岸由二のレビュー一覧
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神奈川県三浦半島の先端、小網代の谷は、奇跡の自然だ。
何が奇跡なのかというと、一つの流域、川が雨水を集める流れ始める源流から河口まで自然が残っていることである。
たくさんの偶然が重なって、小網代の森の自然は残ったといってもいい。
古くは水田があったところにゴルフ場の開発などが計画されながらも、開発が進捗せず長い時間に手付かずの自然となった。また、開発計画の途中でバブルが崩壊して積極的にゴルフ場開発ができなくなった。
大規模な開発計画があったからこそ、住宅などが細分化されて建たずに、手付かずで放置されていたのである。
また、バブル絶頂時のリゾート開発のときからも
、この貴重な自然 -
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ネタバレ三浦半島の先端にある小網代(こあじろ)という「源流から河口までまるまる保存されている自然」公園があります。都市に近い場所で、「流域」丸ごと保存されている場所は同緯度帯では世界でここだけ。
この本は、リゾート開発や宅地開発の波からどのようにこの自然が守られて、それが継続されて、公園になって、市民に支え続けられたか、を、実践的な「プロジェクト管理」の視点から記載されています。
今までの保全の常識とは異なる懐深い長期的な対策がこちら。
1.珍しい絶滅危惧種を見つけて貴重だから守れという
2.開発企業や自治体を「悪者」といいふらす
3.開発は何が何でも反対。木一本でも倒すな!
4.いろい -
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気候が変わり、豪雨が多くなった今、河川の氾濫などの災害を防ぐための対策が必要です。
この本は主に東京都町田市の源流から神奈川県横浜市を通って流れる鶴見川の流域治水について、長く鶴見川流域で防災・自然保護に取り組んでいらっしゃる岸先生が紹介しています。
息子が小学生の時、夏休みの自由研究で源流から河口までの約42.5キロを徒歩または自転車で何日もかけて調べ、レポートにまとめたり、ボランティアの河川の清掃活動に参加したりしました。
そのおかげで私も「流域思考」が身につき、どれだけ防災のための治水対策が行われているかを知り、川を身近に感じ、安心して暮らすことができています。
「知る」ということの大 -
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神奈川県の小網代に、日本で唯一の源流から海までの生態系が維持されてる場がある。それが小網代だ。世界的にみてこの緯度のエリアは開発がすすんでるため世界でみてもここしかない。この奇跡を誰がうんだのか?どうやってそだてたのか?の本。
流域まるごと保全するという発想はこれまでなかった。たとえば河口の海岸線に一本の道路をひくだけで、カニは産卵を陸でするため生態系が破壊される。一方で豊かな生物多様性を維持するには、ほったらかしにしておけばいいというわけでもなくここではNPOなどの多くの手をいれて多様性を維持している。
生物的多様性の豊かな空間は、生物である人にとっても生き易く快適だろうとおもう。今後の都市 -
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[ 内容 ]
生物学者・岸由二は三浦半島の小網代や、都市河川である鶴見川の環境保全活動に尽力し確かな成果を挙げてきた。
小網代は源流から海までまるごと自然のままで残っている、全国的にも稀有な流域である。
本書で岸と養老孟司は共に小網代を訪れた後、「流域思考」を提唱する。
自分が暮らす流域のすがたを把握することから、地球環境に対するリアルな認識が生まれるのだ。
後半では元・国土交通省河川局長の竹村公太郎も鼎談に参加する。
[ 目次 ]
第1章 五月の小網代を歩く―完璧な流域を訪れて
第2章 小網代はこうして守られた
第3章 流域から考える
第4章 日本人の流域思考
第5章 流域思考が世界を救う -
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○97産業文明がんぜ環境危機を引き起こしたか。産業文明を執行する意思決定や企画には、地球の要領とか生態系のキャパシティに配慮する感性が基本的に欠けている。
★そのとおりだけど、感性って?
○112物事を因果の蓄積と見ないで、バラバラの事件のぶつかり合いとして見ていく。
★因果関係から共通解を導き出した方が安心するんだろうけど、そこに硬直が生まれるとは思っていないんだろうな。
○177そろそろ下水の糞尿からリンを取るシステムを作らなければいけない。
★色んなものが枯渇していく中で、新たなシステムを望んでいるんだな。太陽電池だけじゃないんだ。