西澤哲のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
児童虐待という問題を、子どものこころに生じるトラウマという観点から論じ、そしてそれが子どもの心身と行動に与える影響について解説した本です。「虐待」も「トラウマ」も「PTSD」も、いまではまったく珍しい言葉ではなくなってしまいましたが、それでも、この問題が実に根の深い、早急にことに当たらなければならないものだということを、本書はしっかりと伝えています。
本書の初版が出版されたのは1997年と書かれてありますから、本書は実に13年前のものだということになるのですが、その内容は今でも十二分に、被虐待児を理解するための本質を提示してくれているように感じられます。いま、児童相談所に寄せられる虐待相談件数 -
Posted by ブクログ
第四章で子どもを傷つけてしまう親について述べている。
子どもは親に依存しながら生きていく。親自身が依存的である場合、子どもの依存を受け入れて、その欲求を満たしてあげることは、非常に困難でストレスに満ちた行為になる。
また、攻撃性や衝動性が高いということは、感情をコントロールできないことと関連している。
子どもへの虐待の背景には、親自身の非常に激しい愛情飢餓が見られることが多い。
親からこどもへの暴力の背景には、親が抱く子どもに対する非現実的な期待感がある。完璧性への欲求の背景には、自己肯定感や自己評価の低さが存在していることもある。親として完璧な存在になることが、それまでの人生で得られなか -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
身体の傷は治っても心の傷は消えない。
人格を、ときには人生さえ支配してしまうトラウマとは何か。
第一線での臨床活動をふまえて「子どもの虐待」の問題をとらえなおし、傷ついた子と親の心の回復を説く。
[ 目次 ]
第1章 子どもの虐待を考える
第2章 トラウマとしての虐待
第3章 虐待のトラウマと子ども
第4章 子どもを傷つけてしまう親たち―虐待を生じるトラウマ
第5章 トラウマが癒えるということ
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆ -
Posted by ブクログ
子どもの虐待がこれまでどのように捉えられ、扱われてきたか、虐待にはどのようなものがあるのか、虐待という現象の背後にあるトラウマについて、トラウマを癒すにはどうすればよいか、といった話が書かれている。虐待された側、した側のコメントや言い分を交えながら解説されている。
まず「虐待」という訳語がふさわしくない、という話に納得した。もっと言えば「良い子育て」から「悪い子育て」までの連続体の中の「悪い」方に「虐待」が位置づけられるのではないかと思った。つまり「虐待」までには至らなくても虐待の一歩手前の「悪い」子育てというものもありそうだし、そうなると育児に関心のある人は読むべき本だと思う。また、ショ