菅野覚明のレビュー一覧
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人々の平和で豊かな生活はお客さまとしての神さまを上手にもてなすことで実現するというのが、日本人の一つの価値体系の根拠をなすという見方ができる。(…)お客さまに良い物(幣帛)を差し上げ、その見返りないしお下がりで豊かに暮らすというのが、日本人の神さまとの付き合いの基本である。18
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神であるということを直ちに神聖なもの、優れたもののイメージに置き換えてしまうのは、日本の神のもつ奇しく異しい、底知れぬ豊かな奥行きを、痩せ枯れた抽象へとすり替えてしまうことになる。日本の神は、 -
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武士の世界のバランスは、過不及を削った適度としての中庸のことではなく、一人の人物が過激な両極端を矛盾なく体現するところの中庸なのである。両極端を足して二で割った常識ではなく、両極端をそのまま包み込む、いわば両極を超えたところにある常識なのだ。98
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一は一であるということを決して曲げないところこそ、天地宇宙を通じて唯一つ確実な拠り所である。相手が神であれ仏であれ、己れの頼むべき所はそこにしかない。これこそが、武士の発見した「哲学」だったのである。112
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