加藤尚武のレビュー一覧

  • 20世紀の思想 マルクスからデリダへ

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    哲学に触れるのは、高校の倫理以来……と、いうわけでもないが、あやふやな知識の「補強」に、と読んだ一冊。必要に応じて、辞典のように使ってもよいかもしれないが、どちらかと言えば(その分量からしても)サラッと通読するのに適した本だと思う。
    今後、自然科学を社会科学抜きに独り歩きさせてはならないだろうし、社会科学の側も自然科学の理解抜きには前に進めないのだと思う。筆者がエピローグで述べていた通り、今私たちには「地球規模で通用する理性」が何より求められているのだろう。

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    2011年06月30日
  • 脳死・クローン・遺伝子治療

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    うろ覚えのレビュー。

    臓器移植・遺伝子治療・クローンが医療技術の進歩により可能になりつつある中で、それぞれの医療行為が倫理的に許容されうるか議論している内容。

    これらの医療行為の問題点として挙げられるのが
    ・医療を受ける決定を行うのが患者本人で無いことがある(障害を持つと診断された胎児 etc.)
    ・遺伝子疾患は患者数が少ない物も多く医療費、研究費配分が不平等になり得る(数人しか患者のいない疾患は研究費が集められないetc.)
    ということ。

    この本の中で何かしらの「結論」を述べているわけではなく、多様な視点から実際に起きた事例を挙げつつ問題を考察している。

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    2010年12月05日
  • 現代倫理学入門

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    この本は、応用倫理学では有名な加藤尚武教授が放送大学のテキストとして書かれたものに、本人により加筆されたものである。テキストらしく、古典的な倫理学から応用倫理学までの重要な論点がざっと解説してある。

    語り口はやさしく、それぞれの論点が、簡潔ながらとても分かりやすく説明してある。カント、ヒューム、ロールズなどの考え方が端的に示されると共に、新しい論点である生命倫理学や環境倫理学についても触れられており、倫理学の鳥瞰図を示す形を取っている。

    また、この本は文庫サイズで、正味250ページを割るというボリュームから推察される通り、個々の論点の詳述に関しては当然期待すべくも無いだろう。分かりやすく鳥

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    2010年10月10日
  • 戦争倫理学

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    [ 内容 ]
    九・一一以後、世界は戦争に向かって地滑りを起こしているのかもしれない。
    こうした状況にあって、ともすると人は、戦争が生み出す悲惨な現実に慣れてしまい、正気を失ってしまう。
    まやかしの議論に乗せられないためには、戦争に関する最低限の議論を知っておかなくてはならない。
    本書は、そうした重要論点を整理し、戦争抑止への道を探る戦争倫理学の試みだ。
    同時多発テロに端を発する米国の軍事行動、ロールズの原爆投下批判、憲法九条問題などが取り上げられており、いま、戦争について冷静に考え、実りある議論をするための、重要な手がかりを与えてくれる。

    [ 目次 ]
    戦争に関する正気とは何か
    戦争の二種類

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    2014年10月27日
  • 現代倫理学入門

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    倫理を授業で一度たりとも習った事ない自分でも、面白く読めた。
    「人を助けるために嘘をつくことは許されるか」や「10人の命を救うために1人の人を殺すことは許されるか」など、それこそ千差万別にありそうな解を、古今の倫理・哲学者たちの意見を参考にもっとも正しいと思われう答えを導き出していく。前者の「人を助けるための嘘」については、「誠実は絶対的な義務」といった大哲学者カントは例え、その人を助ける為でも、嘘はだめ!という事らしい。カント曰く、誠実(嘘をつかない)に背く時は、自分もしくく相手を特別視する事になり、例外化が発生する。その事により例外の一般化が発生し論理の矛盾を犯してしまうなどの意見がある。

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    2010年08月06日
  • 現代倫理学入門

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    名前のとおり、近代の倫理学事情を諸概念の丁寧な説明と共に紐解いて行く入門書。著者の意見が前面に出ているように思えるところが散見されるが、おそらくほとんどは現代倫理学の前提とされているような内容だろう。そのあたりが気になるだろうと思う人は、あとがきから読むと、たぶん気にならなくなると思うので吉かと。倫理学入門の良書。

    J.S.ミルの『自由論』や、カントの『道徳形而上学原論』を読んでいたので、本書にそれらの引用がかなり多かったので、こういうのもあったなーとか、こういう見方もできるかー、など考えながら読んだ。こちらを先に読んでも理解を助けるはずなのでよいと思う。

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    2010年06月16日
  • 戦争倫理学

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    はっきりしていてなかなか面白かった。引用が多くて勉強にはなるけれどもその分著者の主張も少なくなるから少し物足りなくも感じる。原爆投下や非戦闘員への攻撃についてはその悲惨さを彷彿とさせるものがあった。でも今更九条について作りが甘いだのそんな文句を言っても全く意味がないと思う。

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    2009年12月26日
  • 現代倫理学入門

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    「倫理」とは何を指すのか。辞書(大辞林)で引いてみると「人として守るべき道。道徳。モラル。」という説明書きがついていた。ではその道徳とは?モラルとは?「人として守るべき道」とは?この本では「人を助けるために嘘をつくことは許されるか」「他人に迷惑をかけなければ何をしてもよいのか」「10人のエイズ患者に対して特効薬が1人分しかない時誰に渡すか」などが例題としてあげられている。社会の中での生活で、このような「選択・決断」を迫られることは多々ある。そのときどのような道をとるべきか?真の「倫理」とは何か?そんなことを考えさせられる本。
    大学でとある授業のテキストとして読んだ。一辺倒の答えを教えられるの

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    2009年10月04日
  • 現代倫理学入門

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    近代・現代で扱っている倫理学のトピックスを門外漢でもとっつきやすいようなテーマを切り口に話してくれる。

    本書は元々放送大学の教科書として用いられていたこともあり、入門書と言えど正直難解だと感じた。
    (これは学術書あるあるではあるが。。)
    特に物理学などと違い、答えを出すのでなく「こういう考え方もできるよね」と紹介ベースで終わらざるをえず、それも尚更ややこしくしていると思う。

    また学術書だから仕方ないが、個人の生活のアレコレというよりは立法や政治、社会倫理といった社会システムに関わる内容が多かったのでピンときにくかった。

    逆に現代社会が如何に倫理学をベースに創り上げられているかもよくわかっ

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    2021年12月04日
  • 戦争倫理学

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    911の影響を強く受けて出された本だけど、改憲議論やトランプ政権のことを客観的に考えるガイドが欲しいと思い一読。

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    2019年05月05日
  • 20世紀の思想 マルクスからデリダへ

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    20世紀の主要な哲学者、思想家についてのコンパクトな解説書です。フッサールに始まる現象学の流れと、構造主義以降のフランス現代思想、英語圏の哲学、社会思想、そして日本の思想から西田幾多郎と丸山眞男がとりあげられています。

    単なる概説ではなく、著者自身の評価がかなり明確に示されています。たとえば、意識の内面に還帰することをめざす現象学に対して著者は批判的です。また、西田幾多郎が超克しようとし、丸山眞男が実現しようとした「西洋近代」像が、浅薄なものにすぎなかったことを厳しく批判しています。

    この一冊で20世紀の思想の全体像をつかむのは難しいように思いますが、著者自身の観点から大きな枠組みを示して

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    2017年11月29日
  • 戦争倫理学

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    戦争をテーマに倫理学の立場からの考察をおこなっている本です。

    新書なので分量的にやや厳しい制約がありますが、いちおう国家主権の絶対性という思想の来歴を紹介し、ロックからカント、ヘーゲルと、近代の思想家たちの戦争論を踏まえて議論が展開されています。また後半では、東京裁判におけるパル判決書や憲法9条などをテーマに、戦争と平和についての原理的な観点からの考察が展開されています。

    比較的イデオロギー・フリーな立場からの、戦争についての倫理学的な考察の一端に触れることができたという意味で、個人的には有益な読書だったように思います。

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    2014年12月22日
  • 戦争倫理学

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    戦争は無い方がいいですか?との問いに、あなたはどう答えるだろうか?「人がたくさん死ぬから無い方が良いに決まってる!!」と答えたあなた。では「目の前で誘拐されそうな友人を、実力で救い出してはいけないと思いますか?」との問いにはどう答えますか?

    戦争に関する既存の「まやかし」の議論に惑わされずに議論するために、知っておくべき論点が提示されている。例えば、戦争をする権利やルール、第二次世界大戦における日本の罪、憲法9条の問題点等々、複数の観点から見ると浮かび上がってくる矛盾も示されている。

    以下はメモ

    12〜13頁:
    この章はある引用から始まるが、これを読んで何を思っただろうか。どれほど残虐な

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    2013年07月03日
  • 戦争倫理学

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     倫理学者が戦争と倫理について語る15章。過去に書いた小文をまとめて出版したものらしく,全体のまとまりには欠ける。
     基本的に反戦の立場から,9.11後の米国の対テロ戦争や,小林よしのりの『戦争論』を批判している。
     反戦といっても現実を見ていない理想主義的なものではなく,戦争を有効に終結させる平和的手段がないときに,既発の戦闘を停止させるための戦闘行為は正当としている。時代を経るにつれて,平和的手段の選択肢は増えていくと信じたい。楽観的に過ぎるだろうか。

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    2012年10月31日
  • 脳死・クローン・遺伝子治療

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    倫理的な議論をするときに、個人の好悪なのか、倫理的な観点なのか、法律的な観点から話をしているのかきちんと区別をしておかないと議論がまとまらないことがわかった.特に脳死の話.

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    2012年06月26日
  • 現代倫理学入門

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    倫理学の概要をさらうにはちょうど良い量です。
    内容もわかりやすい。
    もともと課題のために買った本で時間に追われながら読みましたが、いま読み返すと興味深い事も書いてありました。

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    2012年03月17日
  • 脳死・クローン・遺伝子治療

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    11/07/14。
    バイオエシックスは、自由主義思想の延長にある。しかしそれでも問題を抱えている。さてどう解決すべきか?という問題。

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    2011年07月30日
  • 20世紀の思想 マルクスからデリダへ

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    生命・環境・地球…21世紀の課題に答え得るのは、どの思想なのか。
    20人の思想を再検証する。

    [ 目次 ]
    プロローグ 思想の二十世紀
    第1章 進歩と革命への期待
    第2章 人間の意志と欲望を見つめて
    第3章 内面性の厳密な記述
    第4章 解釈学と構造主義
    第5章 科学とは何か
    第6章 社会性と正義
    第7章 日本の思想
    エピローグ クワイン、ガダマー、そして二十一世紀への展望

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    2011年04月20日
  • 脳死・クローン・遺伝子治療

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    フォトリーディング& 高速リーディング。性転換についての意見に納得。実に論理的かつ聖書的。速読しないなら積ん読になっていた本。医療を倫理面から論じた書。

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    2011年02月01日
  • 現代倫理学入門

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    哲学的な問題に対して、エッセイ的にまとめた短編解説書のような本。
    功利主義やカント主義、ロールズの自由主義などを解説してくれているが、
    いかんせん短編なので、常に物足りなさを感じてしまう。残念。

    入門書なので、政治哲学について知見がない人が読み物的に読むにはいいかもしれない。とくに、サンデルなどに興味をもった人がこの本を読むと、サンデルの議論がオリジナルなものではなく、歴史的に議論され続けてきた不朽のテーマを彼が扱っているのだということがわかる。

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    2010年07月02日