ジェイムズのレビュー一覧
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まずは自画自賛から
いやー面白かった
そしてこの物語を面白いと感じられる自分、なかなかの読書人ではなかろうか
非常に読む側の技量を試される物語だと思いました
読む側の技量って何か知らんけども
多くのことを読み手の想像力に委ねてくるんです
それでいて空白が少ないんですね
非常に緻密に計算しつくした上で必要最小限のことしか語ってないんですが、とてもたくさんのことが込められていて、読者はその想像力の及ぶ範囲で様々なことが読み取れる文章に感じました
読む人によって怪奇物語であったり、謎解きミステリーであったり、恋愛物語であったりとくるくると姿を変える物語
そしてそれは全て意図して書かれている
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Posted by ブクログ
19世紀から20世紀にかけて活躍したヘンリー・ジェイムズ中期の傑作。ゴシックホラーの様式を借りながら、無意識や語られぬもの=幽霊を巡って狂わされていく家庭教師とその家の子供2人。
Netflixでドラマ化されたように、単純にホラーとして読むことができる作品である一方で、怖いのは亡霊が出てくるからではなく、亡霊の出現を契機として破綻をきたしていく、家庭教師と2人の子供の顛末だろう。解説で言及されているように、それは19世紀末に登場したフロイト理論や心霊主義の影響を色濃く受けていて、どことなく亡霊によって狂わされていくマクベスを思い出させる。
著者のヘンリー・ジェイムズのお兄さんは哲学者のウィリア -
Posted by ブクログ
『ねじの回転』とは、うまいタイトルをつけたものです。ただ、終わり方が”ねじった”まま終わってしまうので、読者としては、まるでネジ舐めした状態で放置されてしまったかのよう。ただ、natsuさんがおもしろかったと書いていたとおり、先が気になって読んでしまう面白さで、とても楽しめました。
あらすじ:
物語は、あるクリスマス・イヴの夜、暖炉の前に集った男女が語り合う怪談話の最中でのこと。一人の男が不気味な出来事を綴ったある女性の手記を読み聞かせるところから始まります。その手記の筆者の女性は、かつて田舎の古い屋敷で、二人の子どもの家庭教師をしていました。彼女は働く条件として、雇い主である子どもたちの伯 -
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わー!わぁぁああーーー!
読後、リアルに叫びました。そうなるのか!そうくるのかぁ!!
世界観がゴシックホラーで、イギリスのあのじめっとしたそれでいて美しい田舎の空気感が感じ取れるので、大好物でした。
言葉の使い方も絶妙で、ねじの回転が一回転でも多く回れば、そりゃぎりっと奥に押し込まれるよね!そんなふうに表現するの、すごいね!!って、驚きばっかり。
気になる表現は山のようにあるし、平凡な自分には永遠に生まれないような言い回しにはただただ、感心するのみです。
おもしろかった。もし、ラストネタバレされてたとしても、きっと同じように驚いて叫んでた気がします。 -
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ネタバレ何回読んでも後味の悪い作品だぁ(誉めてます)
物語はクリスマスイブの真夜中に行われたイギリス版百物語を発端として始まります。
その中の一人が、その中で語られたどの物語よりも恐ろしい話を知っている。しかも手記があるということで、場を改めてその手記を朗読することに……。
その手記はある屋敷に住んでいる兄妹の家庭教師になった女性が語ったことを記録したもの。
天使のように美しく愛らしい、そして聡明な兄妹。それは本当の姿なのか、そして家庭教師が見た不審な人物は兄妹とどんな関係なのか?
薄気味が悪いというのが初めて読んだ時の感想でした。
改めて読み返すと、うむむ、という感じで視点を変えると全く違う考えも出 -
Posted by ブクログ
両親を亡くしたとある兄妹の家庭教師として、イギリスはエセックスの屋敷に赴任した主人公「わたし」の手記によって展開されるホラー小説。今作の興味深い点は何と言ってもやはり、「信頼できない語り手」の存在である。物語にて2人の幽霊が度々登場するのだが、唯一の語り手である主人公の「わたし」を除き、それらをはっきり見たとされる登場人物がいないため、そもそも幽霊がいるのかという疑問が読み進めていく中で湧いてくる。また、主人公と狡猾な兄妹との間で繰り広げられる緻密な心理戦も今作の見どころである。兄妹と幽霊の関係やマイルズの退学の理由など、主人公が対面する数々の謎は読者の興味を強くそそるに違いない。