中村富士美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
登山をする者にとって遭難は、だれにでもどこででもいつでも起こりえると言えます。
作者は普段は看護師として、医療に従事されていますが、山岳行方不明遭難者捜索活動および行方不明者家族のサポートを行う民間の山岳遭難捜索チーム、LiSSの代表です。
普通、遭難の一報が入ると警察、消防などによる捜索が開始されますが、大体一週間ほど捜索をして見つからない場合、公的な捜索はひとまず打ち切りになるようです。
しかし残された家族は何としても見つけてあげたい、帰ってきて欲しいのです。
そこで中村さんの団体に声がかかります。
中村さんはまず、家族との面談を行います。
本人について、事細かに聞き取りをし、その人の性格 -
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「山好きが山でなくなったのだから本望だ」。とは思わない。
自身も登山が趣味でよく山に登る。初めて登る山は不安が多い。何度か道に迷ったことがある。すぐにルートに戻れることが多いが、なかなか戻れずに右往左往し、パニックになるそんなとき、“遭難”の二文字が頭をよぎる。それはまさしく恐怖!である。
この本の中での遭難者は皆、山迷いや転落などの事故死である。即死状態であったかもわからないし、事故によって動きが取れなくなり、忍び寄る死への恐怖を感じながら家族への思い、導かれた山への思いもあれば、後悔も無念さもいろんな気持ちで数時間、あるいは数日を過ごしたことだろう。
本望でないにしても本人の好きな山 -
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子育て終わりの頃から始めた山歩き・・いつの間にやらのめり込む登山者となった。
捜索にかかわっている専門家の目線より、素人だからこそ気づくというプロファイリングに舌を巻いた。
幾つか、私も歩いた場所があった事もあって息をつめて読み、遺体発見時の描写を頭に描きました。
一つ間違えば、私も同じ轍を踏んでいたことは想像に難くない。まして運命は天から見下ろす形で己に降ってくると日頃から感じている為、作中にも同様の事が書かれているのを読み色々考えさせられるものばかりでした。
中村さんの文筆力も惹きつけられるものであり、とても読み易く、伝わってくるものが大きいです。
山を愛し、歩いている方々にぜひともバ -
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看護師である著者がいろいろなご縁で、
民間の山岳遭難捜索団体LiSSの代表となり、
山岳遭難者の家族ケアを含め、
遭難者のプロファイリングをしながら、
捜索をする活動記録
初心者が登るような里山的な山でも
遭難者がでることに自然の驚異を感じます。
安易な気持ちでの登山は危険だな。
実力や準備、いろいろと考慮しても、ベテランでさえも
危険はつきものなのですね。
捜索が打ち切られたあとでも
このような民間団体が捜索してくださる
相談できる場所があるのは家族の救いです。
家族に寄り添い、見つかった後の家族が
遭難者の最後に見た景色をみてみたいという気持ちを
一緒に行動してくださる著者にあたまが下 -
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山の遭難者、中でも日が経ち「せめてお別れだけでも」の人を捜していくケース集。著者は看護師、自分をあくまで山に関しては「初心者目線」と称し、そのかわり、性格や行動の癖など、人としての理解を深めていくアプローチ。その視点の行き届かせ方が細やかで深い。
山の熟練者には気づかないポイントに着目し、この人ならこんな行動をするはず、と捜索範囲を決めていく。生きた人同士でも、こんなに深く相手を推し量って動ける人なんてそういない。そして、行方不明者ではなく、本当に「おかえり」を言いたくて待っている家族を救っているんだなと実感する。
リアルで詳細なノンフィクションでありつつ、ドラマや小説のような読み心地もあ -
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ネタバレ看護師でもある著者の私設山岳救助隊での、比較的低山での遭難者捜索の記録。ここでの遭難者の共通点は、高齢者の単独行でGPSの未使用。色々教えられる点が多い。遭難には、登山者の性格も多きく影響。自己分析が重要。遭難者のご冥福をお祈りしたい。
ケース1棒の折山:ルート間違い
ケース2飛龍山;経験不足、人の少なく、夏の藪で分かりにくい登山道。悪天候。地図もたず。
ケース3秩父槍ヶ岳:道標が動いてため、誤った道へ。
ケース4丹沢ミズヒ沢:沢登りのベテラン。それでも滑落。
ケース5皇海山:無理な行動計画。疲労。ココヘリ電源OFF。
ケース6巻機山:割引き沢の雪渓の踏み抜き。 -
Posted by ブクログ
看護師であり、民間の山岳遭難捜索団体LiSSの代表でもある中村富士美さんが、実際にあった遭難捜索の6つのエピソードを書いている本。
自分も近所の山をハイキングしていて道に迷ったことがあり、こんなところで遭難?!と焦ったことがある。幸い目的地とは違う場所に降りることが出来たけれど、誰にでも山歩き中に遭難する危険はあると感じた。
本書の中で、山で遭難して残念ながら亡くなった方々のその時の気持ちを想像すると胸が痛くなるが、中村さん達の尽力のお陰で遺族の元に帰ることが出来、遺族の方もそれを受け入れて前に進むことが出来るので、中村さんたちの仕事の意義は大きいと思う。
山で遭難しないためのコラムも必読。 -
Posted by ブクログ
子供たちがハイキングで登るような里山でも遭難が起こる。著者の中村さんは山登り初めて1年のうちに2件のご遺体と遭遇してることにも驚きのエピソードだったのですが、捜索活動はデッドラインと呼ばれる72時間以内に救助しなければ生存の可能性が低くなっていく。1週間の警察や消防の捜索が打ち切られると、ボランティアや民間の捜索会社が捜索に当たることになるけれど長期化し発見される頃には白骨化したご遺体になっているケースもあるようです。
本章では坊ノ折山、飛竜山、秩父槍ヶ岳、丹沢、皇海山、巻機山の6つのケースが紹介されていました。いずれも関東の山で登ったことないのでどんなルートで歩いたのか興味湧きました。
捜索