中村富士美のレビュー一覧
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母から勧められて読んだ本でした。山で遭難された方々の発見を待つ家族の心境を知る事ができ、「そうか。遭難して何年も見つからなかった場合、死は事実として決して受け入れられるものではなく、ご遺族は心の中でまだ生きているかもしれない、という希望と共に、亡くなっているかもしれない、という不安と共に生きていくしかないのか」と、当たり前のことかもしれませんが、そう感じた本でした。
私は怖がりなので、山に登ってみたいと思いつつも、遭難の怖さなどが先立ってしまい、まだ登った事はないのですが、この本から山登りをするさいの心得を学ぶ事も出来ます。
・遭難した時は、沢に降るのではなく、上を目指した方が圧倒的に発見 -
Posted by ブクログ
山岳遭難者の捜索に携わられている方による、実際のお話。最初に書かれていたが、山岳遭難というと2〜3千メートルクラスの険しい山で起きるものというイメージだったが、本書の事例はそうでは無かった。かといって登山初心者でもないし、初めて登った山ではないケースもあった。それだけ、登山と遭難というのは切り離されない関係にあるということを感じた。
著者の方は民間にて山岳遭難者の捜索にあたっている方で、そういう団体があることも初めて知った。
この方は遭難者を闇雲に探し回るのではなく、ご家族などに遭難者の性格や普段の振る舞いなどを聞いてプロファイリングのようなことをしてから、どこで遭難したのかを検討するようであ -
Posted by ブクログ
著者は、山岳看護師。山岳遭難捜索の現場の実態及び自身の経験を語ったノンフィクション。
中高年の登山ブームで、毎年のように遭難事故が起きている。登山家が高所で遭難する事例を想像しがちだが、実際は「こんな山で」と思うような低い山でも遭難は起きている。原因として多いのは、道に迷う、転倒、滑落、病気、疲労、天候の悪化など。それから登山者本人の性格も影響する。強気で前向きの性格の人は、無理してしまう傾向があるらしい。
著者は民間の捜索団体を立ち上げ、警察と協力しながら行方不明者の捜索を行っている。登山者としての経験は短いが、ベテランの登山家とは違う視点で、素人の山好きの行動を分析・推測し、成果を上げた -
Posted by ブクログ
民間の山岳遭難捜索チーム「LiSS」の代表の著者。
遭難者の家族に寄り添い、サポートし、丁寧な聴き取りからプロファイリングをして、遭難者の手がかりを探っていく。
公的機関の救助が打ち切られた後に依頼されることが多いようで、全て紹介されているのはご遺体で発見されたケース。
何週間、何ヶ月もかかる捜索は見つからない時の待つ家族の心の変化についても触れられている。家族の心労はかなり大きいようで丁寧に真摯に寄り添ってくれるのは心強いだろう。
登山しない自分にも語り口が分かりやすく、著者の仕事への想いと情熱が伝わる。遭難者の家族のサポートを含めたこの様な捜索チームがあるという事とその仕事を詳しく知る