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Posted by ブクログ
64歳でババナ→フロリダ横断を達成したダイアナ・ナイアド著の「対岸へ」を読んだので味わい深かった。
70歳になった甲野善紀さんが思うのは「最近の老人は」と思うらしい。彼が同年代以上で会いに行きたいのは野口裕之、養老先生、桜井章一、宮崎駿くらいらしい。
自分達には出来ない大きな問題を真剣に考え、いかに下の世代に託すか、人間が地球で自然に「生きる」とは何なのかと真剣に考えれば生きがいのない情けない老人にはなり得ないと言う。
彼が20代で悟った事「人間の運命は完璧に決まっていて同時に自由である」この言葉は4年間突然の癌罹患に苦しんだ筆者にとっては重い。
甲野善紀先生は70歳で「影観法」という我ならざる我という裏の意識を使った技が使えるようになったそうだ。凄い事を言うなぁと思ったのはイチローが50まで現役を続けると言ってたのに45で引退する事になったのは「どこかで自分は大したものだと満足した」部分があったからだと看破する。
甲野先生はアンチ筋トレ派である。筋トレは部分で身体を疲れやすくし筋肥大を目指す。弛緩から緊張へとグラデーションを速やかに全身を使うのが良い身体の使い方だがその使い方が筋トレでは身に付かない。必然性のない動きは身につかないとされている。
筋力、聴力、視力は衰える。だが身体の感覚、全体性、脳は多分一生成長する。この本を読んで残りの人生を身体の研究に捧げる事の決心がついた気がする。