国分拓のレビュー一覧
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文明社会から遠く離れて、原始的な生活を続けるヤノマミ。原始的な、という言葉を使うこと自体、果たして正しいのだろうかと思ってしまう。
世界各地で少数民族が激減し、激減すると同時に同化政策が進み、その少数民族を残すための保護政策が遂行されたりするが、果たしてそれは両者のためなのか?文明側の上から目線の、良かれと思っての政策ではないのか、と思う。と同時に、少数民族が、いったんテクノロジーや快適な生活に触れると、もう今までの生活には戻れないだろう。これについて誰も答えは持っていないのだろう。どちらが良いとか言えるものではないのだ。たとえ、文明に取り込まれて、少数民族の寿命が延びることになっても。 難 -
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ブラジルの先住民族と同居してノンフィクションを撮ったNHKスペシャルディレクターによる本。番組は既にTVで見て、生まれた子供を精霊として森に還す様が非常に印象に残っていた。著者は民族学者でもない同時代の日本人なので、その視点に共感しやすい。
言葉も文化も異なる人々の中に入り込んでいく苦労から始まり、彼らの行事・祭りの様子、家族関係や個々の人物像、シャーマンとその思想、そして女たちの出産と赤ん坊を人間として迎え入れるかどうかへと村の描写がされていく。終盤は一転して、村イチの長老シャボリ・バタがこの村ワトリキに至るまでの流転へ。淡々と語られる歴史だが、病気による大量死などが語られ圧巻。今の彼らの -
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圧倒的な世界を
できる限り客観的に
事実を捉えて
言葉にしようとした作者の意図が感じられる
そこにあるのは圧倒的な事実
あとがきより
ーヤノマミの世界には、「生も死」も、「聖も俗」も、「暴も愛」も、何もかもが同居していた。剥き出しのまま、ともに同居していた。だが、僕たちの社会はその姿を巧妙に隠す。虚構がまかり通り、剥き出しの物がない。そんな「常識」に慣れきった人間だ。自分は「何者」でもないのに万能のように錯覚してしまうことや、さも「善人」のように振る舞うことや、人間の本質が「善」であるかのように思い込むことに慣れきった人間だ。ヤノマミは違う。レヴイ=ストロースが言ったように、彼らは暴力生と無 -
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ベスト2012年!
テレビより詳細に描かれている。ヤノマミの生活、社会的背景、ワトリキの人たちの関係、取材中の著者とヤノマミの関係・・・
そして著者の内面。最終章には、静かに、強いメッセージが書かれていた。
年を重ねるごとに、心にガーンと突き刺さる経験、魂が浮いた状態になる経験って、なかなかなくなっている。でも、この本と映像の中には著者のそういう経験が詰まっている。そして私もそれを想像力を働かせることによって、体験しようと努めた。メッセージは明記されているわけではないけれど、でも何かとてつもなく私にとって大事なものがこの中に詰まっていた。 -
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ベネズエラ側のヤノマミ居住区で最近違法金採掘者によるヤノマミ襲撃が起きたというニュースを目にしたのをきっかけに読書開始。全編通して、読み進むモチベーションは9割方好奇心だったと思うけど、読み終わった時には、筆者と共に人間という存在について考えてみている自分もいたりして、シリアスな動機("社会問題"的"正義感"?)もありつつ、結局好奇心の方が圧倒的に大きかった。それくらい異次元過ぎておもしろい!本の内容もその辺りのバランスがいいからなのか、読んでいる間は飽きることなく(むしろ目を若干白黒させつつ)、読み終えた時には哲学じみた充実感も味わえる、"美
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「貨幣」も「法律」もない世界。そこには、動物である「人間」の姿があった。
近年、多くの人が経済成長の「夢」から醒め、自身の「存在価値」と答えなき「幸せ」を問い続けることを強いられた。
この流れの中で、僕たちは「今」をどう生きるのか。
そのヒントが「ヤノマミ」にあるんじゃないか。と思い購読した。
ヤノマミは、言葉の通り「人間」としての純粋な「欲望」を中心に動いている。
寝たい時に眠り。
犯したいときに犯し。
腹が減ったら狩りに出る。
そこには、ヒトを支配するために作られた「宗教」や「規則」はない。
森に生まれ、森を食べ、森に食べられる。
「自然」と「人間」が共存し、生きていく世界。
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Posted by ブクログ
ブラジルとベネズエラにまたがる森林地帯には先住民・ヤノマミ族約3万人が200以上の集落(移動性)で暮らしている。その集落のひとつワトリキに150日間を共に暮らしたNHKドキュメンタリーの書籍化だ。
この現代社会においても、原初の暮らしをしている人々。生と死が一体化し、森の精霊たちと共存する。私有とプライバシーがなく、暴力性と無垢性が矛盾なく同居する生活。
あまりに文明社会とは異なる規範があり、それは感動するほどに自然の中でいのちを生きている。
文明化がよいことなのか、この人たちの幸せは何なのか?
しかし、この強烈な生き方は、文明社会に暮らす私たちへのアッパーカットでもある。 -
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「ヤノマミ」
それは、ブラジルの森の奥深く、
ベネズエラとの国境沿いに住む先住民族の人たち。
彼らの言葉で「人間」を「ヤノマミ」と言う。
だから彼らは「ヤノマミ族」と呼ばれている。
この本は、ヤノマミ族の中に入り、計150日間一緒に暮らし、
それをドキュメンタリーにしたNHKのディレクターさんが
その時見たこと、感じたことを綴った本。
読み終わった感想は・・・衝撃だった。
ヤノマミ族の生と死とが同居する営み、
そこから育まれている価値観、
文明と接することによる破壊、葛藤。
色々なことが自分の生活と違っていた。
最初は、違ってるからこそ面白くて読み進めていった。
でも、途中で違っ