本書は城下町の歴史が専門の著者が信長とは何かを問い直した本である。
織田信長を論じた本はいくつもあるが、本書は切り口が面白い。信長の城下町、楽市楽座の本質など興味深い。
【以下、再読の感想】
天下統一は必要だったのか?
「武」の人信長。
「力」のみを信じ、戦国大名でただ一人、天下統一をめざした男。
だが「力」に拠るものがいずれ「力」に倒れるのは必然であった。
天下統一は必要だったのか?
その日本史上の意義とは何か?
「信長」を根本から問い直す画期的論考。
第一章 「大うつけ」若き日の信長
第二章 桶狭間
第三章 天下布武
第四章 岐阜城の信長
第五章 岐阜城下と楽市令
第六章 上洛
第七章 信長の敵ー戦国時代とは何か
第八章 合戦と講和
第九章 公家になった信長
第十章 安土城下町①城と家臣
第十一章 安土城下町②町と楽市令
第十二章 本能寺の変ー信長を殺したもの
初見は2009年。なかなか面白い内容でした。今回再読しましたが
結構内容を忘れているものです。
以下、備忘的に
有力武家の館は室町幕府の将軍邸が規範となっており、花の御所に似
せた館をつくっており、こうした館を持つことが、大名としての権威
を保つ上で必要だった。
斎藤道三との聖徳寺の会見のエピソードより、うつけ姿ではなく正装
で現れたのは「出来ないからやらない」ではなく「出来るけどやらない」
岐阜城でのエピソード。城下町からみた信長像が面白い。
「正目、縦位置、三カ条」という室町幕府が定めた書札礼に則った制札
を使用している。
将軍邸の造成。幕府であり将軍の館であるということを表象するため、
庭は不可欠の装置だった。「藤戸石」や「九山八海」といった名石が
細川邸や東山殿という室町幕府の権威を象徴する場所から運ばれてい
るのも正当な権威を継承する場であることを示すシンボルなのである。
「天下統一」は必要だったかという問いかけはなかなか面白い。
今でこそ、戦国大名の誰もが天下統一をめざしたという見方は見直され
つつあるが、歴史小説の影響は根強く無意識に先入観を持ってしまう。
理由もなしに中央の権威をふりかざし敵を滅ぼそうとする信長に付いて
いけない勢力が敵対する。その行き着く先が明智光秀による謀反だと
しており、考え方としては説得力を感じる。
信長は天才だったのか。私は過大評価されていると思うが、早い時期に
天下を統一するという意図を持ったという点。実行した意思の強さは
評価されるべきだと思う。