府川由美恵のレビュー一覧

  • 面白い物語の法則〈上〉 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術

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    本屋さんで見かけて購入しました。「神話」に人類の物語の全てのプロットがある。という話は、村上春樹をめぐる内田樹さんや柴田さんの評論や、河合隼雄さんの著作や、中沢新一先生の著作などで、カジって知ってました。
    この書では、ハリウッド映画のシナリオをチェックする仕事をしている2人が、具体的に映画のシナリオに必要なプロット(筋書き?構成?)をまとめ、公開しています。
    下巻も合わせ、とても面白く拝読しました。

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    2022年04月09日
  • 脳が読みたくなるストーリーの書き方

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    ネタバレ

     小説や脚本を書く人が陥りがちな間違いについて脳科学的な知見から神話と真実をあばいていく内容である。
     他の書籍だとこれまで鉄則というものがあってそれはこういう理由であるという体で書かれているものが多かった。本書はそれに加えて人間の脳それもその偏向性や欲求に即して説明しているところに違いがある。それはとても良い効果を発揮している。
     付け加えると作者であるリサ・クロンさんはたくさんの良作だけでなく駄作に触れている経験を遺憾なく発揮している。小説・脚本においては十中八九最初からうまく書ける人はいない。この本のようなものでマナーを学び一度書いたら十回以上推敲して文章を磨き上げることが必要となる訳だ

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    2021年07月05日
  • 探偵コナン・ドイル

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    コナンドイルが探偵役となり、ジャックザリッパーと対決する!ワクワクする設定です。ビクトリア女王時代のロンドンの描写が鮮明で、ゴージャスと猥雑がないまぜになった様が目に浮かびました。捜査の様子もクラシカルなので、え!こんなこともっと前にわからない?と思う場面はありましたが、それだけ当時の様子に則って描かれているのでしょう。作者はドイル同様医師ということで、殺害シーンの描写ががエグい。それに比して事件は淡々と進み、ドイル含む三銃士の描写の方が生き生きとしてます。劇的な展開がないままラストに突き進みますが、なかなか印象的な結末でした。こんな文学的なミステリーもあるのだな、と感じ入っています。マーガレ

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    2020年07月06日
  • 探偵コナン・ドイル

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    実在の事件を下敷きにしているので、少し展開がまったりしているところがあるけれど(特に前半は、捜査といっても警察署に泊まり込んで云々ぐらいしかないので)逆にいうと、その史実を下敷きにうまくまとめあげたなと。ドイルが完全にワトソン役なので、ドイルの息子たちが生きていたら完全にNGだろうなとか、ちょっとおかしくなってしまった(ドイルの息子たちは父を絶対視していて、父こそがホームズのモデルであると主張していた)。マーガレット・ハークネスも実在の人物なのね。知らなかった。
    ホームズ対切り裂きジャックはけっこうあるはずだけど、ドイル対~は斬新かも。

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    2020年04月13日
  • 探偵コナン・ドイル

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     コナン・ドイルの『緋色の研究』によるデビューが1886年。ホームズの第二作『四つの署名』が1890年。その間の四年間、ドイルはホームズは一作書いただけの鳴かず飛ばずなので、英国内乱の歴史小説を書いている。そして本業の医師の仕事についている。プライベートには1988年に妻ルイーズが妊娠。その頃、切り裂きジャックが血まみれのナイフ片手に、霧の町ロンドンの夜を震え上がらせている。

     そんな時系列を抑えておく。つまり本書の作者は、ホームズ作品の難産作品二作目を産み出すモチーフとして、四年間の空白の中間部に勃発する切り裂きジャックの事件を配置。ドイルは、ホームズのモデルとなった恩師である医師ベルと共

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    2020年04月08日
  • タンジェリン

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    正反対にもみえるふたりの女性。
    どんなものでも、どんなことをしても手に入れるルーシーと弱々しく危ういアリス。
    裏切られても離れていってしまってもどうにか元に戻して取り返そうとするルーシーの気持ちが理解できてしまって切なかった…。
    お話自体はありがちというか、普通なかんじな気もしたけどモロッコ、タンジールの描写がとにかく美しくて暑苦しい独特な雰囲気が出ていて良かったです。
    あまったるいミントティー飲みたくなるな。笑

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    2019年03月23日
  • サンクトペテルブルクから来た指揮者

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    2003年、ソ連崩壊後のかつてない経済成長に沸くロシア。故郷スウェーデンを離れてモスクワの投資銀行に勤めるトムは、大手石油企業の買収プロジェクトに携わるチャンスを得る。しかしトムが株売却の斡旋をした大富豪が何者かに惨殺され、さらには小口株主だったトムの親友の弁護士が爆弾テロで命を落とす。立て続けに起こる事件との関連を検察に疑われたトムは、しだいに厄介な立場へと追い込まれ……背後で暗躍するロシア経済界の黒幕とは? 金融のエキスパートが放つ あまりにも生々しいサスペンス!

    次々と情け容赦なく奪われる命。筋立てはシンプルだが、読ませる。

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    2018年06月17日
  • 脳が読みたくなるストーリーの書き方

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    脳科学者によれば、すでに過剰負荷に耐えている脳が、貴重な時間と空気を費やしてまで人間を物語に没頭させるのは、物語がなくては困ったことになるからだ。物語があれば実際に起きたことでなくても、重大な経験をシュミレーションすることができる。これは石器時代においては生死にも関わる問題で、経験が教えてくれるのを待ってやぶの中を動き回ったりすれば、昼食を探しているライオンに見つかって餌食にされるだけだ。脳がさらに進化した現代においてはさらに重要で、人間は自然界を学んだ後ももっと複雑な社会というものに取り組まなければならない。物語は、自分や他者の心を探る方法、未来のための予行練習としても発展してきた。こうして

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    2017年01月10日
  • 黙示 下

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    2ちゃんねるや日本独特のオタク文化が紹介されているのが興味深く、出版された本のあとがきとして書かれた物語の核心となる部分が読ませる。ただし、想像もつかないような陰謀や大規模な犯罪へと発展するかと思いきや、やはりそこへ行ってしまうのかと、やや肩透かしを食った思いがする結末。

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    2015年10月04日
  • ダークエルフ物語7 アイスウィンド・サーガ〈4 暗黒竜の冥宮〉

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    アイスウィンド・サーガ第二作目
    前作で、テンタウンズをそしてアイスウィンドデイルを守る事に成功したドリッズト達は今回、ドワーフであるブルーノーのかつての故郷ミスリルホールを探すための旅に出る。
    だが、そこには彼らの後を追う者の姿があった。
    暗殺者のアルテミス・エントレリは仲間の一人ハーフリングのレギスが持つ魔力を秘めた宝石を探して、また秘術の塔の魔法使いは前作でアイスウィンドデイルに災厄をもたらす原因となった魔法の水晶を求めて彼らを追う。
    行く手にに拡がる過酷な旅と後方からの追跡者、多くの試練を乗り越えて旅の仲間達はミスリルホールを探し出すことができるのか・・・という話。

    この作品特徴として

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    2009年12月03日
  • 面白い物語の法則〈上〉 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術

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    物語を組み立てるロジックがかなり丁寧に解説されていた。
    作中のシーン一つ一つがキャラクターの取引であり、価値を提供する契約を作者は観客と結ぶ。

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    2025年03月10日
  • ウェイワードの魔女たち

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    魔女狩りの時代の17世紀、第二次世界大戦中の20世紀、そして2019年。ウェイワードの血を継ぐ3人の女性達のアイデンティティを貫く姿勢を描く。
    どの時代でも、理不尽な扱いをうける女性たち。少しづつ見えてくるウェイワードの女性たちの力。魔女的な要素は大きなポイントではあるけれど、自身のアイデンティティを求める彼女たちに、エールを送りたい。その影にいる、彼女たちを信じているか弱き男たち(笑)にもエールを…。

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    2024年08月04日
  • 探偵コナン・ドイル

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    感想。基本切り裂きジャックの殺害現場を追っていく話なので明るい話題がなく途中息切れ気味になり読み終えるのに時間を要した。文体はまさにホームズ物を踏襲しているが、ベル博士自体はホームズのように個性が際立っている訳でないのでキャラクターとしてはやはりマーガレットの一人勝ち状態。ただ、だからこそエンディングの味わいが個人的にはとても好ましかった。
    切り裂きジャック物はどうしても犯人は公表されず闇に葬り去られるのがマストなのでどう頑張っても対決はあんな感じになるのよね、というか犯人はそこしかないよねという感じで推理物として読むにはどうにもね。
    ただマーガレットは良かった。その意味で星3つです。

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    2023年07月01日
  • 探偵コナン・ドイル

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    コナン・ドイルが切り裂きジャックを追う!同時代の二者を取り上げた作品。ドイルだけでなく、ドイルの師でありホームズのモデルといわれるベル博士や、マーガレット・ハークネス、マーク・トウェインなど実在の人物たちが登場。面白く読んだ。
    著者は、米国の軍医だったそうだ。きっと、熱烈なシャーロキアンなんだろうなぁ。

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    2022年05月07日
  • 探偵コナン・ドイル

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    ネタバレ

    原題の『霧の中のナイフ』のままが良かったと思う。
    英王室の血友病の影響は、ロシア革命だけでなく、切り裂きジャック事件にも及んでいたのか。当時のプリンス・オヴ・ウェールズも容疑者に挙げられていたし、切り裂きジャックを王室と結びつける考えは根強いよね。
    ドイルの奥さんは夫が他の女に心を奪われているのに気づいていると思う。妊娠中、ただでさえ神経過敏になりがちなのに。それを思いやれないから、ドイルは探偵として二流なんだ。
    ドイルがマーク・トウェインを愛読していたのは事実なのかな。

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    2021年06月06日
  • 探偵コナン・ドイル

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    ネタバレ

    ホームズのモデルとなったベル博士と、作家のマーガレット、ドイルの三人が切り裂きジャックの謎に挑む話。
    ベル博士はホームズとはまた違って落ち着いた紳士的な人で、そこまで目立つシーンはなく、マーガレットが一番目立つ存在だった。

    女性やユダヤ人への差別的扱いにたいするマーガレットの主張や態度はよかったものの、ドイルとのほのかなロマンスは必要だったのか?普通に仲間じゃだめか?という気持ちと、切り裂きジャックとの決着のつけかたには少しモヤモヤした。

    それでもラストは爽やかであり切なかった。

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    2020年07月18日
  • 探偵コナン・ドイル

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    ネタバレ

    冒険譚。
    切り裂きジャックものも結構読んでいるので、それ自体にはあまり新たな興味は持てないのだが、アイリーン・アドラー好きなら面白く読めるかも。

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    2020年04月03日
  • ダラスの赤い髪

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    テキサス州ダラス市警麻薬捜査課のタフな赤毛の刑事ベティ。彼女が追うメキシコ系麻薬カルテルの重要参考人が殺された。口封じなのか、カルテル同士の抗争なのか。捜査線上に浮かぶのは、元警察官のゴロツキやアジア系ギャング。さらには南軍に心酔する武装集団まで現れた。増える犠牲者、混乱する捜査…やがて彼女が直面する国境地帯の犯罪の真相とは?過去と現在の傷を乗り越えてゆくベティの闘いを描いた犯罪小説。

    小説を読んでいて、「痛み」を感じるのは久しぶり。

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    2019年08月26日
  • タンジェリン

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    あったよね昔。ピーター・フォンダの娘がやった「ルームメート」とか言う映画。あれ当時は結構強烈に印象を残した。沢山似たような作品が作られ新人戦デビューしてきたが、その都度チャンピオンベルトを守ってきたと言えよう。今回もそんなだ。場所はタンジール。何故かと言うと犯罪色を深めるためだけ。年代も昔にしてさ。新人なのか構成がうまくない。水戸黄門形式。8:45に急展開。これは編集者が駄目出ししなかったのが悪い。映画化決まったからこれでいいや感。これは映画の方がいいでしょう。まだ作ってないけど。残念な作品。

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    2018年12月22日
  • 黙示 上

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    重なって発生した四つの航空機墜落事故。ルポライターの取材に基づく著作という体裁で背後に隠された驚くべき事実が明らかになっていく。関係者や遺族の苦悩と恥を知らない社会の好奇の目。ドキュメンタリータッチで描く手法は臨場感たっぷりだが途中でやや飽きてくる。

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    2015年10月04日