園田憲のレビュー一覧

  • ドリフターズと全員集合から学んだ流儀

    Posted by ブクログ

    ■世界的な経営戦略の大家、ヘンリー・ミンツバーグの言葉に「戦略は試行錯誤しながら形成されていく」というものがある。彼は、粘土と格闘する陶芸家が、ろくろを回すうちにいろんなアイディアが浮かび新しいものが生まれることを例にして、「こうどうがしこうを触発し、新しい戦略が創発される」と書いた。
    ■「知識創造企業」などで米欧の研究者や経営者に影響を与えた経営学の世界的権威である、野中郁次郎氏が主張していたのが、昨今の日本企業のイノベーションの停滞や組織的父性頻発の根本に、「3つの過剰」があるというもの。
    ①オーバー・プランニング(計画過剰)
    ②オーバー・アナリシス(分析過剰)
    ③オーバー・コンプライアンス(統制過剰)
    この3つの過剰は現場を疲弊させ、人々の持つ想像力や野生を劣化させた。
    マイクロマネジメントになると従業員が指示待ちになり、創意工夫をせず、想定外の事態が起こっても機動的に対応しなくなる。
    小さな違和感があっても声を上げない。
    数字の達成が目的となり、顧客のため、社会のため、という本来の目的が見失われ、ついには思考停止に陥っていく。
    人間の本質を未来の共通善の実現に向かって他者と真剣な対話を繰り広げながら、物事の意味と価値を想像する動的な主体であると捉える。そのモチベーションの源泉は、外的なインセンティブや罰則ではなく、内から湧き上がる内発的動機づけになるはずである。
    ところが、この3つの過剰はこうした人間観を否定し、人間の内なる自律性を阻害したばかりか仕事の目的や意味を見失わせる事態に現場を導いたのではないか。
    ■「突き抜けた」存在になりたい人にとって、今の「働き方改革」はむしろチャンスである。なぜならば、結果として皆が緩んでいるからだ。ちょっと頑張れば、相対的に一気に突き抜けるではないか。とはいえ、どんなに自分が決めた「目標」であっても、思う存分働けないのが日本の現状である。であればどのようにハードワークすればよいのか。自分に宿題を課そう。即ち「貪欲に学ぶ」ということ。
    自分の専門性、いわば専門スキルを高めることの他にもやるべきことはある。ポータブル・スキル、即ちどんな仕事でも役に立つ汎用性のあるスキルを身につけること。
    ■そもそも新しいアイディアは、以外にオフの時間に思いつくことが多い。ボーッとしたとき。たとえば風呂の中や散歩中など、無意識なときにふと考えがまとまったり、アイディアが湧くことがある。これを、「デフォルト・モード、・ネットワーク」という。人間の脳は一定の集中プロセスのあとの弛緩時にそのようなことが起きるようにできている。その意味で休むことはとても大切。
    ■「ネガティブ・ケイパビリティ」とは、精神科医で作家の帚木蓬生士が2017年に同タイトルの書籍で紹介して依頼広く知られるようになった概念であり、「答えの出ないどうしようもない状態に耐え抜く力」のこと。そもそも世の中は簡単に正解が導けない課題だらけだ。そういう意味ではその状態に粘り強く向き合い続けることのできる力こそが必要だと言える。

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    2026年10月01日