ジェイムズのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
幽霊は本当にいるのか…?
子どもたちは本当に無垢なのか…?
一体、誰が本当のことを言っているのか…
疑い深い私には、登場人物が全員怪しく見えてくる。
ずっと読みたかった作品。
新訳のおかげでとても読みやすかった。
何が正しいのか。
そもそも、正解なんてあるのかな…。
まるで『料理の鉄人』のように、極上の食材も、道具も、火力もすべて揃えられていて、「さあ、あとはご自由に」と差し出されたような、妄想好きにはたまらない作品だった。
どんな説を考えても、いや、それはさすがに無理では?とならない。
そんなどんな説でも成立してしまうような謎の残し方が本当にすごい。
不正解はないんじゃないかとまで思えてくる。
最近、妄想ネタばかり書いている気がする。
でも、こういう作品を読むと妄想が止まらなくなるんだから仕方ない。
※ここからは、ネタバレと勝手な妄想です。
頭の中を整理するつもりで、私の妄想した説を書きました。
※妄想ですが、ネタバレも含まれているので、未読の方はご注意ください。
実は誰も死んでいないのでは……。
亡くなった2人とマイルズは本当は生きているのでは…。
ミステリ好きとしては、これがいちばん面白い。
使用人の男と前の家庭教師が関係を持っていたことが叔父にバレた。
さらに、使用人の男がマイルズ(兄10歳)に悪さをしていたことも知った。
叔父は、このことを表沙汰にしたくない。
そこで2人を解雇し、世間には〈死んだこと〉にした。
だから2人が現れても、子どもたちと家政婦は見えないふりをする。けれど、夜中にこっそり会っていた。
それを見た家庭教師(私)は、〈死んだはずの2人が自分にだけ見えている〉と思い込む。
マイルズは死んでしまったのか…?
〈邪悪な心〉が死んだという比喩で、〈元の無垢〉な子どもに戻ったということなのでは……?
はじめにこの物語を朗読しているダグラスという男はマイルズ?
ダグラス=マイルズ、妹の家庭教師=「私」と考えると、年齢がぴったり合う。
そう考えると、マイルズが生きているという説にも辻褄が合う。
そもそも私は幽霊を信じてないので、こんな妄想になってしまったのかもしれない。
他にもいろんな説が妄想できるような謎がたくさん隠されている。 -
Posted by ブクログ
まずは自画自賛から
いやー面白かった
そしてこの物語を面白いと感じられる自分、なかなかの読書人ではなかろうか
非常に読む側の技量を試される物語だと思いました
読む側の技量って何か知らんけども
多くのことを読み手の想像力に委ねてくるんです
それでいて空白が少ないんですね
非常に緻密に計算しつくした上で必要最小限のことしか語ってないんですが、とてもたくさんのことが込められていて、読者はその想像力の及ぶ範囲で様々なことが読み取れる文章に感じました
読む人によって怪奇物語であったり、謎解きミステリーであったり、恋愛物語であったりとくるくると姿を変える物語
そしてそれは全て意図して書かれている
さらに言えばいろんな人の感想を聞いてみたい物語でした
短い物語なんで是非とも手に取って頂きたいなと思いました
特に19世紀のイギリスの文化や階級社会なんかの歴史的背景に詳しい人が読んだらさらに色々なことが読み取れるんじゃないかと思い、またちょっと違う沼にはまりそうで恐いですw
それにしても『光文社古典新訳シリーズ』凄いなこれ
歴史に残る古典の名作を新訳で読むってことに完全に魅入られたてしまった気がします
どんどん読むぞ、待ってろ光文社! -
Posted by ブクログ
19世紀から20世紀にかけて活躍したヘンリー・ジェイムズ中期の傑作。ゴシックホラーの様式を借りながら、無意識や語られぬもの=幽霊を巡って狂わされていく家庭教師とその家の子供2人。
Netflixでドラマ化されたように、単純にホラーとして読むことができる作品である一方で、怖いのは亡霊が出てくるからではなく、亡霊の出現を契機として破綻をきたしていく、家庭教師と2人の子供の顛末だろう。解説で言及されているように、それは19世紀末に登場したフロイト理論や心霊主義の影響を色濃く受けていて、どことなく亡霊によって狂わされていくマクベスを思い出させる。
著者のヘンリー・ジェイムズのお兄さんは哲学者のウィリアム・ジェイムズであり、とんでもなく文化資本を持つ家に生まれた人。解説によると『鳩の翼』『大使たち』『金色の盃』が後半期における傑作小説も面白いようなので、入手して読みたいと思う。今作自体も再読すると新たな発見がありそうなので、機を見て改めて読みたい。 -
Posted by ブクログ
『ねじの回転』とは、うまいタイトルをつけたものです。ただ、終わり方が”ねじった”まま終わってしまうので、読者としては、まるでネジ舐めした状態で放置されてしまったかのよう。ただ、natsuさんがおもしろかったと書いていたとおり、先が気になって読んでしまう面白さで、とても楽しめました。
あらすじ:
物語は、あるクリスマス・イヴの夜、暖炉の前に集った男女が語り合う怪談話の最中でのこと。一人の男が不気味な出来事を綴ったある女性の手記を読み聞かせるところから始まります。その手記の筆者の女性は、かつて田舎の古い屋敷で、二人の子どもの家庭教師をしていました。彼女は働く条件として、雇い主である子どもたちの伯父から「いかなる事態が起こっても彼には一切連絡しない」ことをいい使っておりました。
屋敷に着いた彼女は、そこで働くグロース夫人と懇意になったり、教え子となる二人の美しい兄妹、マイルズとフローラにすぐに惹かれることになります。ただ、マイルズに関しては、学校に通っていたのに放校になって帰ってきたことが気掛かりではありましたが。
そんな中、彼女は屋敷で不穏な気配を感じるようになります。グロース夫人の語るところによると、この屋敷に勤めていた召使いのクイントと前任の女性家庭教師であるジェスルが不可解な死を遂げているとのこと。やがて彼女は、亡霊となった二人が子どもたちに取り憑いているのではと思い至り、子どもたちを守ろうと決意しますが……。
と、全体的に不穏な雰囲気と不思議な緊張感が終盤まで続くストーリー展開に引き寄せられますが、読み終えるとその結末は曖昧模糊とした亡霊の謎も相まって、なんだかスッキリしない。ただし、その亡霊を認識しているのが誰なのか、また大袈裟とも思える子どもへの偏愛、そして日記を書いた本人が既にこの世にいないこと、さらには日記に書かれている事を全て正しいと思うのは誤りなのではと思うと、『ねじの回転』のタイトルがしっくりきます。まるでゴシック・ホラーの形式で綴られた、著者のイタズラに翻弄されて、読者の”頭のねじ”の締まり具合を嘲笑われているかのようにも思われます。最初に”ネジ舐めした状態”と書いたのは、自分としては、P235を家庭教師が”本当にしてしまったこと”に書き変えると……可愛さ余って……ということなのかなと。あくまで個人的な推測ですけど、気狂いな家庭教師による○人じゃないかと思っていますが真相やいかに?ホームズが生きていた時代なので、ちゃんと仕事しなさいとまで思った自分は考えすぎでしょうか?それにしても、残酷なシーンも無ければ、読み手を怖がらせようとするわざとらしさも無いのに、妙に情景が脳裏に残る著者の書きようには感心しましたね。
ところで、古典の宿命で複数社から出版されている中で、光文社古典新訳文庫を選んだのはただの消去法です。新潮文庫は、2人の子どもの幽霊がこっちを見ていてヤダなと……読んでみて壮大な勘違いでしたが(笑)。
あと、岩波文庫は『デイジー・ミラー』とのカップリングで、タイトルが『ねじの回転 デイジー・ミラー』なのに、ページを開いたら『デイジー・ミラー』『ねじの回転』の順に掲載されていました。訳者は『アスパンの恋文』『ワシントン・スクエア』の行方さんなので好きですが、たまたま腹の虫の納まり具合が悪かったのか、頭に来て買うのをやめたという、なんともまあ、そんなこともあるのです。未読の『デイジー・ミラー』を読むときには岩波文庫にしようかな。 -
Posted by ブクログ
わー!わぁぁああーーー!
読後、リアルに叫びました。そうなるのか!そうくるのかぁ!!
世界観がゴシックホラーで、イギリスのあのじめっとしたそれでいて美しい田舎の空気感が感じ取れるので、大好物でした。
言葉の使い方も絶妙で、ねじの回転が一回転でも多く回れば、そりゃぎりっと奥に押し込まれるよね!そんなふうに表現するの、すごいね!!って、驚きばっかり。
気になる表現は山のようにあるし、平凡な自分には永遠に生まれないような言い回しにはただただ、感心するのみです。
おもしろかった。もし、ラストネタバレされてたとしても、きっと同じように驚いて叫んでた気がします。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ何回読んでも後味の悪い作品だぁ(誉めてます)
物語はクリスマスイブの真夜中に行われたイギリス版百物語を発端として始まります。
その中の一人が、その中で語られたどの物語よりも恐ろしい話を知っている。しかも手記があるということで、場を改めてその手記を朗読することに……。
その手記はある屋敷に住んでいる兄妹の家庭教師になった女性が語ったことを記録したもの。
天使のように美しく愛らしい、そして聡明な兄妹。それは本当の姿なのか、そして家庭教師が見た不審な人物は兄妹とどんな関係なのか?
薄気味が悪いというのが初めて読んだ時の感想でした。
改めて読み返すと、うむむ、という感じで視点を変えると全く違う考えも出来るなと……。
彼女が見たものは妄想か、それとも現実か。真実はどこにあるのか、考え始めるとものすごく怖い^^; -
Posted by ブクログ
英ガーディアン紙「史上最高の小説100選」より、ヘンリー・ジェイムズ/ねじの回転。
屋敷で亡霊を目撃した家庭教師が教え子を守ろうと奮闘するが、次第に彼女自身が…。
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すべては主観で語られ、亡霊なのか幻覚なのか曖昧さが増してゆく。孤立した状況の中、「子供を救う」という使命感が次第に独善的な狂気のようになる。
人間の強固な思い込みがいかに他者を無自覚に侵蝕していくか。
ガーディアン紙の100選は、文筆のプロたちにより選ばれたランキングとのこと。
幽霊を外敵ではなく人間の狂気・内面として描く、という心理サスペンス要素が当時画期的だったり、「主観の暴走」という現代にも通じるテーマ性によって、長く敬愛されている作品なんでしょうね。 -
Posted by ブクログ
両親を亡くしたとある兄妹の家庭教師として、イギリスはエセックスの屋敷に赴任した主人公「わたし」の手記によって展開されるホラー小説。今作の興味深い点は何と言ってもやはり、「信頼できない語り手」の存在である。物語にて2人の幽霊が度々登場するのだが、唯一の語り手である主人公の「わたし」を除き、それらをはっきり見たとされる登場人物がいないため、そもそも幽霊がいるのかという疑問が読み進めていく中で湧いてくる。また、主人公と狡猾な兄妹との間で繰り広げられる緻密な心理戦も今作の見どころである。兄妹と幽霊の関係やマイルズの退学の理由など、主人公が対面する数々の謎は読者の興味を強くそそるに違いない。