宮内泰介のレビュー一覧
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社会学者というと、キャッチコピーで勝負する広告会社の人みたいで、学者としては何だか浮ついた存在、という印象を持っていた。本書を読むと、社会学者がなぜそうした印象をもたれかねないスタンスをとるのかがわかり、「社会学、大事かも」と思わされた。著者があとがきで書いているように、社会学を「合意形成の技法」ととらえ、それがどのようなものであるかを、やさしい言葉で的確に説明している。プリマー新書やジュニア新書によくあることだが、文体はソフトながら内容的にはかなり難しいことを密度濃く語ろうとしている。「やっかいな問題」「被害構造論」「サードプレイス」「感情労働」「弱い紐帯の強さ」「流動的近代」「中範囲の理論
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ネタバレ帯にあるように300年4000キロの旅の物語というのが、カツオではなく
かつお節であったことがすごい。
以前荒俣宏著の「男に生まれて」の副題が江戸鰹節商い始末。この本では老舗の「にんべん」を扱っていて、文中で西伊豆の田子のかつお節を書いていた。私事で、親子二代に渡って西伊豆の小さな鰹節店から花がつおを取り寄せ続けていた舌が、今度はどんな出会いもたらすか、とこの本を手にした。
戦場にもっていく携行食としてかつお節が登場したのが16世紀。明治の殖産工業の後押しと日清・日露戦争といった需要の増大で、漁場と加工場が次々と南方へと出ていく。
4000キロというのが、戦後でなく、すでに明治末から大 -
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社会学とはなにか知らずに読んだ。
簡単にいうと社会学とは、社会のために良さそうな規範を共同で作って行くこと。ある事柄に関して対話をベースとして人の話や文献・資料からインプットし、分析して暫定理論として提言していく。その一連(プロセス)全てが社会学であると僕は認識した。
社会学は知るだけではピンとこない。実践に移して初めて、社会学が何のためにあるのか分かる気がする。
僕の感覚ではあるが、社会学的アプローチは調査・分析をベースとするので、効果的な分野としてはすぐ答えを出さないといけない事象でなく、長期的な事柄に対してだろなと思っている。
できる範囲で人の話を聞き、分析して、よい社会を作って -
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本書が出版されたのは2004年。(手元にあるのは2008年の10刷) 本書の出版当時よりもなおさら「調べる」という作業におけるインターネットの比重が大きくなっていて、それ以外に発想しようがないぐらいにまでなっている人も多いのではないかと思う。
本書は「資料・文献調査」「フィールドワーク+アンケート調査」「まとめかたとプレゼンテーション」という形で、市民が自ら何かを調べる際に取り得る方法の全体像を解説する。
「資料・文献調査」としては例えば雑誌記事や論文、書籍、新聞記事、統計データ、インターネットなどの具体的な調べ方やそれぞれのメリットの解説がなされている。具体的な情報源が示されていたり、練 -
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[ 内容 ]
資料を調べる、データを探す、フィールドワークに出る、プレゼンテーションをする―行動派社会学者の情報収集・整理のノウハウ。
[ 目次 ]
1 市民が調査をするということ(自分たちのことは自分たちで決める;調査は難しくない ほか)
2 資料・文献調査(資料・文献調査とは?;雑誌記事・論文を探す ほか)
3 フィールドワーク(フィールドワークはなぜ必要か;フィールドワークは立体的 ほか)
4 まとめかたとプレゼンテーション(1つ目の“一覧化”=フォルダにまとめる;2つ目の“一覧化”=カード化とキーワード化 ほか)
5 最後に―市民調査を組織しよう(市民調査を組織する;ノウハウの相互交 -
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ネタバレサブタイトルに、
「市民のための調査入門」とあります。
自分たちで自分たちの社会を作っていくことが、
いつからできなくなっているだろうか、
との著者の問いからはじまります。
社会は複雑になり、
決めなければいけない事が一人ひとりではカバーできないくらい
多岐にわたるようになり、
それにともなって、
それぞれの分野にくわしい専門家というポストがつくられ、
彼らが決定を下すシステムになってきた。
ゆえに、現代において社会を作っているのは、
見ようによっては断絶された一人ひとりの専門家の決定である。
それを、少しでも市民の手に取り戻したどうだろう、と
著者は言うんですね。
自分で自分の社会をつく -
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かつお節に漠然と抱いていたイメージを改めさせてくれた好著。伝統食品と言われつつも、庶民の食卓にはいってきたのは割と最近で(こういうのは他にもいろいろあるかも。昔の食はきわめて質素である)、パック入り削り節や風味調味料の登場もあって今日に至るまで消費量は右肩上がりに伸びている。また日本の南洋進出とかつお節の歴史も知らないものだった。
・三枚におろした半身から作ったのが亀節。大きめのカツオはそれをさらに背と腹の4枚に切り分けて、そこから作ったのを本節とよぶ。
・カビ付けも整形もしていないのが荒節。パック入り削り節た風調の原料に。
・現在と同じようなかつお節が作られだしたのは17世紀終わりごろ