竹中治堅のレビュー一覧
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1990年代、細川護熙政権の発足と選挙制度改革により小選挙区・比例代表並立制が導入されたことにより、従来の55年体制は崩壊し政治体制は変化の時を迎えた。小選挙区制の下では選挙基盤を持たない小政党は不利なため政党の改変が進み、小沢一郎を中心とする細川政権の重要人物は新進党を結成する一方、自民党内では政治資金改革により議員個人や派閥の資金力が低下し政党交付金への依存度が高まり、また総裁の公認権が認められたことで小選挙区制のもとで公認を得ることと当選が結びついたことにより総裁の人事権が増したことで、旧来自民党を動かしてきた派閥の影響力が弱まり、首相に権力が集中することになった。この動きは橋本龍太郎内
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ネタバレおそらく21世紀では最高の外交・安全保障に関する政治力が高かった政治家・高村正彦による回想録。正直な話「外交の安倍」という評価の8割はこの人が後ろで支えていたお陰だと思っている。
冷戦が終結し、世界の枠組みが変わっていく中で旧来の「9条平和論」に拘泥していた政・官を根気強く変えていった著者の苦労が読み取れる。
当時はあまりそんな感じはしなかったけど小泉さんとはかなり険悪で安倍さんとはずっと仲良かったんだね。小泉時代に総裁選出てたとはいえそこは意外。
終盤は憲法9条論における芦田修正の根拠のなさと砂川事件の唯一の判例性に触れていたのが面白かった。判例を絶対視しすぎるのもどうかと思うけど、現状それ -
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本書では、日本国内における新型コロナウイルス感染症への対応過程を、2020年1月から9月にかけて順を追って詳細に記録されている。
こうした詳細な記録が、今後、政府や自治体の対応方法を検証する上で重要になってくることは間違いないと思われる。
本書では、日本でのコロナ対策が円滑に進まなかった要因の一つとして、地方分権化が局所的に進められたことをあげている。局所的な分権化は、様々な施策と不整合を起こし、今回のコロナ対策における対応の遅れにつながったと本書では指摘している。
政治家それぞれの思惑ではなく、大局観を持った制度設計が必要だということを改めて実感させてくれる一冊。
こうした詳細な記録を記した -
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ネタバレ小選挙区制・比例代表並立制のもとで、選挙戦は政党間の争いを中心に行われることになった。比例区では、有権者は政党に投票するので、これは無論のことである。小選挙区では各政党は一人しか候補者を立てず、有権者は候補者がどの政党に所属しているかを大きな判断材料として投票する。p37
小渕内閣とその後の森内閣は、自民党の伝統的派閥政治が完全復活したかのように見える。p104
首相の地位を獲得・維持するうえでは、派閥の支持よりも、世論の支持を得ることが何よりも重要になりつつあった。派閥の力は確実に弱体化し、この裏返しとして、首相が総裁として持つ権限は強まっていったからである。p138
【2001年に実 -
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ネタバレ[ 内容 ]
細川連立政権崩壊から一〇年以上が過ぎ、日本政治は再び自民党の長期政権の様相を呈している。
しかしその内実は、かつての派閥による「支配」とは全く異なる。
目の前にあるのは、一九九〇年代半ばから進んだ選挙制度改革、政治資金規正法強化、行政改革などによって強大な権力を手にした首相による「支配」なのだ。
一九九四年以降の改革のプロセスを丹念に追い、浮かび上がった新しい日本の「政治体制」をここに提示する。
[ 目次 ]
序章 新しい政治の幕開け
第1章 自民党の政権復帰と新進党の結成
第2章 橋本内閣と行政改革
第3章 新進党の崩壊と民主党の台頭
第4章 小渕恵三・森喜朗内閣―過渡期の政 -
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小泉政治をどのように評価するか、というのは非常に難しい問題だが、この本では、その意義が明確に描かれている。小選挙区制・省庁再編と大蔵省解体によって出来上がった「制度」を最大限に活用した最初(で最後?)の首相としての小泉純一郎。それが単純なポピュリズムにしか見えないのなら、そんな国にこの制度は不要だ。
しかし、「日本政治の変貌」と銘打ったものの、実際には首相や大臣のリクルートメントやトレーニングが追いついていないことがすでに「小泉後」によって明らかになった。それをどうするか、は明確な回答がない。
著者のように、海外でトレーニングを受けてくる、といったことが文系の学問では未だに盛んである(すでに理 -
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これは分かりやすいし、面白いですよ!!総選挙や総裁選やら、そういう政治のイベントに物を申したい人のうち、僕みたいにあまり物を知らない人はこれを読むべきです。簡単に言うと、小泉政権は今までとどう違っていて、どうやって確立されたのか、ということが書いてあります。彼は55年体制を意識して、2001年体制と名づけた上で、小選挙区+比例代表であること、派閥が弱くなって首相の権力が強くなったこと(公認権と政治資金配分において)、大蔵省が弱くなったこと、参議院が強くなったこと(ただし小泉が裏技を発明した)・・・あれ、あとなんだっけ?手許にないから分からん。これらは全て互いに結びついているわけです。参議院の影
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2020年1月に日本で最初の新型コロナ罹患者が確認されてから9月の安倍政権の退陣までのコロナ危機への対応に係る政治過程を首相と知事の動きに着目して振り返っている。そして、感染症対策の分野における都道府県をはじめとする地方自治体の法的権限により首相の指導力が制約されたこと、感染症に対処するための様々な「キャパシティー」(検査、医療機関、保健所の各キャパシティーなど)の制約が政策の選択肢を狭めたこと、新型コロナ対応における「先例」や「モデル」の重要性などについて指摘している。
2021年4月時点から見て、我が国におけるコロナ危機対応の前半期の政治過程がよくまとまっており、何がどのように起こっていた -
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現・政策研究大学院大学准教授の竹中治堅による55年体制以後の政治過程論概説。
【構成】
序 章 新しい政治の幕開け
第1章 自民党の政権復帰と新進党の結成
1 細川内閣の崩壊
2 自社さ連立政権
3 新進党への結集
第2章 橋本内閣と行政改革
1 新進党の脅威と自民党総裁選
2 第一次橋本内閣
3 始動する橋本行革
4 大蔵省の機構改革
第3章 新進党の崩壊と民主党の崩壊
1 揺れる新進党
2 新進党の解散
3 新・民主党の誕生
第4章 小渕恵三・森喜朗内閣-過渡期の政権
1 1998年の総裁選
2 本格政権化と突然の終焉
3 「加藤の乱」と公認権
第5章 小泉純一 -
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本書の要約
一般的に一連の小泉改革は彼個人の人気・指導力によって為されたという認識が強い。しかし本書は一般的認識とは別の観点から、なぜ小泉改革が可能であったのかを説明する。著者はいかにしてポストとしての首相・自民党総裁は強大な権力を手にし、「首相支配」が実現されたかを細川政権以降の国内政治を詳しく振り返ることによって描き出している。著者は首相支配を可能たらしめた三つの要素を提示する。
第一に選挙制度が中選挙区制から小選挙区制に変わったこと(これは90年代前半に日本中を覆った政治改革旋風を「権力の維持のみを目的とし、そのためにはあらゆる手段をとるという自民党」(山口二郎「戦後政治の崩壊」