親しい人からは「サイデンさん」と呼ばれていたそうだ。通常は英語で書かれた文章を日本語に翻訳依頼していた原稿も、このエッセーは身辺雑記でありタウン誌に連続掲載されるものなので、サイデンさんの日本語文章なのだ。そのたっぷりとした成熟した文体は魅力的。川端先生、三島先生と丁寧な言葉使い。そして最も尊敬す
...続きを読むるのは紫式部先生で愛しているのは荷風先生だとか。
東京の下町に暮らし隅田川を好み、日本の春から夏に至る梅・桜・藤・菖蒲を愛でた人。谷中墓地や上野の忍ばすの池を散歩し喫茶店で読書、夕方には一杯やる。
なんだか粋な下町の紳士ぶりが眼に浮かぶ。愛猫花子の描写も楽しい。日本文化の紹介者として多大な功績のある方も、もう亡くなったんだよね。