服部正也のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
すごい!自分自身は国際経済、開発経済学の知識は無いし、そもそもあまり興味がない分野だし、海外での業務経験も無いにも関わらず、著者の凄さは圧倒的に感じたし、様々な人がいる組織の中でお互いを理解し、働くという点では多くの学びがあった。
著者のすごいところは、もちろん元々の知識量の多さもあるのだろうが、それよりも、知識を机上の空論にせず、ルワンダ人と会話を重ねながら、外国人技術者達が作り上げた不平等かつ複雑怪奇なルールを撤廃し、ルワンダの現状に合ったルールをゼロベースで作り上げていく点にある。膨大な知識がベースにあっての、持続可能なシンプルなアウトプットというのが最強なんだと思う。
トラックの値決 -
Posted by ブクログ
内容は難解だが、もの凄いことを成し遂げた話であることは良く分かる。
理論と実践が見事に噛み合い、アフリカの貧しい小国の近代化を、中央銀行総裁として日本から派遣された日銀マンが現地民の懐に飛び込んで様々な障害を乗り越え進めていく。何が凄いって、国の実状を把握し、経済学の諸理論を駆使して具体的な施策を立案し、これを実施して行くところ。その施策はこれまで当然にように国際機関や海外からの技術者や行ってきた物とは大きく異なり、現地ルワンダ人の能力を信じ、彼らの努力を引き出し、自らの力によって国内経済の基礎を築き、発展させてゆく。
日本人らしくもあり、日本人の底力を感じる。 -
Posted by ブクログ
話題の本だったので。
この本に書かれていることは1964年から1971年であること。
隣国のコンゴでは、直近に内乱があり白人が暴徒化した黒人に凌辱、虐殺されていること。
インターネット、携帯電話はもちろんのこと、国際電話でさえままならない時代であること。
ルワンダはこの時独立したてで、アフリカで最も貧しく、国土も狭く産業も育っていない国であること。
そんなルワンダの中央銀行(日本で言えば日本銀行)に総裁として世界通貨基金の要請で派遣されることになった。
独立しても旧宗主国に搾取され続ける仕組み。
理解できないことがあっても人に聞くと「それがアフリカですから」ですまされることが多い中、服部 -
Posted by ブクログ
日銀マンの奮闘記。植民地残滓の経済(外国商人支配)を通貨改革と農業中心経済再建でルワンダ経済成長の先鞭をつけた。外貨不足と財政赤字に伴う平価切下げ&二重為替制度一本化の話は経済音痴には難しかった。マクロな統計分析とルワンダ現地の農民・商人・政治家との交流の2つを組み合わせてルワンダのグランドデザインを描いていたのは正直すごい。
通貨改革についてはルワンダに銀行が一行しかなかったことが逆にやりやすかったんだろうなと思った。
農業開発を通じて農民を貨幣市場に戻す試みは流通機構の整備や関税の調整で成功に終わった。紙数の多くを外国人商人と現地のいざこざが占めていて、先進国から見たアフリカ像が実 -
Posted by ブクログ
敗戦の記憶がまだ新しかったと思われる1968年にIMFからの要請によって、当時独立して間もないルワンダ中央銀行の総裁として赴任した日本人の著者による記録。著者自身も日銀職員であり、金融政策や実務についてはかなりの知見があることは書中にたくさん書かれている問題とそれに対する対応策に関する考察で読み取れる。
本書を手に取ったきっかけは、いわゆる発展途上国とのビジネスにおいて常に悩まされる、現地人の責任意識の低さや、スピードの遅さなどについて、何かヒントはないかと思ったことである。
ルワンダは、独立前には隣国のブルンジと併せてベルギーの植民地であったため、ベルギーとの貿易が多く、かつそれに伴うベ