加藤雅信のレビュー一覧

  • 所有権の誕生

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    アメリカインディアン、アイヌ、世界の狩猟採集社会、遊牧社会等の事例を分析し、文化人類学と経済学の視点から、土地所有権や入会権等生成の社会構造を論理的に展開する。きわめて興味深い。
    ・土地に対する資本の投下と継続的な労働の投下が行われる場合、生産物を最大化するには土地の所有権を確立することが適切。
    ・狩猟採集社会や遊牧社会では、土地の私的所有という観念は発生しない。前者では狩猟で獲得した獲物、後者では湯朴対象の家畜には所有権が発生。農業社会でも北米インディアン社会のように土地が人口に対し豊穣であれば私的所有にはならない。粗放的焼畑農業社会では、共同体所有や権利の弱い所有権など様々な形態の中間的な権利となる。
    ・入会権は、生産性が高く私的所有の対象となる土地と生産性が低く無主となる土地の中間に成立する権利であり、政社合一の団体(行政的側面を有する自治的生産・生活共同体)が、コモンズの悲劇を避け、団体の生産・生活を守るため、様々な規制(私的所有を認めない総有、利用規制、私的所有を認めるが譲渡・相続は共同体の構成員に限るなど)をかける様々な中間形態。

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    2026年10月21日