加藤尚武のレビュー一覧
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うろ覚えのレビュー。
臓器移植・遺伝子治療・クローンが医療技術の進歩により可能になりつつある中で、それぞれの医療行為が倫理的に許容されうるか議論している内容。
これらの医療行為の問題点として挙げられるのが
・医療を受ける決定を行うのが患者本人で無いことがある(障害を持つと診断された胎児 etc.)
・遺伝子疾患は患者数が少ない物も多く医療費、研究費配分が不平等になり得る(数人しか患者のいない疾患は研究費が集められないetc.)
ということ。
この本の中で何かしらの「結論」を述べているわけではなく、多様な視点から実際に起きた事例を挙げつつ問題を考察している。 -
Posted by ブクログ
この本は、応用倫理学では有名な加藤尚武教授が放送大学のテキストとして書かれたものに、本人により加筆されたものである。テキストらしく、古典的な倫理学から応用倫理学までの重要な論点がざっと解説してある。
語り口はやさしく、それぞれの論点が、簡潔ながらとても分かりやすく説明してある。カント、ヒューム、ロールズなどの考え方が端的に示されると共に、新しい論点である生命倫理学や環境倫理学についても触れられており、倫理学の鳥瞰図を示す形を取っている。
また、この本は文庫サイズで、正味250ページを割るというボリュームから推察される通り、個々の論点の詳述に関しては当然期待すべくも無いだろう。分かりやすく鳥瞰図を示し、必要に応じ何を調べれば良いか、何が倫理学の論点として議論されてきたのかを学習者に伝えることができれば良いわけだ。
その点、確実にこの本は目的を達成している。自由主義と共同体主義、愚行権についてなど、一般に倫理学の論点として語られるものはほぼ網羅してあり、次のステップに入ることがこの本を読むことによりとても容易になる。こういう書物は倫理学の分野には以外と無かったのである。
また、それぞれの章(全15章)が「人を助けるために嘘をつくことは許されるか」のように、設問形式になっており、興味を喚起しやすいのも特徴だ。
著者の結論はかなり唐突に示されることがあるが、気にすることはない。哲学系の世界では、そもそも結論は自分で考えるものだし、きちんと自分なりの結論を見いだすためにはにはもう少し詳しい本を読まなければならない。それはこの本の範疇を超える部分なのである。 -
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[ 内容 ]
九・一一以後、世界は戦争に向かって地滑りを起こしているのかもしれない。
こうした状況にあって、ともすると人は、戦争が生み出す悲惨な現実に慣れてしまい、正気を失ってしまう。
まやかしの議論に乗せられないためには、戦争に関する最低限の議論を知っておかなくてはならない。
本書は、そうした重要論点を整理し、戦争抑止への道を探る戦争倫理学の試みだ。
同時多発テロに端を発する米国の軍事行動、ロールズの原爆投下批判、憲法九条問題などが取り上げられており、いま、戦争について冷静に考え、実りある議論をするための、重要な手がかりを与えてくれる。
[ 目次 ]
戦争に関する正気とは何か
戦争の二種類のルール―戦争目的規制(jus ad bellum)と戦闘経過規制(jus in bello)
連続テロに対する報復戦争は正当か―私の第一の反戦メイル
国家という猫には誰も鈴をつけられない―トーマス・モアの処刑とグローティウスの戦争論
アメリカの良心は「ヒロシマ」に「ノー」と言った―ロールズの原爆投下批判
ゲルニカを忘れないで―私の第二の反戦メイル
鉛の兵隊さんはどうして美しい制服を着ているのか―傭兵軍から国民軍への転換
カントの「永久平和論」
人は共和国のために命を捧げる―ヘーゲルの考えた国家と戦争の関係
戦争をした日本は有罪か―「東京裁判史観」と東京裁判の問題点〔ほか〕
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
倫理を授業で一度たりとも習った事ない自分でも、面白く読めた。
「人を助けるために嘘をつくことは許されるか」や「10人の命を救うために1人の人を殺すことは許されるか」など、それこそ千差万別にありそうな解を、古今の倫理・哲学者たちの意見を参考にもっとも正しいと思われう答えを導き出していく。前者の「人を助けるための嘘」については、「誠実は絶対的な義務」といった大哲学者カントは例え、その人を助ける為でも、嘘はだめ!という事らしい。カント曰く、誠実(嘘をつかない)に背く時は、自分もしくく相手を特別視する事になり、例外化が発生する。その事により例外の一般化が発生し論理の矛盾を犯してしまうなどの意見がある。
現代人はおそらく深く考えずに、人の為になる嘘はOK!のような意見が多数だと思うが、論理的に理由を説明できる人は何名いるのだろう?自分は1年ほど前は「この世のすべての人、それぞれの思想は正しく肯定されるべき」と、他人を尊重したいと考えていたのだけど、そうすると、殺人等の犯罪も肯定する事になりかねない。人生を生きていく上で、どうしても間違っている!と思う事がたくさんある。でも、そういった時に、善悪や罪と罰。それらの答えが自分の中で出ていないと、いけないと思う。少なくとも自分が納得できないから…。
この本は一度だけでは、もったいないので何度も読むことにしよう。 -
Posted by ブクログ
名前のとおり、近代の倫理学事情を諸概念の丁寧な説明と共に紐解いて行く入門書。著者の意見が前面に出ているように思えるところが散見されるが、おそらくほとんどは現代倫理学の前提とされているような内容だろう。そのあたりが気になるだろうと思う人は、あとがきから読むと、たぶん気にならなくなると思うので吉かと。倫理学入門の良書。
J.S.ミルの『自由論』や、カントの『道徳形而上学原論』を読んでいたので、本書にそれらの引用がかなり多かったので、こういうのもあったなーとか、こういう見方もできるかー、など考えながら読んだ。こちらを先に読んでも理解を助けるはずなのでよいと思う。 -
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「倫理」とは何を指すのか。辞書(大辞林)で引いてみると「人として守るべき道。道徳。モラル。」という説明書きがついていた。ではその道徳とは?モラルとは?「人として守るべき道」とは?この本では「人を助けるために嘘をつくことは許されるか」「他人に迷惑をかけなければ何をしてもよいのか」「10人のエイズ患者に対して特効薬が1人分しかない時誰に渡すか」などが例題としてあげられている。社会の中での生活で、このような「選択・決断」を迫られることは多々ある。そのときどのような道をとるべきか?真の「倫理」とは何か?そんなことを考えさせられる本。
大学でとある授業のテキストとして読んだ。一辺倒の答えを教えられるのではなく「考える」ことの深みを味わえたと思う。 -
Posted by ブクログ
クローン(主にヒトクローン)についての倫理的な側面について知りたくて読んでみました。
ヒトクローンについては、何らかの理由により禁止しようとすると、「その理由でヒトクローンを禁止するならば、他の医療行為についても禁止すべき」という結論が得られることが多いようですね。
たとえば、「子どもが欲しい」という理由でのクローン技術の利用を禁止するならば、同じ理由での「体外受精」も禁止すべきではないかと。
しかも「体外受精」の場合は、DNAが親のものとは限らないわけで、その点においては、100%親由来のDNAであるヒトクローンの方が健全、という考えすら可能です。
というわけで、倫理的な面からヒトクローンに関する課題を解決するのは、なかなか難しそうです。
ちなみに、この本は20年以上前に出版されたこともあり、ネタ的に古い内容も含まれています。
とくにジェンダー関連は、考え方が古すぎ。
もしかしたら、出版時点でも古い考え方だったのではないかと思われるレベルでした。
ただ、医療の対象について、かつては感染症が主、現在は生活習慣病が主、そして今後は遺伝子が関係する病気が主、という考え方は、とても納得できました。
さらには、医療の対象の変化にともない、治療の判断の主体が変化する(感染症の場合は社会、生活習慣病の場合は個人、遺伝子が関係する病では家族)、という考え方も、とても納得できました。
それゆえ、「医療」の進化を理解する、よいきっかけになったとは思います。 -
Posted by ブクログ
近代・現代で扱っている倫理学のトピックスを門外漢でもとっつきやすいようなテーマを切り口に話してくれる。
本書は元々放送大学の教科書として用いられていたこともあり、入門書と言えど正直難解だと感じた。
(これは学術書あるあるではあるが。。)
特に物理学などと違い、答えを出すのでなく「こういう考え方もできるよね」と紹介ベースで終わらざるをえず、それも尚更ややこしくしていると思う。
また学術書だから仕方ないが、個人の生活のアレコレというよりは立法や政治、社会倫理といった社会システムに関わる内容が多かったのでピンときにくかった。
逆に現代社会が如何に倫理学をベースに創り上げられているかもよくわかったが。
以上の取り組みにくさが個人的にはマイナスだったものの、理解できた内容はタメになるものだった。
自分が漠然と判断していたものを論拠をもって整理してもらった感じ。
章立ては以下。
J.S.ミル の自由論をベースに「功利主義」を適用して主に論じられていく。
1.人を助けるために嘘をつくことは許されるか
2.10人を救うために1人を殺すことは許されるか
3.10人のエイズ患者に対して特効薬が一人分しかないとき、誰に渡すか
4.エゴイズムに関する行為はすべて道徳に反するか
5.どうすれば幸福計算ができるか
6.判断能力の判断は誰がするか
7.・・・であるから、・・・・べきである を導くことはできるか
8.正義の原理は純粋な形式で決まるか、共同の利益で決まるのか
9.思いやりだけで道徳の原則は出来るのか
10.正直者が損をすることはどうしたら防げるか
11.他人に迷惑をかけなければ何をしても良いか
12.貧しい人を助けるのは豊かな人の義務であるか
13.現在の人間には未来の人間に対する義務があるか
14.正義は時代によって変わるか
15.科学の発達の限界を定めることはできるのか
以下、いいなと思った内容。
・ 「・・・のために役立つ」という考え方はどこまで行っても終わらない
・人間の悪事には3つがある。他者への危害、他者への迷惑、自分への危害である。
・カントの分類わけ
自己に対する完全義務
他者に対する完全義務
自己に対する不完全義務
他者に対する不完全義務
・趣味について成り立つ相対性を、正義にまで拡張する事はできない
・我々は先祖が我々にしてくれたことを子孫にすることによって、この借りを返す。
・人々が価値観が変化すると信じていることは、価値判断以外の別の要素の変化であり、価値判断は本質的に変わらない。 -
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20世紀の主要な哲学者、思想家についてのコンパクトな解説書です。フッサールに始まる現象学の流れと、構造主義以降のフランス現代思想、英語圏の哲学、社会思想、そして日本の思想から西田幾多郎と丸山眞男がとりあげられています。
単なる概説ではなく、著者自身の評価がかなり明確に示されています。たとえば、意識の内面に還帰することをめざす現象学に対して著者は批判的です。また、西田幾多郎が超克しようとし、丸山眞男が実現しようとした「西洋近代」像が、浅薄なものにすぎなかったことを厳しく批判しています。
この一冊で20世紀の思想の全体像をつかむのは難しいように思いますが、著者自身の観点から大きな枠組みを示している点で、興味深く読むことができました。 -
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戦争は無い方がいいですか?との問いに、あなたはどう答えるだろうか?「人がたくさん死ぬから無い方が良いに決まってる!!」と答えたあなた。では「目の前で誘拐されそうな友人を、実力で救い出してはいけないと思いますか?」との問いにはどう答えますか?
戦争に関する既存の「まやかし」の議論に惑わされずに議論するために、知っておくべき論点が提示されている。例えば、戦争をする権利やルール、第二次世界大戦における日本の罪、憲法9条の問題点等々、複数の観点から見ると浮かび上がってくる矛盾も示されている。
以下はメモ
12〜13頁:
この章はある引用から始まるが、これを読んで何を思っただろうか。どれほど残虐なものであっても「慣れ」が生まれてしまう。そこで著者は「正気の判断を維持するためには、『慣れ』に抵抗できる仕組みが必要である」という。
102〜123頁:
ここは8・9章に相当。カントやヘーゲルの考え方が出てくる。他の章と比べると(個人的には)、読んでもそれほどには興味を持てない部分だった。
183頁:
「改釈」の文化は憲法9条の「改釈」から始まったのではないか、と著者はいう。国産肉、安全な食品、危険な原子炉…
様々な解釈・趣旨に照らしていくと9条の不明な点が見えてくる。特に自衛権。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ[ 内容 ]
生命・環境・地球…21世紀の課題に答え得るのは、どの思想なのか。
20人の思想を再検証する。
[ 目次 ]
プロローグ 思想の二十世紀
第1章 進歩と革命への期待
第2章 人間の意志と欲望を見つめて
第3章 内面性の厳密な記述
第4章 解釈学と構造主義
第5章 科学とは何か
第6章 社会性と正義
第7章 日本の思想
エピローグ クワイン、ガダマー、そして二十一世紀への展望
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]