【感想・ネタバレ】大鞠家殺人事件のレビュー

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 大阪大空襲の最中に大鞠家で起こった連続殺人。その前にも一家の嫡男が行方不明になったり、軍服の男が突然現れたりと、「どうやってこれらの謎を解くのか?」という風に読んでいたが、終盤の謎解きで明かされたトリックや意外な犯人などにすごく驚いた。そしてその動機はものすごく悲しいものだった。新年を迎えて読むに相応しい一冊だった。また、作中に出てくる海外の古典ミステリーのオマージュも凝ってて良かった。今度はそれらの元になった作品を読んでいきたい。

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2024年01月07日

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昔の船場独特の風習や戦争からくる悲劇を、本格ミステリーに仕立てたのは新鮮だった。きな臭くなりつつあるこの時代に向けて書かれたようにも思えた。恐怖を利用したプロパガンダに惑わされないようにしないとね。

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2023年05月15日

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大阪の商人文化の中心である船場。
そのなかにある「大鞠百薬館」を築いた大鞠家の創業者の長男・千太郎が行方不明になったのは明治39年のことだった。
その後、長女が婿をとり昭和18年にはその息子である多一郎は陸軍軍医となり、嫁として大鞠家に入ったのは美禰子だった。
そこから大鞠家に次々と起こる殺人事件。

もうこの一族の摩訶不思議な事件に夢中になってしまった。
殺人事件というよりも惨劇なのだが、いったい誰が何故⁇というのは…。
戦後に明らかになるのだが…。

いやぁ、これこそ正統派推理小説なのか、しっかりと堪能できた。
時代背景もその当時の言葉も遠いことなのに人間味を感じたというのもこの一族のなかで起こることだったからかもしれない。









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2023年05月11日

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ネタバレ

船場の言葉は谷崎文学を彷彿とさせるし、お家柄や血のつながりやら旧家の跡継ぎもんだいやらは江戸川乱歩や横溝正史を思い起こさせる。プロローグからグイグイと引きずり込まれそれはもう楽しい(?!)殺人事件の始まり始まり!
しかも、探偵と名乗る輩の登場もあり……

骨董品、お宝状態のミステリ小説の紹介もあり、わたくし的には大ヒットいえいえ、ホームランでした。

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2021年11月10日

購入済み

スピーディな展開と切ない時世

面白かった!最初はあまりにもきつい訛り口調がちょっと読みにくくて 大変だったけど、テンポの良い展開でぐいぐい読めてしまう。

#タメになる #泣ける #切ない

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2023年10月13日

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ひとえにこれはズルい作品だな。

各所で言われてる通り2段の小説で、横溝正史的な時代設定、まあ長いってか序盤は冗長さしか感じられない。中盤に入っても事件や謎は起こるもののひたすら右往左往。
そこに来て終盤の所謂「伏線回収」ってのは勿論だけど、それまでの気持ちの回収みたいな役割のセクションと、それまでの退屈さを消し飛ばす最後まで読み終えた時に訪れる爽快感。

いやぁ…ズルい…

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2023年03月28日

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クラシックミステリが好きで、とりわけ“一家・一族(ファミリー・クラン)もの”が好物の私(横溝正史氏の金田一事件ファイルは勿論コンプリート済)。
もう、このタイトルには、ホイホイされちゃいますよね!

大阪・船場の豪商一族「大鞠家」で起きた、連続殺人事件・・・。その背景にある謎を巡る物語でございます。

いわゆる“二段組み”構成なので、一見ヴォリューミーなのですが、読みやすいので割とスラスラ進みます。
第二章あたりまでは、大鞠家の歴史や船場商家ならではの独特の奉公風習など、当時の時代背景についてのお話が続きます(ここに伏線があるのですが)。
そしてついに殺人が起こる第三章から話が動きだして、次々と起こる殺人と、過去に起こった創業者の長男の失踪事件との関係や、夜中に現れる謎の“赤毛の小鬼”の謎など、“ワクワクゾクゾク”しながら引き込まれていきます。
同時に戦時下ならではの薄暗い事情についても語られていて、そこに結構な行を割いている為“脱線”のように思ってしまいそうになりますが、そういうことを踏まえての内容ということなのでしょうね。
因みに、途中で“探偵”がセンセーショナルに登場しますが、これがマジでとんだ“道化”でした。
そして、終盤で一気に真相解明と伏線回収がされていくのですが、“謎解きをする人物”が唐突に登場した感と、上記の創業者の長男失踪のくだりを含め、ちょっと雑な印象なので動機や経緯をもっと丁寧に述べてほしかったなと思います。
というわけでクラシカルなミステリの雰囲気を堪能させて頂きました。
古典へのオマージュもあるので、その辺りもお楽しみ頂けるかと思います。

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2023年02月21日

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最近イヤミスと言われるものが少々食傷気味になって来たので、この本は非常に面白かった!
旧家で起きる凄惨かつ不気味な連続殺人事件。横溝正史のミステリを夢中で読んだ頃の気持ちに戻った。
事件の真相には、うーん⁇と私の読解力ではよくわからないところもあるんですが、もうね、この本格長編ミステリの雰囲気を味わえただけで、本当に本当に満足です。

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2022年10月15日

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推理作家協会賞受賞作から。氏の作品体験はたぶん2作目。単行本の上下段構えってのがのっけから萎えるんだけど、そんな気持ちも吹き飛ぶくらい、初っ端から引き込まれる物語。戦時に衰退した名家、っていう時代・舞台設定も魅力的なのかもしらん。あと個人的に、謎解きはさておき、核となる物語の部分がしっかりしている作品には惹かれます。

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2022年08月10日

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大阪商人の大家、大鞠家で起こる殺人劇! クラシカルな世界でミステリーを堪能できる傑作 #大鞠家殺人事件

戦時中の大阪、化粧品会社で財をなした大鞠家。屋敷には大鞠家一族や丁稚奉公が暮らしていた。ある日長男が結婚することになり、お嫁さんが嫁いできた。
彼女は一族を次々に襲う事件に巻き込まれていく。果たして犯人は誰なのか…

重厚感がスゴイ。

これだけボリュームがあって、読みづらい大阪弁や古い言い回しがある小説ながらも、読ませるのがかなり上手。読む手がまったく止まりませんよ。
少しずつ事件や謎を見せられるので、読み手を煽りまくるのが手法が大変秀逸。

登場人物もこの時代ならではのキャラクターばっかり。みんな活発に生きているさまが手に取るようにわかりました。
特に主人公である大鞠家に嫁いできたお嫁さんが気丈でカッコいいんですよ!一人きりなのに愚痴ひとつを言わず、しっかり前だけを見てる姿は惚れちゃうっ

本作の最も優れた読みどころは、やっぱり戦前、戦時中の大阪浪花の雰囲気が味わえるところ。
大阪の商人文化、栄華ある大家、お家騒動、丁稚奉公たち、戦時中の暮らしなどなど… 重厚感たっぷりに読み手を魅了してくれます。しかも大阪商人の大家という、まるで縁遠かった世界での殺人劇です。この時代にタイムスリップできちゃう作品、素晴らしいっ

ミステリーもなんとも不思議で、正直何一つ真相が全く分からず終盤を迎えてしまいました。ただ何の根拠もなく、犯人はこいつくせぇなぁ~という目星はついちゃいましたが。

本作トリックは及第点くらいなんですが、隠されていた真相や犯人の動機が素晴らしかったです。なんですかこの外れさた感じの謀略は! これぞミステリーですよ、最高!

ちょい残念なのは、世界観、重厚感は十分で最高なんですが、その割にミステリーや物語としての切れ味として普通な点。もう二つくらい工夫や驚きがあると満点かなと思いました。

しかし本作も2022年度のミステリーランキングを賑わす一冊になりそうです。
現代では味わえない戦時中、大阪商人のお家を堪能できる本作、ハイテクデバイスばかり弄ってネットの渦の中にいる方に、是非オススメしたい作品でした。

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2022年07月07日

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舞台を大阪の船場に設定し、時代を明治から昭和前半とした事で、見事に日本版「お屋敷(マナーハウス)モノ」かつ「由緒ある一族の繁栄と没落」を描いたクラシカルなミステリとしてこれは大成功ですね。
2段組のわりと厚めの一冊でしたが、時代ごとに区切られて描かれる出来事とストーリー展開のテンポの良さですいすい読めました。面白かった。

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2022年06月09日

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第二次世界大戦前後の大阪を舞台に、商人たちの活動の中で発生した奇怪な事件を主題にした長編小説だが、意外にするりと読めた.大鞠家の千太郎が神隠しに会い、話が始まるが、戦争で商売もうまく行かない所に次々に殺人事件が発生する.最終的に長男多一郎の嫁 美禰子、医師の西ナツ子、平田鶴子の同級生の3名が謎解きをする場面が楽しめた.商いの世界では女たちの勢力が非常に強いのだなと感じた.

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2022年04月06日

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戦時中の大阪・船場を舞台にしたミステリ。かつては隆盛を誇った商家の大鞠家の一族を襲う奇怪な連続殺人事件。時代背景なども濃密に味わえる正統派本格ミステリです。
はい、もうこういうのは大好き。このシンプルかつ直截的なタイトルも良い! 事件そのものの道具立てやトリックの魅力もだけれど、思わせぶりなあれやこれやがラストで全部繋がって全景が見えるのがとんでもなく爽快でした。そして、事件のそこここに秘められた探偵小説のエッセンスが素敵としかいいようがありません。本当はとてつもなく暗い時代なのだし、描かれる物語自体も楽しいと言えるものではないはずなのだけれど(事件直後に起こったあれとか、ああいう解決の仕方になるというのも衝撃でした)。あまりに楽しい一作でした。
ああ、それにしても彼女たちが良いなあ。事件の「終わり」をまさかあんな形で見届けることになろうとは。素晴らしいラストです。

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2021年12月16日

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戦時中の大阪の商家、大鞠家を舞台にした連続殺人事件。
ミステリとしては少々強引な部分もあるかと思うが、大鞠家の年代記でもあり、当時の大阪の商人文化が詳細に描かれているのは読み応えあり。そうした背景がミステリに組み込まれているのもよかった。久々に芦辺拓を読んだが、面白かった。

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2021年12月03日

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ネタバレ

正統派昭和時代の推理小説でした。

場所は船場、時代は明治から始まり、事件は戦中、空襲後の焼け野原の戦後が解決偏となっていて面白かったです。
探偵役の女性たちは著者の既存の作品の登場人物だったようで、その探偵の登場だけが唐突でしたが、後は映画にもなりそうな懐かしい設定のミステリーでした。
この手のミステリーでは謎解きが強引だったりするのは仕方ないのですが、そこも含めて王道を行っていると思いました。

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2024年01月07日

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金田一耕助的な、探偵が出てきてスパッと解決!かと思いきやこの探偵も怪しい。というより登場人物全員怪しい。少し入り込みにくい文章に好き嫌いは分かれるかもしれませんが、読んで損はないと思える1冊です。

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2023年10月21日

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第75回日本推理作家協会賞長編
および連作短編集部門を受賞、
ミステリマガジン2023年1月号で行われた
ミステリのプロが選んだベスト10でも
3位にランクインした作品。

戦下の昭和十八年、
大阪の商人文化の中心地として栄華を極めた船場での物語。
婦人化粧品販売で一躍名を馳せた"大鞠百薬館"、
の店を商売とする一族・大鞠家に嫁いだ美禰子が、
一族を襲う惨劇に巻きこまれていく。
犯人は誰なのか?大鞠家が狙われた理由とは?

粋な大阪弁、船場という特殊な土地の独特なルール、
家の中できっちりと築かれた身分制度とマナーなど、
歴史物として大変興味深く面白く読めます。

ただ、かなりの頁が進むまで事件が起こらず、
起こってからはドタバタと進んだ印象を受け、
犯人も分かりやすく推理というポイントからは
物足りなさを感じてしまいました。

ですが、高評価の作品。
好みの問題だと思いますので、気になる方は一度読んでみてください。

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2023年05月10日

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2020年の日本推理作家協会賞受賞作で、このミスでも8位と云うことで読む。最近時々、戦前を舞台とした作品を読むが、文章まで戦前ぽくなって読むのがめんどくさい。話としては、最後に納得はしているけど、読み直したいとは思わなかったなあ・・・

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2023年03月28日

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結末のミステリーは摂って付けたような寓話(著名な探偵小説をもじる)のようになるが、人の恨みは世代を超えて続くものだと恐ろしさも感じた。親族の絆はやはり一番強く、腹違い・養子縁組などの「絆」とはいざとなるとまるっきり違うということを物語っている。

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2023年03月19日

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なかなか評価の難しい一冊。戦時下の大阪船場という舞台を描いた独自性や読後感はすばらしいけれど、作者の「探偵小説」に対する思いや小説観にどれほど共感できるかでミステリ部分の評価はかなり変わりそう。癖のある文体、馴染みの薄い舞台に加えて視点と時点もめまぐるしく変わるため、読みづらさもある。万人には薦めづらいけれど、個人的には先が気になり夢中で読んだし、読み応えを感じた良い読書だった。

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2023年02月24日

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ネタバレ

開いた瞬間、2段組だぁ〜と気圧された。
序盤はしんどいけど読みすすめていくと面白くて止まらなくなる。

樽に入った溺死体がタイミングよく何かの作用?で足バーン!って出してくることある?wwwって思ってちょっと笑ったのと、探偵役がまさかの最後にポッと出てきた女性で驚いた。
しかしノックスの十戒でも、探偵役は序盤から出ていないといけないとは言われていなかったし良いのかな。

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2022年12月12日

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大阪・船場の商家を舞台にした著者の自負いわく「前例のない作品」。豊かな語りで楽しく読める正統派ミステリだ。


「だから…みんなを殺したんです」(p14)

現代部分のいきなりの告白で、物語は幕を開ける。すると、時代は明治へ飛んで、パノラマ館での跡継ぎの失踪事件とくる。大正、昭和とくだって、ついに連続殺人の幕が開ける。ひとくせもふたくせもある人物が配置されて、ぐいぐい読ませる。動機もトリックも、この時代の商家ならでは。そして、犯人は…。

実に面白かったのだが、減点部分は探偵だな。唐突というかね。

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2022年06月27日

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大鞠家という船場の商家の没落と共に敗戦前の慌ただしい中で起こったいくつもの殺人事件.戦火をくぐり抜けるのだけでも大変なのに殺人は起こるのだと変に納得.
トリックが今ひとつよく分からなかったけれど,雰囲気や話され方など独特の味わいがあって良かった.

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2022年06月17日

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戦時中でも折目正しい旧家の様子やエグい死に方、金田一風の探偵の登場等、何処かで読んだ感が溢れていた。残りわずかの所で登場する美禰子さんの元同級生が、ちゃっちゃと事件を解決するのが面白いと言えば面白いが、何とも不可解さは消えない。

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2022年06月04日

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ネタバレ

SL 2022.5.14-2022.5.17
本格ミステリ大賞受賞。
美穪子が魅力的。
ラストに鶴子が登場してチャチャっと謎解きするのはどうかと思う。
犯人も無理がある。生まれた時から両親と信じていた人たちをそんなに簡単に憎めるものだろうか。実の両親には会ったこともないのに。
あと、月子が刺されて血糊がぶちまけられていたのは何のため?「十二の刺傷」になぞらえた?だけ?

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2022年05月17日

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ミステリーと言うより、戦前戦後の大阪の歴史を知る一助になる小説という感じ。
推理小説として読むとまだるっこしさと粗が目立つ。

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2022年02月20日

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大阪・船場の商家特有の文化。

謎解きは取ってつけた感があるが、伏線は一応回収されているようだし、本書の本筋はそこにはない。

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2022年02月07日

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ネタバレ

 戦時中の大阪・船場を舞台にした、雰囲気たっぷりの探偵小説。古き良き探偵小説のエッセンスをちりばめた感じ。
 本当に犯人に実行できるのか厳しそうなところも含めて。
 毅然とした美禰子の姿が好もしい。

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2021年11月29日

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ネタバレ

大阪船場で化粧品事業で富を得た大鞠家。
戦時中、大鞠家の長男に嫁いだ美禰子は夫が軍医として出征したため、大鞠家に身を寄せることになる。
創業者の妻でいまだに大鞠家で権力を握る多可
多可の娘、大鞠家を表向き仕切る喜代江
喜代江の婿の茂造
喜代江の長女、月子
次女の文子
戦時下で化粧品は売れなくなり、次男も出征、何かにつけて美禰子に嫌がらせをする、喜代江と月子。そんな中、大鞠家で事件が起きる。

大阪の土地勘が無いもので、大阪に思い入れがあったらもう少し世界に入れたのかな。
時間があちこちに飛ぶので混乱。
戦前戦後の大阪商人については興味深かった。丁稚さんっていうとドリフで番頭(いかりや)さんに怒鳴られて叩かれてるイメージで。
時代小説も読んでるけど、名前や立場がこんなだったなんて。
「たかが殺人…」とちょっと被るけど、こういう戦争の描き方は構えずに読めて、より身近に感じた。
あちこちに推理小説の有名どころと似たようなシーンがあって、もしかしてとニヤニヤするけれど、いろいろ盛り込み過ぎて、バタバタな感じ。
犯人はすぐにわかっちゃうし、そこは残念ー。
多一郎、美禰子夫妻がもっと活躍しても楽しそうなんだけどな、多一郎の生真面目で不器用な感じ面白いのに。

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2021年11月28日

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