堂目卓生のレビュー一覧

  • アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界

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    道徳感覚学派の重要書である『道徳感情論』と、経済学の始祖とされる『国富論』の二作を取り上げ、アダム・スミスの思想の全体像を明らかにする。

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    2025年08月14日
  • アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界

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    アダム・スミスの生涯と彼が生まれたスコットランドの背景にまず触れる。その後、彼が遺した著作『道徳感情論』と『国富論』の要点を、著者が解説する。アダム・スミスは著作『国富論』から経済学の祖と言われて、見えざる手すなわち競争を煽り、個々人の利益を追求する社会を肯定した者と思われがちである。しかし本書を読むと、その見方が誤りだとわかる。彼が『道徳感情論』で主張したことを紐解けば、個々人の良心やフェアプレイのルールの競争を前提した経済成長を追求したこと、また最低水準の富が得られない社会を否定するなど、他人を蹴落とすような行為を是としない。このように、アダム・スミスは新自由主義の思想とは相容れない。

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    2025年05月25日
  • アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界

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    アダムスミスで有名なのは『国富論』の見えざる手であり、これは乱暴にいうと放任していても結果的に最適化されていって繁栄に繋がるという思想。その通りだが、放任中にジャイアン的存在が出現したり、結果に至るまでの紆余曲折があるという時間軸の問題を孕む。これと同時によく言われるのが『道徳感情論』の概念で、私利私欲に任せても全体最適に繋がっていくという前者に対し、その論理補強すべく、人間は規範をもつため、放任と言っても、ジャイアン(言ってない)が強盗殺人やレイプにより他者の権限を奪わないという前提も自ずと成立していく。自由競争と自然発生的秩序の二つのポイントが、人間本来の性質から生まれてくるので、それに委

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    2025年04月12日
  • アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界

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    18世紀の『経済学の祖』アダム・スミスの二つの著書、「道徳感情論」と「国富論」の世界の入り口を分かり易く覗くことが出来る一冊です。道徳感情論に於ける「公平な観察者」と言う自分の心の中にいる観察者の存在は、誰もが首肯するところで、自分の行動規範の元となる存在であることを本書は分かり易く教示してくれます。国富論では、スミスの暮らしていた当時のイギリスでは、本来、国内の農業、製造業、輸出業の順に成長していかなければいけない経済が輸出業、製造業、農業の順になってしまい、輸出業に注目が行くあまり、他国がライバルとなり不必要な輸出規制が増えて行ってしまったことを前提に、規制の撤廃をスミスは提示しています。

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    2025年01月27日
  • アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界

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    この作品はスコットランドの経済学者アダム・スミスの『道徳感情論』と『国富論』についての参考書です。

    アダム・スミスといえば「神の見えざる手」で有名です。

    しかしこの「見えざる手」が通俗的な理解では誤解されているというのがこの本で学ぶことができる最大のメリットです。

    アダム・スミスが『国富論』で本当に言いたかったのは何だったのか。それをこの本でじっくりと見ていくことになります。

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    2024年08月19日
  • アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界

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    齋藤孝さんのなぜ本をふんではいけないのかの中で
    道徳感情論に触れられており 見えざる手の理解が自身も正しくできていなかったことに気付き この本を読んだ

    この本は表題通り 道徳感情論と 国富論をそれぞれの繋がりを言及の上でアダム・スミスの考え方かま説明されており非常にためになった





    アダム・スミスの国富論の 見えざる手 は有名で
    利己心に基づいた個人の利益追求行動が社会全体の無条件に経済利益をもたらす そのためも急進的な規制緩和が必要と考えていたと思われがちだが

    その前提として道徳感情論がある
    その中で
    個々での個人は
    社会から孤立した存在でなく 他人に同感し 他人から同感されること

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    2024年07月17日
  • アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界

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    道徳感情論の話はなかなか面白かった。道徳を持った上で経済活動をすると幸福になれる????かも

    その行動が他人に対してどんな影響を与えるのか、もう1人の自分(公平な観察者)で判断する。

    インタラクションが誤解を解く(これは対外的な問題であり、身の回りの人と関わることもそうだし、海外の人と関わることも同じようなもんだろう)

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    2023年03月23日
  • アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界

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     アダム・スミスというと『国富論』という書物の名前とともに歴史の時間に覚えさせられた。市場には「見えざる手」があり、それに任せればうまくいくという市場自由主義の提唱者のように覚えていた。本書はそれが少し間違っているかもしれないと思わせる内容である。
     『道徳感情論』については殆ど知らなかった。人には他人から同感され称賛されたいという思いがあり、それが不道徳なことを不正を退け、また周囲から認められる方法として富を獲得しようとするのだという。胸中にある公平な観察者、つまり道徳心のようなものを人は成長とともに獲得し、現実社会と比較する。賢人は独特的に生き、必要以上の富を求めないが、その他の人間はつい

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    2022年08月27日
  • アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界

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    アダムスミスの思慮深い考えを知ることができます。

    特に、『道徳感情論』の「同感」に対する考え方は興味深いです。

    「神の見えざる手」という言葉だけで
    自由市場主義の単純な人、と誤解していたのが恥ずかしいです。

    本書は知的好奇心を満たしてくれ、文句なしにおススメです

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    2021年12月12日
  • アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界

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    見えざる手で知られるアダムスミスが、何を訴えたかったのかがわかる本。
    自分の欲望のままに経済にに関われば経済は成長するという主張かと思っていたが、実はまったく違った。社会的人間として、理性と共感を持つこと、経済や富が人を繋げる手段となること、産業は自然の成り行きで発展すべきであって、過度な政治的な規制などは必要ないこと、など今の社会にも通じることが多いとても教訓となる本

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    2020年12月04日
  • アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界

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    アダム・スミス様、申し訳ありません。
    ワタシは貴方のことを誤解していました。教科書レベルでしか知らない『国富論』から、市場万能主義者と思っていましたが、貴方は経済学者である前に哲学者であり、倫理学者であり、グラスゴー大学で道徳哲学を教えていた人なのでした。『国富論』の前に書いた『道徳感情論』こそ、貴方の原点であり、そこには緻密な人間観察に裏打ちされた哲学者としての矜恃すら感じられます。人間は他者という存在に共感し、この共感は自身の目ではなく、他者の目による基準で発生すると述べられています。人間の善意を信じると言う思いが根底にある貴方の考えは、資本主義が逆境を迎えたとも言われるこの時代に、改めて

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    2020年03月07日
  • アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界

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    道徳感情論と国富論を並べて見せる本です。
    アダム・スミスの射程の深さを知りました。ミクロ経済学だけでなく、行動経済学まで含むのだな、と思いました。

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    2018年03月28日
  • アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界

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    周囲が持つイメージでアダムスミスを捉えてしまっていたことがよくわかった一冊。


    ここに書かれているのは、ストア派をベースにした人間についての深い洞察と、理想的な「秩序と繁栄を謳歌する経済」の姿でした。フロイトの超自我にも通じる「公平な観察者」や、硬直した考えを持つ人物を「体系の人」と読んでみたり、人の本性を鋭く捉えた感覚がよく伝わってきた。

    ちなみに「人は合理的に行動する」とは書かれていなかった。それどころか、非合理的な判断をすると読めるのだけど。

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    2018年02月07日
  • アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界

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    本書が出るまで、一般に日本においてスミスは損な役回りを担ってきました。新自由主義の古典や源流として、反対する立場から冷たい目でみられ、かといって推進する立場からは特に擁護もされず。
    今や、新自由主義の賛否両陣営にとって様々なパラダイムシフトが必要になりました。推進の立場にとっては、見えざる手が有効であるための土台である、共感やフェアな競争とは何なのか改めて検討する必要があります。また反対の立場からは、フェアな競争が存在しうるのか改めて検討する必要があります。スミスは装いを新たにしたのです。

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    2017年06月13日
  • アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界

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    本書は、アダム・スミスの二大著書『道徳感情論』『国富論』を俯瞰することによって、アダム・スミスの描く世界、および両書の関係性を紐解くことを試みた本である。
    アダム・スミスは自己と他者との感情、とりわけ同情に関心があり、その相互作用のいかんによって国家の繁栄が決定づけられることを論じた。彼の論じた内容、すなわちアダム・スミスの描く世界は、思うに徹底した人間観察から得られる経験的な推論と、そこから想像力を駆使して論理的に導かれる帰結を描いた実証研究、および世界がどのようになるべきかという規範研究の両方が含まれており、その内容は現代社会をよりよくするための含意も多い胃に含まれているように思える。

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    2016年08月12日
  • アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界

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    経済学や社会学を学ぶ中で、いろんな概念が出てきて「こんなに概念定義してもな〜」となんとなく考えていました。

    今一度考えてみると、私たちに間違いなくあるのは「感情」だよな、と思いあたり、そういえばアダムスミスのもうひとつの著作が「道徳感情論」だったことを思い出してこの本を読みました。

    結論から言って、非常に納得のいく分析がされていました。特に納得したのは、一般に人は、慈恵を進んで行い、正義の執行からは目を背ける、という部分です。

    他にも、地位や称賛を過大評価してしまうこと、それらを目指す財産の道では過程において不幸になること、一定の財産がないと賢い人でも平静ではいれらないことなど、経済の本

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    2025年07月27日
  • アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界

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    ネタバレ

    最後のページにある文章が、時を超え、
    幸福へと運んでくれる真理として、心に響きました。

    「スミスは、真の幸福は心が平静であることだと信じた。
    そして、人間が真の幸福を得るためには、
    それほど多くのものを必要としないと考えた」

    「たいていの人にとって、真の幸福を得るための手段は、
    手近に用意されているのだ」

    「与えられた仕事や義務、家族との生活、友人との語らい、
    親戚や近所の人びととのつきあい、適度な趣味と娯楽。
    これら手近にあるものを大切にし、それらに満足することによって、
    私たちは十分幸せな生活を送ることができる」

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    2024年05月06日
  • アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界

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    高名な『国富論』を文庫で読んでみようかなと思ったら、思いの外分厚かったので、解説本の方を読んでみた。

    『道徳感情論』の方は、1759年、『国富論』は1776年(アメリカ独立宣言の年!)の発刊。

    両著は毛色の違うテーマだが、「秩序と繁栄」を重んじる点で一貫している。

    コテコテの自由主義者と思っていたが、自由競争が善となるには、「フェアプレイ」の精神が必要条件で、その道徳の大事さを国富論の17年前に説いている点がミソだ。

    有名な「見えざる手」(invisible hand)は、分厚い著作の中でたった一度だけしか出てこないフレーズだそうだが、キャッチーなので、ここまで広まったのだろう。

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    2023年08月26日
  • アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界

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    武器としての哲学の推薦本である。道徳感情論と国富論を読まずに理解させる気にさせる。当時のイギリスのアメリカへの植民地政策が大きな影響を与えているという説明がある。さらに、当時のイギリスの重商政策がわかりやすく説明されている。国富論の説明が短い章でどんどん行われているのが特徴である。

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    2023年07月06日
  • アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界

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    『国富論』に関する俗説を、『道徳感情論』を基盤に据えて、丁寧に解体し、スミスの思想を手堅くまとめている。新書の見本のような好著。アメリカとイギリスとの関係について大胆に提案した箇所は読みどころ十分だった。

    経済活動については『国富論』の妥当性は失われていないと思うが、派遣制度などを通して儲けている「強欲さ」は冬至から変わっておらず、人間が一番の阻害要因になっている。だからこど『道徳感情論』の論が説得的だ。「賢人」と「弱い人」の指摘など”切れ”があるからだ。

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    2021年07月02日