あらすじ
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幼児期の子の「困りごと」に向き合い、自己肯定感を高める接し方のコツとアイデアが満載!
本書は、親にとっては難しい「しつけ」について、「非認知能力」という観点から対処法を考えていく本です。子育てをしていると、つい、目に見える「できる」ことに囚われて焦りを感じてしまいがちです。けれども、本当は、目に見えにくい子どもの「心」や「社会性」に着目することが大事です。それは、これまで考えられていた「しつけ」というイメージとは少し違っているかもしれません。
非認知能力などと言うと、何か特別なトレーニングやしつけをして育てる力のように思われがちですが、そうではありません。非認知能力は、何気なくしている日々の子育ての中で育つものです。子どもに愛情をもって育て、毎日、ごはんを食べさせたり、歯磨きや着替えをさせたり、楽しく遊ぶことを大事にしたりするなど、日々のあたりまえの生活の中で自然と育つものだとも言えます。
つまり、日々の子育ての中ですでにやっていることの中に大切なことがあるのです。子どもに向き合おうという姿勢の中に、すでに非認知能力を育むために重要なしつけ的なものがあるのだと思います。
子育ては「魔法の言葉かけ」をすれば大丈夫というわけにはいきません。親ができることは、その子の「いま」をちょっとでも幸せが実感できるようものにするように、かかわることです。子どもと親の両者のハピネスが、子どもの自己肯定感を自然と高めることになり、よい影響を与えます。これが「しつけない子育て」です。
本書では、「食べない」「歯磨きをいやがる」「騒ぐ」「嘘をつく」などといった生活に関わる困りごとや学習面の困りごとについて、「しつけない」で対応する方法を、具体例豊富に紹介します。
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Posted by ブクログ
「強制型しつけ」と「共有型しつけ」
それでは、どのように「しつけ」を行えばよいのでしょうか?
お茶の水女子大学名誉教授の内田伸子氏は、「強制型しつけ」 と「共有型しつけ」という分類によって説明をしています。「強制型しつけ」は、子どもに考える余地を与えず、すぐに答えを教えてしまう、子どもに対して指示的で、命令もしくは禁止するようなかかわりです。それに対して「共有型しつけ」とは、 子どもをひとりの人格を持つ存在として尊重しながら、子どもとのふれあいや会話を大事にしつつ、楽しい経験を子どもと共有しようとするかかわりです。
そして、「強制型しつけ」よりも、「共有型しつけ」を受けた子のほうが、読み・書き・語彙すべてにおいて得点が高いという結果が出ているのです。つまり、しつけのあり方は、その後の学力にも影響があると言われています。
・共感する(スキンシップや気持ちを言葉にしてあげるなど)
・待つ・見守る(気持ちが切り替わる時間をゆっくり待つ)
・選択肢や見通しを示す(「こうしてみる」など子どもが選択できる言葉かけ)
・I(アイ) メッセージ (「ありがとう」など大人の気持ちを伝える)
ほめ方・叱り方
ほめ方
ネット上には、子どもは「(シャワーのように) ほめて、ほめて、育てましょう」と書いてあったりします。
でも、ずっとほめているのも、大げさにほめるのも、とても不自然ですし、 親としては疲れるし、大変なものです。そもそも、子どもも「ほめられている」という実感も持てなそうです。おそらく、もっと自然体でよいのだと思います。例えば、「ジャンプできた」など、子ども自身が何か手ごたえがあった時に、「すごいね」「よかったね」などその子の喜びを一緒に喜ぶような「共感する」ことが大切なのだと思います。だから、子どもは 「(自分の頑張りを) 認めてもらえた」と実感を持つのです。子どもがうまくいかなかった場合にも、「頑張ったの見てたよ、よく頑張ったね」と声をかけることが、自信にもつながるのだと思います。
叱り方
「ほめる」と「叱る」をバランスよくしつけないと、 と思っている方も少なくないかもしれません。でも、 2歳くらいまでの子どもに叱っても、あまり意味がわからないので「大好きなパパ(ママ) から怒られた (否定された)」という感じが残るだけで効果がありません。第1部 (21ページ) で述べた「支援的な子育て」で、その子の気持ちが切り替わるような提案などをするほうが効果的です(取り合いをしている時に、「ダメ」ではなく、「こっちのおもちゃのほうが楽しいと思うよ」など)。でも、危険が伴う場合は、 真剣な表情で目を見て「ダメ」と言葉で伝えるとよいでしょう(子どもは大好きな人の表情から感情を読み取ります)。また、「ダメ」という言葉もよく言いがちですが、「パパ (ママ)はそれしてほしくない」と簡潔な言葉と真剣な表情で伝えるほうが効果的です。感情的になることもあると思いますが、手を出したり、その子を傷つけるような言葉(○ ちゃんなんか嫌いだよ)などは避けましょう。
「スマホやゲーム、与えていいの?」
「どちらも有力な助っ人です」
あとはどううまく利用するか、親のコーディネート力が必要です。
核家族が多く、地域社会とのつながりも希薄ないま、「遊んでおいで」と子どもをひとりで外に出せるような環境で子育てしている人はあまりいないと思います。そんな中、スマホやゲーム、テレビは子育ての有力な助っ人となるでしょう。けれども、その助っ人をどううまく利用していくか、という点においては、親のコーディネート力も必要となってきます。特にスマホは、大人が子ども時代にはなかったものなのに、いまの生活の中で大きな比重を占めています。どうつき合っていくか前例のない中で、何が子どもによいかを考えていきましょう。
どうしたらいいの?
電車でぐずる時、スマホを渡すとピタッと静かになることが多いですね。この便利な道具をいつ、 どんなふうに、どのくらい利用するか、親がコントロールできるのは、ほんのわずかな期間です。 この魅力的な道具は少し油断すると、すぐに大人も子どもも振り回されます。スマホとの出会いをできるだけ遅らせながら、必要な時には便利に利用してください。
先輩ママはどうしてた?
・泣かれるたびにスマホのアプリであやしていたら、 泣いたらスマホじゃなきゃ満足してくれなくなって、大変なことに。これはまずいと思って、 数ヵ月かけて断スマホ”しました。
・ポリシーってわけでもないけれど、強く欲しがることもなかったので、うちはずっとゲームもスマホもなし。友だちもたくさんいるので、まあ、いいかなと思います。
スマホやYou Tubeの影響、受けすぎ?
最近の子どもには、YouTubeがとても人気。YouTube ばかり見せていたら、子どもがYouTuber のように話すようになった、という声も耳にするほどです。新しいこと、 おもしろいことに子どもは敏感ですね。身近な生活にもおもしろいこと、魅力的なこと、真似したいことがたくさんあります。 刺激的なことやイベント的なことを用意しなくても、子どもは大人と過ごすことが大好きです。一緒にお散歩にでも行ってみませんか?
家にいるとゲームばかり。 どうしたらいいの?
テレビもスマホもゲームも、一度出会ってしまい困った習慣がついてからでは、制限が難しいものです。時間を決めるなど、どうしたらいいか、子どもと一緒に考えて工夫をしてみましょう。これからの時代、ずっとつき合っていく道具です。一緒に工夫することが、子どもたちが自分でスマホやゲームとのいいつき合い方をコントロールする時にも役立つでしょう。大人は約束を守れたか管理するのではなく、子どもが自分で管理しやすいように手伝いましょう。
〈イヤイヤ期〉、とにかく大変です
「自我が拡大する大事な時期」
〈自分〉を大きく豊かにしたいのです。
「イヤ!」「ダメ!」と一日のうちに何度も大ブレーキがかかり、大人がくたくたになる「イヤイヤ期」。おもちゃを全部ひとり占めにしたり、時には、あるまじき暴君ぶりを発揮したり ・・・・・・。こんなわがままは厳しくしつけなければいけない、と無理やりに押さえつけることもできます。しかし、怒られるからやらない、他の人のいるところでは自分の思いを抑える、そういうことを教えるだけで十分でしょうか? 自我の拡大と呼ばれるこの時期は、「自分」を 「もっともっと」と欲張りに大きく豊かに太らせる時期です。周囲と協調しながらも自分の思いを大切にできる、そんな大人になるために必要な時期なのです。
ヒント
バイパスを示す
発達心理学者の田中昌人は、「自我の拡大」の後に「自我の充実」が来るので、拡大した自我を押し込めるのではなく、大人が胸を貸しバイバスを示すことが重要であると述べています。「バイパスを示す」とは一本道でぶつからない、同じ土俵でたたかわないこと。全部自分のものかどうか、に焦点をあてないことです。「そう、じゃあ、 こっち貸してくれる?」 と別のものに視点を変えるのはどうでしょう。
・田中昌人著「子どもの発達と健康教育②』(かもがわ出版、1988年)
先輩ママはどうしてた?
・いいことなのかはわかりませんが、お気に入りのお菓子を入れた袋をいつも持ち歩いていました。どうしても言うことを聞かなくて困った時は・・・・・・、魔法のグミです!
・イヤイヤ期、そういえば、いつの間にか終わってました。 渦中にいる時は永遠に思えたのに・・・・・・。終わらないイヤイヤはない、ということですね!
好物のからあげ、全部ひとり占めにしてるけど・・・・・・
これも、「バイパスを示す」ことが解決のヒントです。他のおかずなら差し出せるのか、聞いてみましょう。その時のコツは、 子どもが「いいよ」と言ってくれそうなものを選ぶことです。新たな火種になりそうな子どもがくれそうにないようなものではだめです。くれたら、「ありがとう、うれしい」と子どもに伝えましょう。「全部わたしの!」 と頑張っていた子が、相手に渡し喜ばれる体験をし、次の段階へと成長していく助けとなります。
やりたかったのはわかるけど・・・・・・
バスに乗ったらボタンを押そう、と楽しみにしていたのでしょう。以前経験したことを覚えていて、こうしよう、ああしようと自分の 「つもり」を持つようになります。主体的に物事にかかわろうとする姿です。ところが、 その、自分の「つもり」と現実がずれてしまうと、大変、すべて台無しの気持ちになってしまいます。一時のことです。違う遊びに誘ったり、気持ちを立て直すまでしばらく待ってあげてください。
「イヤイヤ期」を乗り越える
「イヤイヤ期」って何?
2歳前後くらい(1歳半~3歳)になると何でも「イヤ」と言ったり、 かんしゃくが強く、手におえないと感じる時期があります。親からすれば大変な時期です。こちらが、「もうイヤ!」 と言いたくなります。個人差も大きく、かなりひどいイヤイヤの子もいれば、あまり目立たない子もいます。「反抗期」とも言われますが、別に反抗しているわけではありません。親である自分に批判的な感情を向けられているようで、育て方のせいなのか、と思ってしまいがちなのですが、そうではないのです。 「イヤイヤ期」は、何でも自分で「やってみたい」 という自我が育ってくる時期の特徴でもあるのです。ただ、この時期は、自分でやろうという意欲が育っている反面、思ったように手先や体をコントロールすることがうまくいかないことも多いのです。また、自分の思いを上手に言葉で表現できないことも少なくありません。だから、とてもイライラするのです。最近の脳科学では、この時期の子どもは感情などをコントロールする前頭前野がまだ発達途中なので、気持ちの抑制が難しいのは当たり前のこととも言われているのです。逆に言えば、イヤイヤの感情を出しながら、自己主張や気持ちのコントロールの仕方の学習をしているとも言えます。
そのように捉えると、「イヤイヤ期」は決してマイナスではないのです。
イヤイヤ期をどう乗り越える?
そうは言っても、親としては泣き叫ぶわが子を前にどうかかわってよいか、なかなか難しく、悩ましいですよね。イヤイヤ期へのかかわりとして、 次の4つのポイントが参考になるかもしれません。これまで述べてきた、「しつけない」 しつけの方法と共通しますね。
嫌な気持ちに共感する
イヤイヤは怒っても解決しません。かえって、大変なことになります。まずは、その子が嫌な気持ちに共感してみましょう。ギュッと抱きしめて「いやだったよねぇ」などと声をかけることで、落ち着くこともあります。
気持ちを切り替えることができるような提案や選択肢を出してみる
「お外に行って、ワンワン見る?」など、気持ちが楽しくなるような提案をしてみましょう。「これとこれがあるけど、どれかやってみる?」など、 選択肢を出してみるのもいいですね。
イヤイヤが起こるような状況をできるだけ作らない
お出かけの時など、余裕のない状態で「早くしなさい」 とせかさないようにすること。いつも、「これ欲しい」 と言ってごねるような場所には近づかないなど、イヤイヤが起こるような状況を作らない努力も大切。
嵐が過ぎるのを待つ
それでも、難しければ、嵐が過ぎるのを待つしかありません。それも大切な方法です。子ども自身が、時間をかけて気持ちをコントロールするでしょう。静かな場所に移動してから、待つのもいいかもしれませんね。
時には、親自身が感情的になってしまうこともあるでしょう。イヤイヤしている子どもをしばらく放置しておくのは、親としても罪悪感を持つかもしれません。でも、そんな自分をあまり責める必要はありません。親は毎日、十分頑張っているのですから。子育てをしていれば、誰もが、 そんなものです。もし、感情的になりすぎてしまった場合、「さっきは、 ごめんね」と言って、抱きしめてあげましょう。それでも、十分伝わります。この時期は親自身のイライラにもつながらないよう、ご自身のリフレッシュの時間もしっかりとってくださいね。
「幸せ」な子育てになるために
あらためて、「しつけない」 しつけとは
ここまで、「しつけない」 しつけについて述べてきました。あらためてここで、 ポイントを整理してみましょう。
・幼児期の「しつけ」を、集団の規範、規律や礼儀作法など慣習に合った立ち振る舞いができるようにすることをそのまま当てはめてしまうのには無理がある。
・体罰を用いたしつけは、脳の発達への悪影響があるほか、しつけとしても逆効果で不適切。
・「強制型」のしつけよりも、子どもとの対話やふれあいを大事にする「共有型」のしつけのほうが望ましい。
・「しつけない」 しつけとして、①共感する、②待つ・見守る、③選択肢や見通しを示す、④メッセージで示す、などの方法がある。
・自分の気持ちをコントロールする実行機能を育てるためには、子ども自身が自分で解決することを尊重し、最低限の支援をするかかわり方(「支援的な子育て」)が効果的。また、家庭のゆるやかなルールなどの管理も必要。
・いつでも安心してくっつけるような、親との温かい「信頼関係の形成(アタッチメント)」が心や社会性の育ちの基盤になる。
・「共感的なかかわり」が、自分のことが好き、自分は大切な存在と思える自己肯定感の育ちにつながる。
・子どもを能力やスキルから見るのではなく、個性を持った「人間として見る」ことが「しつけない」しつけでは大切。