小野純一のレビュー一覧
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本題とは離れるがサルトルが提唱した、愛の概念についての新たなものの見方(p.91)が面白かった。相手から愛されたいと思われたいっていう気持ちは、愛(するが故に生まれる感情)だけど愛(しているなら相手の気持ちを自分でコントロールしたいと考えるべき)じゃない。といった内容。つまり、愛という言葉は矛盾を孕んだ概念であると。
一つの単語の概念を突き詰めて考えると、矛盾を孕むことさえあるんだなと言葉の奥深さを学べた。
全体的に難しかったが、最終章手前の、孤独と孤独感の違いを語っていた章が1番読みやすかったかな。宇多田ヒカルさんの活動休止のエピソードを例に挙げていたが、ひとりで自分を見つめ直す時間って改めて大切なんだなと感じた。 -
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ネタバレ言語学というあまり馴染みのない学問だが、表紙の良さと帯に魅かれて購入。
正直内容を理解できたかは怪しい。なんかもうちょっとシンプルにまとめてほしいなだったり、もうちょっと章ごとの命題をはっきりさせてほしいという気持ちがある。気軽に読んで欲しいならもっと図を活用して、ひたすら分だけで説明しないでほしい。章題は結構興味深いのに読んだ結果結局なんだったんだ?となってばかりだった。ちゃんと理解するためにはもう一読するべきなんだろうけど苦痛なのでしない。
とはいえ、何か所か心に残ったことはある。
世界には7000もの言語があるが、その多様性が年々失われているということ。確かに日本でも都市への人口集中により地方の過疎化が進んでおり、方言を話す人もどんどん減っている印象がある。その中でもアイヌの人々で語り継がれる叙事詩にはアイヌ語でしか伝えられないニュアンスがあり、アイヌ語が失われると、その叙事詩が後世に伝えられなくなってしまうということがある。翻訳すればいいじゃんと思うけども、確かに英語を学ぶ上でも同じようなことを表す単語でもニュアンスが異なるということを経験してきたし、その言語が内包するニュアンスというものは大切なんだと感じた。 -
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著者は言語哲学者で、「言葉」についてさまざまな視点から考察している。
話の流れがつかみにくくて、話題が次々と変わるように感じてしまう。哲学って難しい。。
印象に残ったのは、「うまくいくコミュニケーションとは、話し方や表現の巧みさではなく、相手の心の中に自分が意図した概念が成立すること」という考え方。
でも、そのツールの「言葉」は不完全だし、誤解は避けられないものだという。
だからこそ、「言葉は不完全なもの」という前提で言葉を使う、受け取ることが大切なのかも。
以下メモ
・言葉とは、個人の中にあるものではなく、文化や言語圏のような「クラウド」にある。私たちはそこにアクセスして言葉をダウンロードする。言葉は相互作用から生まれる。
・言葉は、核+ゆるかな領域
自分や相手の言葉の「ゆるやかな領域」に敏感になる
例)嫌い
核:ネガティブ、否定的、拒否
ゆるやかな領域:違和感、同族嫌悪、かまってほしい、傷つきたくない、本当は好き
・共感の優れている人とは?
他人の経験を自分のことのように感じる。でもそれが、自分の経験にあてはめているだけの場合も。
それは、話し手は自分のことを分かってもらえていないと感じる。
共有の問題として語るには、自分の経験から語ることをやめる。
・自分の気持ちを言語化する。
主語よりも、述語に注目する。
傷が痛い、ならば、痛いに注目。言葉によって癒される -
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タイトルの「何も知らない」っていうより、「わかっていない」と言ったほうが近いでしょう。
この本は言葉を完璧に使うマニュアルではなく、「言葉の不完全さを知って、人と向き合い直すための本」です。著者は言葉を単なる情報の伝達道具(記号)としてではなく、人間関係を調整し、共に現実を作り上げるための「呪術(魔術)」として捉え直しています。ちょっと説明がややこしくてわかりにくい本でしたが、哲学書のような感覚で読むことをおすすめします。
私たちが自分の気持ちを伝えられずにモヤモヤする時、つい「自分の能力不足かな?」とか「語彙力が足りないせいだ」と自分を責めてしまいがちです。しかし本書では「言葉にできない」のは個人の問題だけではなく、言葉そのものが持つ「不完全さ」ゆえであると説いています。私たちは「言葉で考えている」と思いがちですが、実際には論理よりも先に、言葉になる前の「心理や直感」「感覚や気分」が働いているのです。
また、本書では言葉を「場」として捉えています。言葉はその場その場のやり取りの中で作られる、ということです。例えば「相手に説明したことが伝わらない」という現象は、「伝えかたが悪い」とか「理解力が足りない」ということではなく、言葉そのものが多義的であり、受け取り側のイメージや感情によってずれが生じるという構造があるからです。
ではどうすればいいか?
話し手は相手の主観的な「正解」を探り、「共に対等な立場で真実を求めようとする姿勢」を保つことが求められます。聞き手も、相手の言葉にすぐ反論したり決めつけたりせず、「今、この会話で何が起きているか?」と自問することが大切です。自分の心が後付けで意味を固定していないかを疑い、「それは〜という意味ですか?」と相手の意図を確認することで、誤解を防ぐことができると本書は説いています。
言葉「不完全」であるという考え方は面白かったです。だからこそ現場でのやり取りが秩序を生み出すという理論で、これは『エスノメソドロジー』というそうです。人は言葉の力を過信しているということを知ることが、コミュニケーションを成功させるポイントなのかもしれません。 -
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言葉には力があると説く。
誰もが言葉を読み書きできるようになり、多くの造語や曖昧さが世代ごとに増えている。
さて、本著は、言葉とコミュニケーション、人間関係や社会との繋がりについて重要な役目と力があると説いている。本著では、誠実に言葉と向き合い、他者や社会と対話をすることによる重要性を示唆している。
言葉とは単なる情報の伝達だけではなく、感情や場面にも影響を与え、時には暴力となり、時には人を救うものである。言葉という多様な視点で解釈できるものでも個々の状況や環境、心境によっては大きく伝わり方が違い、誤解は避けることはできない。だが、言葉の質と意図と解釈を踏まえて誠実に対話することにより、修正可能である。
本著では、言葉という表現が他者や社会にどう影響するのかを説き、言葉の在り方と使い方を重要性を説き、私たちがどのように言葉と向き合い、付き合い、表現していくのかを教えてくれる本である。 -
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人は気づいたら言葉をしゃべり、表現し、分かり合えたり、分かり合えなかったりする。その分かり合えなさや言葉の限界・構造はどこに起因するのか。論理学のようなアプローチよりも、あくまでも著者の原体験や実存的なもやもやを出発点に、あらゆる人たちが遺してきた“言葉”を頼りに思索を深めていく。『ことばへの旅』(森本哲郎)という好きな本があるけれど、言葉には余白(筆者はいろんな喩えを交えて迫ろうとする。たとえば、ブドウの種と実とか房とか)があるからこそ、受け手の解釈によって豊穣なイメージが喚起される。それは同時に孤独やもどかしさを生んでしまうのかもしれないけれど、不確定に揺れ続けるからこそ、誰かに勇気や希望を与えられることだってあるのかもしれない。言葉の海の深さと広さに想いを馳せられる一冊だと思いました。
「言語哲学者として研究を重ねるなかで、〈人はわかりあえないのではないか〉という計り知れない不安が、実は〈自分らしさ〉の根拠でもあると考えるようになりました。人はみな誰とも違うからこそ他人を完全に理解できない可能性もありますが、みな他の誰とも違うからこそ〈その人らしさ〉が出てくるでしょう。私は、その違いを見きわめることが、孤独感にさいなまれる人を救うと考えます。」 -
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言葉に対して、発信と受信の担い手である自分に対して、センシティブであること。
名付けられたものが、形を持つ。
AIは形を持った情報を集めているわけだから、その表現によって、我々は無自覚なバイアスに気付くことがあるかもしれない。
言葉は単なる情報を共有するツールではない。
確かに第二言語を用いると、感情的な言葉の選び方よりも、端的な、形式的な言葉のようにしか扱えない部分がある。
けれど、私が他者と言葉を用いたコミュニケーションを行う時には、言葉を選ぶこと(複数ある意味に適切なスポットを当てられるか)、状況を理解することに気を配ることが肝要だ。