【感想・ネタバレ】ハザードランプを探して 黙殺されるコロナ禍の闇を追うのレビュー

あらすじ

TOKYOFMで先行ラジオドラマ化。コロナ禍で黙殺される社会の実像に迫る切実なるルポルタージュ!

感染者数、ワクチン接種率……コロナ禍が社会に及ぼしている影響は、決して単純な数字だけで表せるものではない。
政治やメディアが連日、数字に一喜一憂する陰で、この国に一体何が起こっているのか?

著者は2020年秋から、「新型コロナ災害緊急アクション」の活動に密着取材。
そこで出会ったのは、SOSを出したくても出せない人、「生活保護だけは嫌!」と表情をこわばらせる人……。

「日本全体の底が抜けちゃった感じがする」
黙殺され続けるコロナ禍の社会の実像に迫る切実なるルポルタージュ。
これは誰しものすぐ隣にある現実――。

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Posted by ブクログ

《ホームレス、明日は我が身》
 ホームレス支援の書籍は、著者が支援者のものが多く、それらはとても生々しい。この書籍はジャーナリストの藤田さんが支援者に同行して書かれたものである。同行していただけではなく「一緒に手を汚し汗を流す」場面は少なくなかった。だから支援者が感じる怒り、切なさ、悔しさに共感している。そして少しだけ後ろから見て感じたことを冷静に取り上げている。
 ケースワーカーは「悪」と取り上げられることが少なくないが、人員が不足している、多くの人が行きたがらない部署である、前線にいるのは非正規雇用のワーキングプアであることを冷静に見ている。現場だけが悪いわけでなく『政治』に大問題があるのだ。
 SNS闇金は許せない存在だ。自分が貧困状態になるとは思っていなかった人たちが、コロナ禍で一気に転げ落ち、SNS闇金の犠牲者になってしまう。考えれば分かる、調べればわかる、そんな冷静さを失う状態を生み出しているのがコロナ禍だ。
 ハザードとは「災害」の意味だ。支援者が「被災者」との待ち合わせ場所で待つ車のハザードランプは、生活が苦しくて死ぬ一歩手前の人にとって、希望の光に感じているのかもしれない。手を差し伸べ、心に寄り添う支援者の生きざまに憧れる。命の使い方として最高だ。

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2021年09月20日

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