矢原隆行のレビュー一覧

  • トム・アンデルセン 会話哲学の軌跡 リフレクティング・チームからリフレクティング・プロセスへ

    Posted by ブクログ

    ナラティヴ関係で今年一番刺激的だった本。

    リフレクティングについては、その重要性はわかるのだけど、なんだか概念がゆるくて、そんなに「自然体」で、大丈夫なの?というのが正直な感想だった。

    その印象は、マイケル・ホワイトの「リフレクティング」に対して、セラピストとクライアント間の権力関係に対してナイーヴすぎるといった批判を読んで、さらに強まった。

    が、この本で、トム・アンデルセンの最初の論文と最後の論文を読んで、これらの印象はほぼ吹っ飛んでしまった。

    とくに最初の論文を読むとかなり理論的背景と技法がしっかりと言語化されていて、それがスタート地点にあることにとても刺激があった。

    もちろん、そこはスタートで、徐々にさまざまな形のリフレクティングがあっていいオープンなものになっていくわけなのだが、スタート地点をしらずに「リフレクティング・チーム」ではない「リフレクティング・プロセス」をしるのとでは大きな違いがあると思いました。

    この2つの論文をつなぐために、著者によるリフレクティングをめぐるトムとその周りの人々との思索の深まりの物語を読むと、かなりわたしの関心事と重なることがわかった。

    アンデルセンの主著?の「リフレクティング・プロセス」は、ある意味、アンデルセンの到達点に近い本なのだが、それも完成形ではなくて、つねにそれについてのリフレクティング、さらにそのリフレクティングと無限に続いていくプロセスを暗示している。

    で、それを読むと、リフレクティングを固定的なものにしたくないという意図は伝わるものの、あまり細かいガイドはないので、なんでもありなものになってしまう印象をもった。

    あと、オープン・ダイアログとの関係もモヤモヤしていた。

    この辺りが、実にすっきりした感じ。さらに、ナラティブ系全体を通して、位置付けがわかりにくい身体性についても、つながるヒントがあると思う。

    長くなるので、どこがどう面白いかはまたの機会に。

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    2023年01月11日