ブラジルとベネズエラに跨る広大な森に生きる先住民ヤノマミ族。
男たちは獣を狩り、女子供は田畑を耕し、巨大なドーナツ状の集合住宅に暮らす。そこにプライバシーは皆無で真っ暗闇の中、眠り、時に交接する。
基本的には一夫一妻制が成り立っているが開放的な彼ら。浮気や不倫は日常的で父親違いの子供も多い。
...続きを読むなにより、衝撃的だったのが出産に関してのこと。彼女らは森で出産し、生まれた子を精霊のまま天に返す(殺める)か、連れ帰り子供として育てるかを一人で決断する。
14歳の少女が45時間の難産に苦しみ泣き続けた末にやっと産み落とした命を天に返した。それを目撃してしまったディレクターは帰国後もなかなかショックから立ち直れず、夜尿が続き、げっそりと痩せたそうだ。
コインロッカーベイビーや赤ちゃんポストなど、耳にするたび覚悟なく妊娠・出産することに対し、欲しくても授かれない人もいるのに…と反発を感じていたが、なんというかそういったモラルだとか善悪を超えた次元の世界だ…。
自ら殺めた子の亡骸を白蟻の巣に入れ、骨すらも食べ尽くされた二週間後にその巣をゆっくりと焼く。
自身の下した決断ではありながらも、やはり母は涙に暮れるそうだ…
森を食べ、森に食べられ、森に生きるヤノマミ。時は流れ、彼らの聖域にも狡猾な文明が入り込み始めたようだ。
発展は彼らに幸いをもたらすのか、それとも…。この先も彼らがアハフー、アハフーと笑っていられたらいいな。