堀栄造のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
前著である『フッサールの現象学的還元―1980年代から『イデーンI』まで』(2003年、晃洋書房)の姉妹編で、前著において論じられた「脱現実化的現実化」というテーマにそって、あらためて前期から中期のフッサールの議論をたどり、その哲学的な意義を考察しています。
本書の「序言」で、タイトルに含まれている「脱現実化的現実化」ということばが、フェルディナント・フェルマンおよびゲオルグ・ミッシュの用法を受け継いで、「実在的現実を脱却することによって真の現実を捉えるという現象学的還元の目的」に対して、このことばが用いられていると述べられています。現象学的還元とは、自然的態度における世界定立に対して「判断