グレゴリー・ザッカーマンのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
まずは身近な話から。
娘の中学受験のとき、ネットのクチコミサイトみたいなものを覗いたことがある。今、うちの子は偏差値が40なのですが、あと一年でxx中学に受かるでしょうか、みたいな聞いてどうする系のトピックが溢れ、それは無理ですだの、いや、うちの子はラスト数ヶ月でどうだのという論争があちこちで勃発していた。
そこでひとつわかったことは、一般的な傾向と個別のサンプルとはしばしば混同して語られているということだった(子どもの教育、という切実な問題ではとくに)。早々にその掲示板に見切りをつけたことは、自分自身の精神衛生上はよかったと思う。
さて、複雑怪奇な株式市場に博打好きの天才数学者が挑んだとき、どんな個別サンプルからどんな一般的傾向を発見できたのか、というのが本書のテーマである。
コンピュータの性能も悪く、株価のデータを手で書き写すような時代に、今まさに人工知能がかかりきりになるような戦いが行われていた。
大学で基本を習った方には馴染み深いと思うが、経済学の現場では、効率的市場仮説、すなわち市場では皆が正確な情報を持っていて誤りは瞬時に訂正される、というややウソくさい仮定が(行動経済学がノーベル賞を取った今でも)重宝されている。これは、要するにこの仮定のもとでは理系っぽい数学を使いやすいからだ。
本書の登場人物、シモンズをはじめ全員変人の数学者集団は、美しい数式を操れる知性でもって市場の効率性を疑い、文字通り一つずつ集めた手作りの株価データをもとに市場参加者を出し抜いた。「傾向」を見抜いたのだ。
「目標は、何か数学モデルを考え出して、それを枠組みとして使って何らかの結果や結論を推測することだった。、、、一番大事なのは、つねに正解じゃなくても、十分に多くの場合に正解であることだ」(p147)。
まだ上巻、本当の試練はどうやらこれからだ。
-
Posted by ブクログ
ニューヨーク近郊にあった巨大ヨット、アルキメデスのオーナーを調べたらジム・シモンズだったのがこの人の名前を知った最初。数学者でこれほど稼いだ人はいないだろうから、その投資手法が気になっていた。要は、人間が見つけられないアノマリーをコンピュータで見つけるという方法だったのか。こういう本が出たりして皆が真似するようになると、アノマリーが消えて成績が落ちるかと思いきや、今も60%を超えるリターンとはさすが。メダリオンに投資したい。。素晴らしいシステムを作ったシモンズだが、株価急落の際にはシステムが信じられず、経験の長い人に売買のアドバイスを求めたりするところは面白い。やはり納得して売買したいというのが人間心理。