あらすじ
この時のスパイダーマンはまだ知らない。愛する女性との夢のような日々が、やがて悪夢へと変わることを……。
”残りの人生を一緒に過ごそうと思っていた大切な女性を思い出すために”――決して忘れることなどできない女性、もう二度と取り戻せない愛の日々……。恋人のグウェンと一緒に過ごせる時間がどれほど短いものになるか、ピーターはやがて訪れる悲劇を知る由もない。これは、ささやかな喜びを手にしようとしていた頃を描いた二人の愛の物語、いや、非情にも失われた愛の物語を綴った物語である。スパイダーマンの人生は苦難の連続であり、それは冒険に満ちた本書においても例外ではない。グリーン・ゴブリン、ライノ、二人のバルチャー、それらすべてを裏から操る謎の怪人……憧れの女性を手に入れるためには、次々と襲い来る敵を倒さねばならない。そして、後年、ピーターの妻となるもう一人のヒロイン、メリー・ジェーン・ワトソンも物語に華を添える。
『スーパーマン・フォー・オール・シーズン』『バットマン:ロング・ハロウィーン』などの名作を手掛けたアイズナー賞受賞作家コンビが、スパイダーマンの青春時代を新たな視点で語り直した話題作。ティム・セイルによるオリジナル・スケッチに加え、スパイダーマンの伝説的なアーティストであり、メリー・ジェーン・ワトソンを初めて描いたジョン・ロミータ・シニアの序文も収録。
●収録作品●
『SPIDER-MAN BLUE』#1-6
©2021 MARVEL
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
ホークアイシリーズを読み終えて、マーベル・スパイダーマン初心者も楽しめて満足度が高いとのことで手に取った1冊。
物語はスパイダーマン:ピーター・パーカーによる回顧録。
ピーター・パーカーがグウェン・ステイシーと出会い、愛し、失うまでを記録する物語。
キャラクターの初期の物語を再解釈・再構築したものとのこと。
読後の素直な印象としては「切ない。」に尽きます。
本書のコピーにもある通り、まさに「過ぎ去りし青春物語」でした。
クラシカルなアートとシナリオが折り重なってどのページ、どのコマにも常にノスタルジーが漂い、愉快なシーンであるはずなのにどこか物悲しさが漂っていて惹きつけられました。
グウェンに関してはマーク・ウェブのアメイジング・スパイダーマンで彼女の行く末を一応は知っていたのですが、コミック内で「死が明確に描かれない」ことにより、より一層悲しみが襲ってきます。
友情、恋愛、青春時代の全てが「スパイダーマン」でいることと同居しているピーター・パーカーの「大いなる力には大いなる責任が伴う」の言葉でいうところの「大いなる責任」が前面に出されています。
「スパイダーマン・ブルー」のブルーは劇中ではブルーな気持ち。と表現されますが、僕は「青臭く過ぎ去った青春」という言葉を添えたいと思います。
初心者向けと謳いながら、「かつて起きた出来事」を知っている前提で話が進むのと、派手なシーンも派手に見えず、絶えずピーター・パーカーの内側にフォーカスを当てた本作は初心者向けにしては難解な気もします。
ただ、キャラクターのオリジン、その理解といったものに関してはとてもわかりやすいので、作風が好みとあっていればさえすれば、僕含め初心者も楽しめると思います。