私が投資家の方々にアピールしていたのは、「自分の事業経験や持っている知識を還
元できる」ということです。
実は、1号ファンドに出資するLPの方のなかには、ファンドから得られるパフォーマンスだけでなく、事業連携や現業とのシナジーを期待して投資される方も一定数いらっしゃいます。そうしたニーズを満たせることを訴求しようと考えたのです。
繰り返しになりますが、私はユーザベースで「Speeda(スピーダ)」という Saasの事業を立ち上げた経験を持っていました。私がLP集めに動いていた2018年頃は新たなSaas が次々と登場して注目を集めていましたが、その事業を立ち上げた経験があるキャピタリストはほとんどいませんでした。そこで、「出資をすることで私たちとつながれば、Saas に対する知見を得られる」ということをアピールしたのです。最新のSaas 業界の産業トレンドや、Saas 経営におけるKPI管理などのノウハウをシェアすることを訴求していました。
また、同じくユーザベースのサービスである「NewsPicks」も当時から勢いがあったので、サブスク型のメディアやビジネスのノウハウを伝えられることも話しました。
もちろん企業秘密は明かせないのですが、実務の前線でどのようなことを考え Saas
ビジネスをつくっていたのかを知ることができる。それが好意的に受け止められたようです。
また、役員としてスタートアップを経営していた人が独立してベンチャーキャピタル
を始めるパターンも日本では少なかったので、その点もアピールしました。
「自分がスタートアップの最前線で働いていたので、投資先の成長支援をするときに起業家目線で悩みに寄り添いながら信頼関係を築いて支援ができたり、リアルな失敗体験をシェアできたり、ネットワークを紹介したりすることができる」
そんなことを提案書に書いていました。
今考えるとちょっと恥ずかしいのですが、LPの方にはそれが評価されたようです。
この経験から言えるのは、ファンドレイズをするうえでは「自分が持っている知識や経験のうち、LPの方たちに還元できることは何か」をしっかり設計することが大切だということです。数億円の資金を集めるためには使えるものはすべて使うことが必要です。