府川由美恵のレビュー一覧

  • 面白い物語の法則〈下〉 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術

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    ロシアのプロップがおとぎ話の構造を分析したツールの紹介や、物語の細部を豊かにする環境的事実のツールを紹介。最後のチェックリストのところに予算の話が出て来て、確かにと思う。どんなに素晴らしい物語でも作る費用と想定される収益が見合わないと作れないしな。物語作家もそう言うそう言う観点を最終的に持たないと辛いよな。しかしロシア人もそうだが、こう言う構造的な理解や分析を示して一般化するのは欧米人は上手だよなと思う。ロシアを欧米に入れていいのかと言うのもあるが。ロシアは文学の巨大国家だし、蓄積もあるのかな。物語りを良くするために適切な問いを投げかけて行くのが大事だと言うようなくだりもなるほどと思った。こうした点を理解して映画を見てみることにしよう。

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    2023年02月17日
  • 面白い物語の法則〈上〉 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術

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    神話の法則を書いた映画会社等でシナリオ分析をしている著者とパートナーとの物語を書くための様々なツールを紹介してくれる本。映画会社にはたくさんのシナリオが持ち込まれるし、それを評価しないといけないのでシノプシスとログラインを作る。そうした要約を考え抜く事は映画のシナリオ作成以外にもあらゆる資料の作成に役立つ。映画のシナリオは書かないが、ここにあるテクニックというか、頭の整理の方法は色んな方面に役立つと感じた。しかし色んな分野で色んなプロフェッショナルが突き詰めて物事を考え分析の骨組みを作っていくという、当たり前の事が良く分かって面白い。

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    2023年02月05日
  • 面白い物語の法則〈上〉 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術

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    面白い映画の構造を体系的に知ることができる。実際の映画も例として取り上げてられているため、わかりやすい。
    映画を観る際、そして自分が物語を紡ぐ際も、頭の片隅に置いておきたい内容ばかりだった。

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    2022年12月27日
  • 面白い物語の法則〈上〉 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術

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     2022年2月刊(2013年9月に邦訳が出版された『物語の法則 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術』を改題・一部再編集の上、二分冊化)。ハリウッドで、映画会社に持ち込まれた映画脚本の査読、映画のストーリー開発、映画脚本の執筆などを手がけてきた二人が、面白いストーリーとは何か? を解き明かしていく一冊。この筆者たちの本は初読み。
     現在、某創作講座を受講中なので、参考になると思い、取り寄せ。全12章からなり、「テーマの大切さ」「登場人物に持たせるべき、"求めるものリスト"」「観客との契約」「ドラマに両極の対立を持ち込め」「英雄の内面的な旅路について」「キャラクターが相互に噛み合うアクションを作れ」「キャラクターの機能(主人公、仲間、賢者、敵対者など)」「キャラクターの代数方程式(キャラクター=求めるもの+動き+障害+選択)」「2300年前に、テオプラストスが、30の人物の類型について書き残した冊子『キャラクターたち』の紹介」「シノプシスとログライン」などを読者に示す。ジョージ・ルーカスの『スター・ウォーズ』に影響を与えたと言われる、ジョーゼフ・キャンベルの『千の顔を持つ英雄』(私は未読)の分析にも一章を割いている。
     訳文はこなれており、大変読みやすい。物語作りにおいて、物語のパターンとキャラクターの類型を知っていれば、それらを踏襲することも、あえて外してみることも、できる。本書は、先人たちが探り出したパターンを列挙しているので、創作を志す者ならば、目を通しておいて損はないと思う。

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    2022年05月17日
  • 面白い物語の法則〈下〉 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術

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    上巻に続き、読みました。下巻はこの本で言うところの、「環境的事実」について。舞台設定についての分類がなされてます。
    あえてこの本の難点を言いますと(いや、気にならない程度なのですが。。)翻訳の言葉が、ハリウッドやエンタメぽくなく、頭にスっと入ってこない、腹落ちしない気がします。。
    上巻に、映画の配役には「相互アクション」が大事、みたいな章があるのですが、おそらく(原文を見たわけではありません。。。)「インタラクション(interaction)」でいいのでは??? この「環境的事実」と言う言葉も、なんなんすかね。。原文がわからないのですが、もうちょいわかりやすい言葉にした方がいいんではないか。。「環境的事実」の章が結構続くのですが、このタイトルのおかげで、なんか乗り切れなかったです。。

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    2022年04月09日
  • 面白い物語の法則〈上〉 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術

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    本屋さんで見かけて購入しました。「神話」に人類の物語の全てのプロットがある。という話は、村上春樹をめぐる内田樹さんや柴田さんの評論や、河合隼雄さんの著作や、中沢新一先生の著作などで、カジって知ってました。
    この書では、ハリウッド映画のシナリオをチェックする仕事をしている2人が、具体的に映画のシナリオに必要なプロット(筋書き?構成?)をまとめ、公開しています。
    下巻も合わせ、とても面白く拝読しました。

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    2022年04月09日
  • 脳が読みたくなるストーリーの書き方

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    ネタバレ

     小説や脚本を書く人が陥りがちな間違いについて脳科学的な知見から神話と真実をあばいていく内容である。
     他の書籍だとこれまで鉄則というものがあってそれはこういう理由であるという体で書かれているものが多かった。本書はそれに加えて人間の脳それもその偏向性や欲求に即して説明しているところに違いがある。それはとても良い効果を発揮している。
     付け加えると作者であるリサ・クロンさんはたくさんの良作だけでなく駄作に触れている経験を遺憾なく発揮している。小説・脚本においては十中八九最初からうまく書ける人はいない。この本のようなものでマナーを学び一度書いたら十回以上推敲して文章を磨き上げることが必要となる訳だがその理由を端的に示しており納得感がある。時間をかけることになることであるからこの「納得感」はとても重大だ。
     グラフィックレコーディングなど打ち合わせや介護の見える化の講座をデザインして企業研修等で教えているのだが、研修講座とは時間芸術のひとつだと思っており、小説や脚本術はとても参考になる。本書もその一環で読んだ。

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    2021年07月05日
  • 探偵コナン・ドイル

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    コナンドイルが探偵役となり、ジャックザリッパーと対決する!ワクワクする設定です。ビクトリア女王時代のロンドンの描写が鮮明で、ゴージャスと猥雑がないまぜになった様が目に浮かびました。捜査の様子もクラシカルなので、え!こんなこともっと前にわからない?と思う場面はありましたが、それだけ当時の様子に則って描かれているのでしょう。作者はドイル同様医師ということで、殺害シーンの描写ががエグい。それに比して事件は淡々と進み、ドイル含む三銃士の描写の方が生き生きとしてます。劇的な展開がないままラストに突き進みますが、なかなか印象的な結末でした。こんな文学的なミステリーもあるのだな、と感じ入っています。マーガレットが素晴らしく素敵で、この時代に生きるのは大変だったと思いますが、惚れ惚れしました。そして、ベル博士。深みのある人柄で心底魅力を感じました。読み進めるたびに、かつて見たジョニデのフロムヘルを思い出しました。

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    2020年07月06日
  • 探偵コナン・ドイル

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    実在の事件を下敷きにしているので、少し展開がまったりしているところがあるけれど(特に前半は、捜査といっても警察署に泊まり込んで云々ぐらいしかないので)逆にいうと、その史実を下敷きにうまくまとめあげたなと。ドイルが完全にワトソン役なので、ドイルの息子たちが生きていたら完全にNGだろうなとか、ちょっとおかしくなってしまった(ドイルの息子たちは父を絶対視していて、父こそがホームズのモデルであると主張していた)。マーガレット・ハークネスも実在の人物なのね。知らなかった。
    ホームズ対切り裂きジャックはけっこうあるはずだけど、ドイル対~は斬新かも。

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    2020年04月13日
  • 探偵コナン・ドイル

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     コナン・ドイルの『緋色の研究』によるデビューが1886年。ホームズの第二作『四つの署名』が1890年。その間の四年間、ドイルはホームズは一作書いただけの鳴かず飛ばずなので、英国内乱の歴史小説を書いている。そして本業の医師の仕事についている。プライベートには1988年に妻ルイーズが妊娠。その頃、切り裂きジャックが血まみれのナイフ片手に、霧の町ロンドンの夜を震え上がらせている。

     そんな時系列を抑えておく。つまり本書の作者は、ホームズ作品の難産作品二作目を産み出すモチーフとして、四年間の空白の中間部に勃発する切り裂きジャックの事件を配置。ドイルは、ホームズのモデルとなった恩師である医師ベルと共同で事件の謎に挑むことで、その後のホームズ像を確立させるモチーフとしたという収まりの良い設定を見せてくれる。その意味ではある意味、本書は快挙と言える。

     しかし、それだけでは本書の魅力は語り切れない。むしろ影の主人公たる男装の女流作家マーガレット・ハークネスがチームに加わり、三銃士のトライアングルを形成することで、捜査チームは完成する。作品に血が通い、躍動する。男性二人に女性一人。『俺たちに明日はない』の如く。『明日に向かって撃て』の如く。

     マーガレットは、切り裂きジャックの徘徊したロンドン・イーストエンドにマッチ工場で燐による顎骨癌を患い死と向かい合う女性とともに住んでいる。界隈は貧しく治安の悪い場所のため、外出時には男装し、小型銃デリンジャーをポケットに忍ばせる。男性の服はポケットが沢山あるから便利、というのは彼女のセリフである。

     そしてベル博士はエジンバラで教鞭を取りながら、名医として知られるが、患者を一目見て職業や状況を当ててしまう観察力でも知られている。そうドイルはベル博士からシャーロック・ホームズの、今ではメンタリストという職業でも使われている才能、観察力と推理力を借用したのだ。

     かように三人ともに個性的極まる実在の人物であり、嬉しいことに巻末に彼らのプロフィルと写真があるので、姿かたちまで物語という想像のスクリーンの上で動かすことができるのだ。

     ミステリー小説としては多くの制限がありすぎるかもしれない。史実と資料に縛られた実在の事件であること。事件の捜査に実在の人間たちが参加するシチュエーションを構築すること。でもその辺りを当時の風物や町の情景を活写しながら描き切っている筆力には注目すべきである。そしてこの時代、ロンドンに流入する異人種、貧民、犯罪者などの掃き溜めのように扱われ差別の横行するイーストエンドのホワイト・チャペル界隈。貧富の差のリアル感。まだ鉄道も電話も十分に整備されていないゆえの馬車やメッセンジャーによる移動、及び通信手段。

     ホームズものは日本では松岡圭介が『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』という怪作を残している通り、コナンドイルの生きた時代は明治維新の時代である。

     なお『わが名は切り裂きジャック』でのスティーヴン・ハンターの本事件への取り組みも見ものである。この作品と本書とで、ぼくは二度ホワイト・チャペル界隈のリアリティと事件のあまりの残酷さとを想像体感させて頂いているわけだ。

     本書でのドイルがホームズ像をより具体的に心に描いてゆく過程、家庭に妊婦を置いていながらマーガレットに惹かれてゆく気持ち、など含めて繊細かつ大胆な骨格の名作が出来上がったように思う。なお、続編ではマーガレットがベルともどもヴィクトリア朝ミステリという形で活躍することになるらしい。気になるヒロインとの再会への期待が膨らむばかりである。

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    2020年04月08日
  • タンジェリン

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    正反対にもみえるふたりの女性。
    どんなものでも、どんなことをしても手に入れるルーシーと弱々しく危ういアリス。
    裏切られても離れていってしまってもどうにか元に戻して取り返そうとするルーシーの気持ちが理解できてしまって切なかった…。
    お話自体はありがちというか、普通なかんじな気もしたけどモロッコ、タンジールの描写がとにかく美しくて暑苦しい独特な雰囲気が出ていて良かったです。
    あまったるいミントティー飲みたくなるな。笑

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    2019年03月23日
  • サンクトペテルブルクから来た指揮者

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    2003年、ソ連崩壊後のかつてない経済成長に沸くロシア。故郷スウェーデンを離れてモスクワの投資銀行に勤めるトムは、大手石油企業の買収プロジェクトに携わるチャンスを得る。しかしトムが株売却の斡旋をした大富豪が何者かに惨殺され、さらには小口株主だったトムの親友の弁護士が爆弾テロで命を落とす。立て続けに起こる事件との関連を検察に疑われたトムは、しだいに厄介な立場へと追い込まれ……背後で暗躍するロシア経済界の黒幕とは? 金融のエキスパートが放つ あまりにも生々しいサスペンス!

    次々と情け容赦なく奪われる命。筋立てはシンプルだが、読ませる。

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    2018年06月17日
  • 脳が読みたくなるストーリーの書き方

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    脳科学者によれば、すでに過剰負荷に耐えている脳が、貴重な時間と空気を費やしてまで人間を物語に没頭させるのは、物語がなくては困ったことになるからだ。物語があれば実際に起きたことでなくても、重大な経験をシュミレーションすることができる。これは石器時代においては生死にも関わる問題で、経験が教えてくれるのを待ってやぶの中を動き回ったりすれば、昼食を探しているライオンに見つかって餌食にされるだけだ。脳がさらに進化した現代においてはさらに重要で、人間は自然界を学んだ後ももっと複雑な社会というものに取り組まなければならない。物語は、自分や他者の心を探る方法、未来のための予行練習としても発展してきた。こうして物語は、生死に関わる身体的な感覚のみならず、より良い人生を求める社会的感覚としての生き残り術も伝えてくれるようになった。著名な認知科学者でハーバード大学教授のスティーブン・ピンカーは人間が物語を求める理由を高説明している
    「物語は、いつか私たちが直面するかもしれない人生の難問や、そのときにとれる戦略の結果をとりそろえたカタログを提供してくれる」

    物語とは、
    困難なゴールに到達しようとする誰かに対し、起きたことがどう影響するか、そしてその誰かがどう変化するか

    起きたこと=プロット
    誰か=主人公
    ゴール=ストーリークエスチョン(物語の中で解決されるべき問題)
    その誰かがどう変わるか=何についての物語なのか

    物語とは、人がどう変わっていくかを描いたもの

    読者が最初の1ページに対し、容赦なく求めようとする基本的な事項
    1 これは誰の物語?
    2 今、何が起きている?
    3 危機にひんしているものは何?

    テーマとは、
    ・人間らしさとはどういうことか、その物語が伝えていること
    ・手に負えない状況に対する人間の反応について、その物語が語っていること

    プロット
    主人公を動かし、テーマを明らかにする

    もっとも大事なのは、プロットが主人公に「どう影響するか」

    本当の物語とは、起きたことが主人公にどう影響するか、そしてその結果、主人公がどうするかを書くもの

    読者は、脳科学者が発見したことを直感的に知っている。人間の経験は、すべて自動的に感情で塗りつぶされるものだ。なぜか?これは1と0でできているコンピューターの人間バージョンで、基本にあるのは「これは私を傷つけるのか、それとも助けるのか?」という問いだ。この単純な問いが、豊かで複座で洗練された。つねに変動する人間の自己感覚のどんな側面においても基礎となっており、人間はそうやって周囲の世界を経験している

    最終的に物語を進めるのは、主人公の行動、反応、判断であり、それらの引き金になる外部的な出来事ではない

    読者の脳に組み込まれた暗黙の問いかけは、「もしこんなことが自分に起きたらどんな感じがするだろう?」「どう反応するのがいちばん良いことなんだろう?」だ

    脳は社会的に考えるようにできている

    唯一の真の発見の旅とは、未知の土地を訪ねることではなく、新しい視点を持つことだ(プルースト)

    しばしば物語の主人公が見つけるのは、自分の外面的なゴールと内面的なゴールは、最初からずっと相反するものだったということ

    主人公の内面的・外面的ゴールを定め、それを互いに闘わせておくと、外面的な緊張感と内面的な葛藤が生じ、それが物語全体の原動力となってくれることも多い

    外面的な問題が物語にドラマを生むのは、主人公が自分の問題を克服するためにそれに直面しなければいけないというときだけだ

    主人公が直面するすべての出来事が、内面と外面の双方の問題から派生しているようにしなければならない。そうしておけば、平凡な落とし穴にはまらずに済む、つまり、一般的な"悪い状況"を使って主人公のゴールを設定するという過ちを犯さずに済む

    主人公が長年探し求め、それゆえに試練にさらされていく「ゴール」というものがないのなら、たまたま陥ってしまった窮地を出ることだけが「ゴール」ということになってしまう。そうなれば、スポットライトが当たるのは「問題」であり、「主人公」ではなくなる。出来事は起きても、主人公は表面的にしかその影響を受けない。なぜなら、現在の状況をできるだけ早く脱出するというわかりきった一時的なゴール以外に主人公に独自の望みや求めている何かがあるのかも読者にもわからないため、普通は誰でもそうだろうという一般的な反応以上の予測ができないからだ。これではどうにも退屈だ。なぜか?「誰でも」やることなら、読者にも簡単に分かる。そこにサスペンスの余地はない。読者は自分の知らない何かを知りたくて物語を手にする。「誰でも」やることには少しも興味は沸かないが、あなたの主人公がやることなら熱心に興味を持つーその理由がわかるかぎりは

    登場人物とは行動のことである(フィッツジェラルド)

    私が何かについて「考えてくれ」とあなたに頼んでもあなたは考えないでいる権利がある。だが、私があなたに何かを感じさせたら?そうやってあなたの注意を引くことはできる。感覚とは反応なのだ。感覚が人に何が重要化を知らせたら、人の思考もそれに従わずにはいられない。自分に影響しない事実ー直接の影響がない、あるいはほかの誰かにどう影響するか想像できない事実ーは、自分にとって重要ではない。たとえ何千倍も大きな事件であろうと、非個人的で一般化された物事より、特定の個人の物語のほうが無限の影響をもたらすことができるのはこのためだ。実のところ、特定の個人の問題を通じてしか、一般的な要点を突くことはできない。でなければ、スカーレットも言ったように、それは明日考えればいいということになる。脳は人の感情をとらえない物事にエネルギーを費やすのを嫌うので、たぶん一週間たっても考えることはないだろう。
    まず感じる。そして考える。これが物語の魔術だ。物語は、一般的な状況や発想や前提を持ってきて、それを特定の事象を通じて個人化する。兄弟で身の毛もよだつような恐怖ーたとえばホロコーストーを持ってきて、ある人間の個人的なジレンマを通じてその影響を描き出す。読者はその影響を教えられるのではなく体験するのである

    物語に感覚的な詳細描写をする理由
    1プロットに関連した「原因と結果」の軌跡の一部を野なっている場合
    2登場人物に関する洞察を読者に与える場合
    3メタファーになっている場合

    人は対立で物語を楽しむ
    対立を描く場合、あなたの読者には、そこにないものがあるように見えなければならない

    すべての物語は「どっちつかずの奴」の物語だということだ

    人間の脳が情報をどう処理するか
    ①脳はすべてにおいて意味のあるパターンを探すようにできていて、パターンの反復もしくは変化に基づいて次に何が起きるかを予想する(つまり何より重要なのは、読者にもわかる意味のあるパターンが存在する必要があるということだ)

    ②読者は、現実か想像上のことかに関わらず、似た出来事における自分の個人的経験を通じてページ上の筋書きを読み、現実味があるかどうかを見る(つまり読者は、ページ上にあるよりも多くの情報を推測することができるーあるいは、推測するための情報が充分でなければ腹を立てる)

    ③人間は問題解決を好むようにできている。何かを解明すると、脳はあたかも「よくできました」と言うかのように、中毒性のある神経伝達物質を放出する。物語の楽しさとは、本当は何が起きているのかを解き明かすことだ

    さまざまな対立がサスペンスの状態を生むのは、敵対する欲求、事実、真実を互いに向き合わせることで、進行中の対立を本質から煽り立てることができるからだ

    物語上の原因と結果は、主人公が「どうやって」A地点からB地点に移ったのかではなく、「なぜ」そうなったのかという話だ。物語上の内面的な原因と結果の軌跡は、主人公の行動の動機となる内面的な問題の進展を追う。起きたことを主人公のゴールと照らし合わせ、主人公がなぜその判断に至ったのか、そのことが主人公をどんな次の場面に押しやったのかが、理解しやすい形で明かされることになる

    「ジョンは悲しんでいる」と書くのではなく、なぜジョンが悲しいのかを見せる

    行動、反応、判断

    概念は、物理的にも感情的にも、人に影響をあたえることはない。人に影響を与えるのは、特定の具体的な概念だ

    伏線
    解決策は、いざ明かされたとき、それが必然だったと見えなければならない(レイモンド・チャンドラー)

    人間が心の中で複数の情報をきちんと処理することは不可能だというー入ってくる2種類の情報の流れを、脳は同時に処理することができない(スタンフォード大学の研究)

    人間が外部の世界、もしくは浮かんできた記憶から入ってきた複数の情報に集中しようとすると、「現在の目的に関係のないものを排除することができなくなってしまう」(脳科学者 アンソニー・ワグナー)

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    2017年01月10日
  • 黙示 下

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    2ちゃんねるや日本独特のオタク文化が紹介されているのが興味深く、出版された本のあとがきとして書かれた物語の核心となる部分が読ませる。ただし、想像もつかないような陰謀や大規模な犯罪へと発展するかと思いきや、やはりそこへ行ってしまうのかと、やや肩透かしを食った思いがする結末。

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    2015年10月04日
  • ダークエルフ物語7 アイスウィンド・サーガ〈4 暗黒竜の冥宮〉

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    アイスウィンド・サーガ第二作目
    前作で、テンタウンズをそしてアイスウィンドデイルを守る事に成功したドリッズト達は今回、ドワーフであるブルーノーのかつての故郷ミスリルホールを探すための旅に出る。
    だが、そこには彼らの後を追う者の姿があった。
    暗殺者のアルテミス・エントレリは仲間の一人ハーフリングのレギスが持つ魔力を秘めた宝石を探して、また秘術の塔の魔法使いは前作でアイスウィンドデイルに災厄をもたらす原因となった魔法の水晶を求めて彼らを追う。
    行く手にに拡がる過酷な旅と後方からの追跡者、多くの試練を乗り越えて旅の仲間達はミスリルホールを探し出すことができるのか・・・という話。

    この作品特徴としての主人公のドリッズトがドロウ(ダークエルフ)であることが挙げられる。
    ドロウは地下世界に住む邪悪な種族として知られていて、事実ドリッズトの生まれた街は裏切りと欲望にまみれた世界だった。
    彼はそんな世界の在り方に疑問を抱きドロウの神ロルスの怒りを買ってしまう。結局追われるようにそして同時に自らの居場所を求めるために地上世界へとやってくることになるのだが、地下世界の住人にとっては厳しい世界でもあった。
    やがて地上世界を旅する中辿り着いた北の大地アイスウィンドデイル。そこでようやく信頼すべき仲間と巡り会うことができたドリッズトであったが、やはり世間の目はドロウには冷たく、今作でも地上世界に本当に自分の居場所があるのか葛藤するドリッズトの姿を見ることができる。
    英雄譚であるもののその主人公が常に心に葛藤を抱いているということがこの作品の魅力の一つにもなっていて、とても感情移入できる作品にもなっている。

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    2009年12月03日
  • 探偵コナン・ドイル

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    『緋色の研究』発表後のコナンドイルが、師匠のベル博士(ホームズのモデル)と共に切り裂きジャックを追うミステリー。

    期待したオチと違って肩透かし感はあったけど、今まで冷酷な人間だと思い込んでいた博士の描写が素晴らしくて彼を好きになった。史実の彼についてもっと知りたい。

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    2026年05月02日
  • ストーリーテリングの科学

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    物語の構成を科学的な視点でまとめている本を、Xで話題になっていたため購入。ただ、読んでみた感想としては、元々自分が持っていた感性や考え方を大きく超えるような新しい発見は少なく、「期待しすぎたかな」と感じた。

    しかし、この本を読んで改めて強く思ったことがある。

    「この人物は何者なのか?」

    それを追いかける行為は、いつの間にか「自分には変わる勇気があるのか?」という、自分自身への挑戦に変化する。

    物語は、私たちに「自分がどれだけ間違っているか」を優しく、時には容赦なく教えてくれる。そして、自分の欠点と真正面から向き合い、成長していく過程を、登場人物を通じて体験させてくれる。

    葛藤しているのは、自分だけではない。

    作品を通じて、登場人物と一緒に悩み、一緒に変わり、一緒に英雄になっていく。そんな体験ができるからこそ、私はこれからも物語に触れ続ける。

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    2026年04月13日
  • ストーリーテリングの科学

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    はじめに言葉ありきと聖書には書かれているそうですが、本当ははじめに物語ありきだったとということかもしれません。
    この本に書かれているように人間の本能が物語を求めているのだとしたら頭の中にある噂話(ゴシップ)を伝えるために言葉が生まれて進化したのだと思いました。

    往年の小説や映画を例に解説してくれているのですが、いかんせん古い作品が多く読んでも観てもいないものばかりであまり腑に落ちる感じにはなりませんでした(泣)
    冒頭にスターウォーズを例に出してきたときは期待したのですが、その後はほとんど知らない作品ばかりでした。

    ということで今から本書を読まれる方は出来たら下記の作品を観てからがよいかもしれません。
    特に作者は「市民ケーン」がお気に入りのようです(笑)

    【作品名】
    市民ケーン
    日の名残り
    アラビアのロレンス
    ゴーンガール
    ダンサーインザダーク

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    2026年02月14日
  • 面白い物語の法則〈上〉 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術

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    物語を組み立てるロジックがかなり丁寧に解説されていた。
    作中のシーン一つ一つがキャラクターの取引であり、価値を提供する契約を作者は観客と結ぶ。

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    2025年03月10日
  • ウェイワードの魔女たち

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    魔女狩りの時代の17世紀、第二次世界大戦中の20世紀、そして2019年。ウェイワードの血を継ぐ3人の女性達のアイデンティティを貫く姿勢を描く。
    どの時代でも、理不尽な扱いをうける女性たち。少しづつ見えてくるウェイワードの女性たちの力。魔女的な要素は大きなポイントではあるけれど、自身のアイデンティティを求める彼女たちに、エールを送りたい。その影にいる、彼女たちを信じているか弱き男たち(笑)にもエールを…。

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    2024年08月04日