あらすじ
死にたい、と願うのはエゴですか?
生きていて、と望むのは愛ですか?
~死と向き合っている医師だから書けた、現代人のエゴイズム、そして愛と情~
このごろ、「早く日本でも安楽死を認めてほしい」という人が増えた。
その先にどんな未来が待ち受けているのか、書きたかった。(著者)
あらすじ:2024年、オリンピックで疲弊した東京はすっかり元気を失っていた。
人気女流作家の名をほしいままにしていた澤井真子はアルツハイマー型認知症と診断をされ、
小説が書けなくなる前に死にたいとある決断をする。一方、補助人工心臓手術の名医として
名を上げた尾形紘は、緊急搬送された大手自動車メーカー会長の手術執刀を拒否し、心臓移植
待機中の少女の手術に向かったため、大学病院内外から批判の矢を浴びる。失意の中、医師を
辞める決意をした彼に下されたミッション。それは、安楽死特区の主治医となり自殺幇助に
加担せよ、という受け入れがたいものであった。さらに、かつての東京都知事、池端貴子は
日本初の孤独担当大臣に国から任命されると、末期がんであることを明かし、
「私が、安楽死特区の第一号として死にます」と記者会見を行う…
女と男、それぞれの「死にたい」物語が交差したとき、前代未聞の事件は起きた。
感情タグBEST3
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日本で安楽死法案が可決され、東京に「安楽死特区」が作られた。認知症、末期癌等、病による痛みに耐えれない患者が対象となる。
初めて安楽死が実施される時に悲劇は起こった。
これが現実の場合、自分や周りがどう変わるのかすごく考えた小説。
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この本は2019年12月21日に発行された、2024年、2025年の未来を描いた本でした。偶然その本と、2025年の私が出会ったことに何かの縁を感じます。
安楽死をテーマにした本で、18歳の私にとってあまり身近ではなかった「死」について考えるきっかけになりました。1番驚いたのは、死を望む人の多さ。そういえば、高齢者だけでなく、若者の自殺件数も増えてるなぁと
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重い内容ではあるが、各登場人物の視点で描かれた短編が時系列で連なる形で書かれており、読みやすかった。
母が末期の肺腺癌で、苦しみながら死んでいったこともあり、私自身は安楽死には比較的賛成派であり、無理な延命治療はやめるべきという立場ではある。
自分がどんなに延命治療を拒否したいと常日頃から言っていても、人工呼吸器が必要な状態になったときに家族に強く言われると、人工呼吸器がつけられてしまう状況も見てきた(ちょうどそのタイミングで私がその場にいなくて、パニクってた父が「つけてくれ」と言ってしまった)。
リビングウィルとかちゃんと用意しても、その通りにしてくれる保証はあるのだろうか。
裏側の事情も知りつつ、安楽死第一号として突き進む池端貴子の決意・意思を、元恋人である鯨井が自身のエゴでぶち壊してしまうところがなんともいえなかった。貴子がもしもあの状況を知り得たとしたら、果たして喜ぶのか怒るのか。どっちだろ。
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1/23から映画封切りの『安楽死特区』の原作本。映画も観たが、併せて読んでみた。
簡単なあらすじとしては、近未来小説で、国が医療財政破綻から脱却する施策の試行のために、東京都内に「安楽死特区」を作って安楽死が認められる区域にその願望がある末期患者を住まわせるというもの。その後、数回の医者とのカウンセリングを受け、安楽死したいという意思が変わらなければ、医師から飲み薬が処方され、それを飲めば苦しまずに10分程度で死を迎えることができる…
著者の長尾和宏さんは元医師であり、病院勤務時代に感じた延命治療への疑問や尊厳死の重要性があり、開業当初から在宅医療に取り組んだ方とのこと。非常にリアルな話だった。
末期の病を抱えた患者の立場、家族の立場、医者のスタンスは個人個人で違う。スイスで認められている安楽死が、日本で認められないのは日本での家族の結びつきや、しがらみによるものが大きいとのこと。
小説では複数の人物が章の主役となり淡々と物語が進んだが、映画ではラッパーの若い男性とジャーナリストの女性が主役となり話が進む。バイプレーヤーとして平田満、余貴美子の演技が鬼気迫り凄かった…
(もし映画を観に行く場合にはエンドロール終了後までしっかり観てください。後悔します。)
また、小説は2019年に5年後のことを書いている。今は2026年…安楽死の法案はまだ実現していない。
なかなか難しい問題であり、賛否両論あることは間違いない…
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日本人としての死生観と、チベットにおける死に対する構え方は考えさせられる。そしてタイトルにもある安楽死。難病を抱える本人と周りの人との感情的なやり取りも印象的だった。これはページ数の割に考えることがたくさんある本。
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実際に安楽死が起きた場所や渦中の方の実名も出てきたから、その度に「あれ?小説やったよね?」って混乱することもあり…
それくらいリアリティを感じました。
銀座周辺にあるホテルやマンションがゴーストタウン化してるっていう記述で、「あ、小説やったね 笑」って戻る感じ。
職業と名前が章の始まりに出てきて、その人がその章の主人公になるつくり。
主人公が都度変わるけど、章が変わるまでは同じ人物目線で話が進むから、そこはとても読みやすかったです。
枯れて死ぬのと、溺れて死ぬのと…
という言葉が繰り返し出てきて、それが印象的。
枯れて…というのは想像できたけど、溺れて…が個人的には耳馴染みがなかったから、その状態を想像した時すごく納得できた。なるほどね~
「枯れて死ぬ」のが一番いいとか、「溺れて死ぬ」のは良くないとか、「死ぬタイミングを自分で選ぶ」のはどうなんだとか、価値観とその時の状態によるだろうから、一概に何が絶対に良い悪いとは言えないと思う。
色んな選択肢があって自由に選べたらいいよね。
ただ、難病とかで体が思うように動かない場合(そういう状態の方もお話の中に出てきた)とか、意思表示を確実にできるというには微妙な年齢の場合、選びたいけど選べない、そういう場合はどうしたらいいんだろうね…
読後、色々考えてしまいました。。
来年(だったと思う)の映画、どんな感じになるんだろうって、今から楽しみにしてます。
(期待しすぎない程度に期待してます 笑)
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安楽死、最近治癒する見込みのない病を抱えた人々がスイスにわたってしていると報道されて、気になっていた。わたしも痛みや苦しみに耐えるのであれば、早く死にたい派だ。短く太くでいい。本書は安楽死が許された日本において、それを希望する数名の視点から描かれていて、特に結末がリアルで、まだまだ問題は山積していることがよくよく伝わった。決して苦しまず、医師の心を蝕まず、家族も納得した形の死は存在するのか。少子超高齢化した日本には、考えていくべき問題かもしれない。冷静に読者が考える素地を与えている筆者はすごいと思う。
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2024年──オリンピック後に疲弊した日本で、国家は社会保障費の問題を理由に「安楽死特区」構想を推し進める。物語はその特区が現実味を帯びてきた時代を舞台に、安楽死を選ぼうとする人々と、それに関わる医師や政治家、周囲の人間たちの葛藤を描く近未来医療小説です。
日本尊厳死協会
+1
中心となる登場人物は、人気女流作家・澤井真子(アルツハイマー型認知症と診断される)、心臓外科医・尾形紘(名医だが葛藤を抱える)、そしてかつての都知事・池端貴子(末期がんで「安楽死特区」の第一号になると宣言する)など。各人物の「どう死にたいか/どう生きたいか」という個人的な事情が絡み合い、医療と倫理、国の政策が引き起こす波紋が物語を動かします。
bookman.co.jp
+1
作中は「死ぬ権利」と「生きる権利」の対立、医師の職業倫理、国家の政策的な思惑といった重いテーマを丁寧に掘り下げつつ、サスペンス的な展開も交えてテンポよく進みます。終盤で起きる“前代未聞の事件”が物語の問いをさらに鋭くします
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安楽死について、医師や写真家・作家などさまざまな立場にある人が抱えている思いがストーリーごとに区切られて書かれていて面白かった。
最後の怒涛の流れが衝撃的で安楽死がいいのか悪いのか考えさせられる話だった。
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最初あまり文章が入ってこなかったけど、だんだん読み進めるうちに一気読み。最後の著者の「この物語が近い将来、現実にならないことを祈っています」との余韻がすごい。どう生きるか、どう旅立つか、日々の暮らしの中にこそ答えがあると感じた。
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2025年、東京五輪の跡地に作られた、安楽死を法的に認める特区の話。
作品自体は2019年に書かれていますが、実在の人物であったり、それを想起させるキャラクターであったり、また著者がお医者さんということもあり、全てがリアル。まるで新聞記事を読んでいるかのように、物語がするすると脳内に入ってきました。
先の衆議院選挙で国政政党の代表が「尊厳死の法制化」に言及する世の中、ただの物語とは思えません。
安楽死を望む本人、その周りの人、それぞれの想いは一つでは無いことが容易に想像できます。
私自身、ここ数年で少なからず「お別れ」を経験し、自分の“死生観”を見つめ直すことが増えてきました。
人の数だけ“死生観”がある中、法律でそれをまとめることの難しさを考えさせられる作品でした。
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本書は、東京の一角で試験的に行われた「安楽死特区」という制度にまつわるお話。もちろんフィクションであるのでご安心を。
どストレートに、安楽死について改めて考えさせられる内容で「理想の死に方とは?」「終末期をどう生きたいか」という命題に沿って物語が進んでいきます。
それだけじゃなくて安楽死を与える医者側の話、その内容を当事者目線でかく小説家の話も出てくることでより深く広い視点で安楽死について考えることができます。
平均寿命が伸びている昨今ですが、果たしてそれが幸せに寄与するのか?苦しい時間を引き伸ばすことに繋がるのではないか。生きる権利があるのであれば、死ぬ権利もあるのではないか。……非常に考えさせられる内容でした。
当たり前ですが、健康寿命と幸福度がが共に伸びていく社会であって欲しいし、そうなるように僕自身も楽しんで生きていきたいなと、改めてそう思いました。
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2024年に安楽死特区ができるという小説。末期がんの絶望感や認知症の不安感が伝わる物語でしたが、安易な死の選択や国の政策への疑いが提示された物語でもありました。深刻なテーマなのにテンポよく、妙にドキドキする展開でした。
Posted by ブクログ
読友さんの感想を読んで興味を持った作品。東京都に設置された「安楽死特区」。本人の自己決定権、特区であれば医師は自殺幇助に問われない、欧米との整合性、これを順守することで安楽死特区の効力が出てくる。孤独担当大臣・池端、小説家・澤井、薬剤師・酒匂が安楽死を実行するべくマンションに入居する。末期がん、認知症、多発性硬化症、3人がそれぞれの(身体的・精神的)痛みは本人にしか分からない。これを家族が理解しようとしてもやはり難しいのだろう。しかし、えええっ!1番目に実施した池端の安楽死は大変なことになってしまった。
Posted by ブクログ
読みやすくも感情が伝わってくる文章。
作者が医者で本作が小説としては処女作だと知り驚いた。
2024年の日本に安楽死特区が作られ、そこに関係する数人の人物を通して、安楽死は本当に正しいことなのか?また、辛く痛い思いをしている人を無理に生かすことは必要なのか、その両方を描いている。
正直最後のどんでん返しよりも、そのまま安楽死していく人の心情を見ていたかったのが本音。
それでも爽やかな読後感は十分にあり、読んで良かったと思える小説。
この本を読んでの自分の意見
「安楽死制度に賛成」
Posted by ブクログ
主人公を絞らない形式で、自分の思い入れし易い読み方が出来る。還暦を過ぎた自分には現実的な問題で、フィクションではなくルポルタージュかと思うような設定内容。最後は流石に多少のどんでん返しは有るが…。概ね面白く興味深く読めた。読後感も悪くないので有難い。
Posted by ブクログ
日本が安楽死を認めたら、という架空の設定の物語
安楽死を認めるために、まずは特区を作り、モデルケースを作っていく
案外、リアルに近年起こりうるかもしれない
日本は社会保険制度が破綻している、医療費もかさみ続け医療制度の維持も難しい状況となる
この背景の元、安楽死を認めるという流れではあるが、実際には高齢者の預貯金を吐き出させる目的を秘めている
確かに高齢者が保有し続け、運用されていない資金は莫大なものだろう
とは言え、安楽死を認める社会というのは、やはり怖いと思える
自分が高齢者になった時に、なんで貴方は死なないの?
というプレッシャーに負ける気がするからだ
ただ、最後の最後は安楽死したいというのは贅沢だろうか
Posted by ブクログ
興味を引く題名でした。作者の死に対する考え方が基本にあり、考えさせられる内容でした。安楽死と言う考えがあっても良いように思います。ただ命を長く伸ばすだけが医療ではない。そのことを作者は、早い時期から世の人々に問いかけています。
Posted by ブクログ
長尾先生は安楽死反対派なのかな!?
本の中で、順調に安楽死特区構想が進んでいたにも関わらず、非現実的な展開でズタズタになってしまったのがとても残念。また、安楽死の方法の薬が苦痛を伴う描写なのにも悪意を感じる。(スイスでの安楽死はもっと自然に眠るように行われているよう。)これをもって、安楽死制度が良くないとは言えないと思う。
そりゃあ、自然に穏やかに枯れて逝けるのが一番。
しかし、痛みや身体不自由、認知症等の状態になると、なかなか尊厳を守ってもらえない介護や医療を受けざるを得ず、また、近い大事な人への負担を負わせる。病状の苦しみに加え、これらによる精神的ダメージも計り知れない。
これらから解放されるための安楽死制度は、患者自身の尊厳に他ならない。日本でも是非進んで欲しい。
Posted by ブクログ
ちょっと、いや…だいぶ重~いタイトル!東京オリンピック後の日本…高齢社会により社会保障費が増大し国の財政状況は悪化の一途を辿っていた…。2024年、国と東京都はオリンピック関連施設やその周辺住宅地や施設を買収するとともに、法整備をすすめて「安楽死特区」をスタートさせた。末期がんで余命宣告を受けている元副都知事、難病を発症し日常生活に介護が必要となった元薬剤師は恋人であるカメラマンと共に、そして認知症の診断を受けた女流作家が、安楽死を望み移り住むことになったのだが…。
自分らしく、自分で自分のことがわかるうちに死にたい…それが自らの思いだとしても、家族は納得できないケースも多いですよね。自分がちゃんと意思表示できるうちにと、エンディングノートをつけたり、家族と前もって話をしておくのも必要なのかもしれません。
でも、この作品は『小説「安楽死特区」』と銘打ってある通り、小説です!ラストの意外な展開に驚きました。なんで…??どうして??こうなっちゃうのか…が、自分の中で腑に落ちないんですよね…。
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コロナ禍前に書かれた医療小説。
人はいかに生きるか、いかに死ぬか。
苦しみ抜いて、苦しませ続けて、生きる、生かすべきなのか。どこまで自己決定が許されるのか。
枯れるように死ぬ。それが叶えばベストだと思う。
ただ恐れ遠ざけるのではなく、死を見つめ、受け入れ、生をよりよいものにするのが大事だと思う。
死なない人はいないのだから。
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安楽死特区構想にリアリティがありましたね。妙に。
安楽死っていっても民衆に開かれてるものじゃなくて、カネがいるのよね。
最終目的はカネ集め。ありえる。
苦しまずに、眠るように死ねたらいいけど、現実はそんなものじゃないよね。
小説としては、まぁ、こんなもんか。という感じだけど、医師という立場できっと色んな場所で色んな人の話を聴いてこられて、それが反映されてるんだろうなと思うと、少しゾッとする。
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患者本人、周りの人、医者の思いに政府の思惑が重なり、なんとも言えない怖さを覚えた。
特区に入るためにもお金が必要で、お金が全ての現実を見た。
生きるため、死ぬため、頑張って働かないと。
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長尾先生の小説。
先生の本音があちこちに書かれている。
安楽死をテーマにした本はいろんな方が書かれているが、やはり考えても悩んでも答えが出ない
実際にどんながんも完全に完治する未来がきたとしたら、亡くなる人が減ってますます超高齢化が進み、社会が立ち行かなくなると気がする
将来、死に時を選べる日が来るのだろうか
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安楽死の是非。
尊厳のある死とはなにか。
物語で設定されている近未来2025年がもうすぐやってくることの恐ろしさもあった。
自分はどんな最期を迎えたいだろう???
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一言で表すのは難しい作品。
気持ちがいい、スッキリとした終わり方ではなく、酷くモヤモヤとして不快感が残る作品でした。
ただ、それが決して悪いことでなく正しい終わり方なのだと私は思います。
物語は、何人かの視点によって進んでいきます。最初は、どのように話が進んでいくのか理解しにくかったですが1/3ほど読んだ頃にはどういった風に話が進むのか理解できました。
また、作中にはタイトル通りの安楽死特区が出てきます。それがいいものか、悪いものかはみなさんが読んでみて判断してほしいです。
何故、安楽死特区ができたのか。
どのような人が集められたのか。
世論はどうなのか。
安楽死をしたいと願っている人は救われるのか。
この作品は、読んで終わりではなく。
読後に、考え続けることが何よりも大事だなと感じられました。本をきっかけに何かについて思考することが好きな人にはおすすめです。
Posted by ブクログ
現在の日本の延長上の未来、安楽死問題と経済危機をお一人様の金持ち老人からの略奪に焦点を合わせて描いている。認知症、末期癌、神経疾患など病気の違いや年齢立場などいろいろな視点からのアプローチで考えさせられる。
Posted by ブクログ
トランプ政権崩壊後とか東京オリンピックの失敗で経済崩壊などと時代説明があり、3年後には本当に安楽死特区が可決されてるのではと思うくらいだった。
私は安楽死賛成派で、自殺するより臓器提供できたほうがいいのでは?と思っていたけどそれも政府の思うツボなのか?と思わされる作品でした。
Posted by ブクログ
安楽死の是非をめぐる議論は、難病治癒の可能性だとか個人の尊厳だとかの観点から論考するのは必要だし重要なので表立って為されるけど、実は目の前に迫る日本の更なる高齢化による医療費高騰や医療現場逼迫等の防止策のひとつになり得るという観点からその必要性が是認される方向性もあり得ると言う実に現実的かつ切ない実態を認識させられる。