードの頃って「俺同性愛かもしれないよ?」というのが「俺、他人と違うぜ」という魅力に転化していたんだと思う。「認めてくれ」じゃなく、イキっていたというか。「気をつけろよ?俺、同性愛かもしれないぞ?」みたいな。あれがなんか、不健康な魅力だったよなと思う。今はもう無理じゃん、そんなバンド。怒られるから。時代が健康的になりすぎた。  だから、スウェードが醸し出していた妖しさって、今はもう難しい。倒錯しているのがウリだったのに、「認めよう」と言われてしまう。だから、ロックの表現が 1個潰された感じがするんだ。「僕は君のお兄ちゃんのベッドで ~」みたいなことを言っても、「まあそういうのもありますからね」って言われてしまう。今はもう、初期スウェードみたいなのがカッコつける場所がないのかもしれない。」

—『僕はロックなんか聴いてきた〜ゴッホより普通にニルヴァーナが好き!〜』永野著

「当時の僕は学校が滅茶苦茶嫌いだった。自分は勉強できないし、クラス担任の教師も嫌いだったし、凄く頭の良い男の子がクラスで何かの時間にフォークギターでビートルズを爪弾いてるのも嫌いだった。本当だったらクラスの時間に楽器やるなんて駄目なはずなのに、その子が弾くのは許される。なぜかアリということになっていた。おそらくその子が勉強も良くできる子だったからだろう。あと、朝、始業前に全校生徒で校庭を走らされるという時間があったんだけど、それも嫌いだった。そのときに流れていたのが、ビートルズの「オール・マイ・ラヴィング」や「ミッシェル」。本当にもう、ビートルズが嫌になってしまっていた。爪弾くのは許されるし、校庭は走らされるし。一体ビートルズとは何なのだ。もちろん良い音楽だというのはわかっている。でもその頃は、本気でビートルズのことが嫌いだった。」

—『僕はロックなんか聴いてきた〜ゴッホより普通にニルヴァーナが好き!〜』永野著

「そんなとき、奉仕部の先生が「本当に格好良いのはローリング・ストーンズだ」って話をしてきたんだよね。ちょっと変わった先生だったんだけど、ローリング・ストーンズのことをいろいろ教えてくれて、僕らはそれを「はあ」とか言いながら聞いていた。先生が言うには、『スティール・ホイールズ』をリリースしたローリング・ストーンズがツアーで世界を回り、初めて日本にも来るらしい。そして実際に、冒頭で書いた通りストーンズの初来日公演に日本中が浮足立った。」

—『僕はロックなんか聴いてきた〜ゴッホより普通にニルヴァーナが好き!〜』永野著

「歌詞も悪趣味で良い。もともと歌詞的にはマリリン・マンソンは好きな方で、性的に倒錯してるスウェードとか、スローガン連呼のプロディジーも好きだけど、マンソンの悪魔な感じもベタで好きだった。やっぱり、強い言葉が好きなんだよね、僕は。「昨日君に逢って ~」とか「夢に向かって ~」とかどうでもいい歌詞は好きじゃなくて、なんかバツン!と言ってるのが好きなんだ。」

—『僕はロックなんか聴いてきた〜ゴッホより普通にニルヴァーナが好き!〜』永野著

「僕は歌詞で、正しいこととかちゃんとしたことを言われるのが嫌いなのかもしれない。だから格好良いなと思ったんだ。すべて正しくて崇高でツッコむところが一切ない今の U 2なんかより、この「モブシーン」みたいな酷いのが好きなんだよね。」

—『僕はロックなんか聴いてきた〜ゴッホより普通にニルヴァーナが好き!〜』永野著


「ひとつ思い出したことがあって、昔、マリリン・マンソンが出演するイベントがカトリック教徒から猛抗議を受けたことがあったんです。「アメリカの悪魔崇拝者のバンド」なんて呼ばれていて、ちょうどその頃にマリリン・マンソンを知った友達が、もうドン引きしてたんです。本気で忌み嫌われて攻撃されちゃうバンドなんだ、って。キッスじゃないんだ、って。でも僕は、申し訳ないけどそういう〝本物〟感は好きなんですよね。」

—『僕はロックなんか聴いてきた〜ゴッホより普通にニルヴァーナが好き!〜』永野著


「音楽に普通は必要ないと思うんです。だからこそ、音楽に助けられるし音楽に救われる。「俺は子供ができて働いてそいつを食わせる。それがリアル」なんて歌う人もいます。凄く嫌な言い方をさせてもらうと、言い訳にしか聴こえないんです。自分の普通さをいいように言ってるだけにしか聞こえないんです。だけどロックには、本気の「無理」と「嘘」があります。それで行き過ぎて死んじゃう人が愛おしい。」

—『僕はロックなんか聴いてきた〜ゴッホより普通にニルヴァーナが好き!〜』永野著

「あるときから、サラリーマンの方が大変なんだよっていう風潮が始まったじゃないですか。「あのね、知ってる?  ステージでこんなことやってる連中より、サラリーマンやってて嫌なこと我慢して、嫌な言葉浴びて、それでも家族を食わせてる、そいつこそが一番ロックなんだぜ」って、僕やっぱり思わないんです。「え、今説教した?」みたいに思います。いつからそうなってしまったんでしょう。今、例えば「サラリーマンなんてやりたくねー」なんて絶対に言えません。そんなこと言おうものなら、「いやいや、どこにいてもね、何しててもね、表現ってできるから。みんなそうやってるから」とか返ってきます。いやわかるんだけどそれは、でも一回戻そうぜ、と思います。「下げたくない頭を下げて、いろんなものを必死で守るサラリーマンが、一番ロックなんだよ」って、いやロックじゃなくないですか?  ロックじゃないんですよ、偉いけど。凄く立派だけど、ロックではないんです。やっぱり、同性愛のフリして強く見せようとしたブレット・アンダーソンのほうがロックなんです。デヴィッド・ボウイのプロデュースを意味ないと断ったリアム・ハウレットのほうがロックなんです。」

—『僕はロックなんか聴いてきた〜ゴッホより普通にニルヴァーナが好き!〜』永野著



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2025年06月01日

Posted by ブクログ

これは良い本だ、、

"ロックは生き様"という彼の『好き』が沢山出てくるが、その理由が上手く時代を捉えてて面白かった

音楽が色んな意味で綺麗になってから、音楽はひとを救わなくなったのかも

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2024年08月10日

Posted by ブクログ

ミュージックバーでたまたま居合わせたお客さんとずっとロックの話で盛り上がってる感覚 
 
永野さんのパフォーマンス好きだったけど(特に性病ネタ)もっと好きになりました

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2023年06月11日

Posted by ブクログ

90年代のオルタナ、メタル、ブリットポップ等、ある意味とても捻じ曲がったリスナー視点から綴られたエッセイ。
永野氏のこれらの音楽への熱量&偏愛っぷりが感じられます。YouTube(永野チャンネル)では、さらに各バンドごとに掘り下げた濃い話が聴けるのでそちらもオススメです。

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2025年01月12日

購入済み

永野ファンとして

試し読みでミニモニのくだりで心を掴まれ高いけど購入しました。語彙力のある永野さんの文章(インタビュー形式なのかな?)にところどころに笑いが散りばめられ、サラッと読めました。名前しか知らないバンドが多かったので聴きながら読むのもさらに良さそうです

#笑える #アツい #深い

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2024年11月21日

Posted by ブクログ

なんかいいですね。
ねじれまくっていて。
芸風と同じです。納得できます。
少し好みは違うのですが、
大いに共感できてしまった。

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2022年03月01日

Posted by ブクログ

散々ロック聴いてきたつもりだけど、永野氏の解像度というか見方がいいなぁ。捻くれつつもこだわりが納得できる。

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2025年06月15日

Posted by ブクログ

永野isPunkだよ
解説とかもない。ただ永野のロックの思い出がひたすら語られる。直球で素直でそこがたまらなくいい。彼の深さはこの音楽から構成されているのだろうか。文字数少ないからこの2倍は欲しい。すぐ読み終わってしまう。最近歌手単位で曲を聴く人が少ないらしく、話題の曲を表面的になぞって聴く人も多いだろう(自分もそうだけど)一人の歌手を深く掘り下げて評伝なんか片手に読むのも悪くないかなと思わされる。

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2024年11月26日

Posted by ブクログ

どんな曲なんだろうと想像を掻き立てる文章。これを読んだおかげでひっさびさナインインチネイルズとレイジにまたハマった。

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2024年10月03日

Posted by ブクログ

最近YOUTUBEで永野の動画を見て面白かったので読んでみた。永野は自身の音楽の聴き方をダサいと書いている。ライブやクラブで触れて聞くのではなく、雑誌のすすめられているものをひたすら聴いていたらしい。その永野のおすすめを今更聴こうとしている自分は相当ダサい。

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2024年02月21日

Posted by ブクログ

自分としては、男臭さとは真逆の、ヤサグレ感が好きだった。 当時のロックリスナーは、ミュージシャンが不幸であればあるほど、自分を投影して、或いは物語として消費して、喜んだんだろう。 あいつはあいつで別の友達と仲良くやっていた コラージュとなって押し寄せる”拷問のような緻密な音“ 拷問されていて偶に水貰うみたいなマゾヒステリックな魅力がある 埼京線で『ザ・ダウンワード・スパイラル』はキツイんだよ 文化的土壌が異なるパンチラインをパクって思考に取り入れて、自分の思想にする。 日本でいうAOR(アダルト・オリエンデッド・ロック)、つまり角松敏生みたいなことだったんだな。 プロディジーは自分の音楽の為なら何でも利用するというドライさがある レベッカの「MOON」 コワルスキー ユー・ラヴ・アス ファスター デザイン・フォー・ライフ モータウン・ジャンク モニー・モニー スピード アップ・オール・ナイト クルージング・カリフォルニア シヴィル・ウォー パンク・ロック・クラシック トラッシュ ソー・ヤング メタル・ミッキー T T兄弟のリズムで猥褻を歌う ディス・イズ・ザ・ニュー・シット モブシーン ビー・アグレッシヴ ロックには自分よりもっとヤバい奴がいくらでも出てくるから、逃避になります。ロックはいくらハマっても励ましてきたりしないから、滅茶苦茶に生きられます。

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2022年10月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

普段から聴いているアーティストが多く掲載されているので手にとった。ここに書かれていて、知らないアルバムや知っているけど聴いたことがなかったアーティスト、アルバムに関心が湧いて手に取るようになった。著者は若い頃に色んなものを聴いて、それをダッと書いた。見方が独特なので、あまり共感するところはなかった。著者の考えもそれはそれ。ロックなのだとは理解しました。

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2022年01月30日

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