竹内外史のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
素朴・現代集合論の入門・概説書。
平易な語り口で時に大きく省略しながら、集合論の基礎概念からBG集合論、ゲーデルの構成可能集合、コーエンの独立性証明、到達不能基数、直観論理的集合論、連続体仮説とスケールなど、高度な話題が紹介されている。
とくに著者は公理的アプローチに思うところがあるようで、例を豊富にあげて、できるだけ具体的なイメージが湧き、集合とはなにかという意味に関する思索の助けになるように構成されている。
ただし入門書とは言うが初心者が読んでも意味がわからないはず。数学基礎論や集合論について少し学んだ後に読み直すと意味がわかってくると思う。
なお、最後の章はカントルのミニ伝記となって -
Posted by ブクログ
私が知らなかった数学の偉大な側面を見てしまった。それは宇宙の構成に見られる無限の階層構造を唯一創造できるような道具の発明だった。緻密さ、厳密さ、抽象化が数学だと思っていたら、それだけではないまさにクリエイトしてしまったのが集合概念だ。
最初の方は、なんだかぬるい内容だな、初歩的すぎるな、と思っていたが、その先はまさに本書でいう「クラス」のような超超超・・・な「スケール」だった。途中でなんども分からなくなり、その度にページを戻り・・・でも、私のこのような行きつ戻りつは歴史でも見られたことなのだろう。無理解と理解を揺れ動いたのもよくわかる。
理工系大学を出たにもかかわらず、数学基礎論を学ばなか -
Posted by ブクログ
「不完全性定理とはなにか」から現代数学は集合論を基礎としている話の参考本として挙がっていたのでこちらへ。端的な感想は「数学科、恐るべし」である。
集合って最初にいつ習うのだろうと思ったら小学校4年らしい。難しいと思ったこともないし、どんな話なのだろう?の感覚。遠い昔に工学系の数学も多少習った。論理学の単位も取った。だいぶ忘れているけれど、もう少し読めるかと思ったが難しい...。
最初の方(1章)はほぼ定義の話だからよい。忘れたら巻末に記号表もある。ただ2章以降はこれらがそらで使いこなせるレベルでないとなかなか厳しい。記号単体はまだしも長い場合は優先順位が感覚的に身についてないとスラスラは読 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
「集合」抜きに現代数学は展開できない。
集合とはなにかという問題は、新しい集合の公理の探究という問題をはらんで、現代数学の最も深い問題といってよい。
集合概念がもたらす深遠な謎、集合論の中に潜むロマンチックな創造の精神、これらを数学の訓練を経ていない人々に説明した名著にカントールの評伝を追加して復刊。
[ 目次 ]
第1章 立場の変換―翻訳語としての集合
第2章 天地創造―楽園追放
第3章 公理的集合論―現代数学の基盤
第4章 現代集合論― 華麗なる展開
第5章 未来への招待―私の立場から
カントール
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆ -
Posted by ブクログ
数学基礎論の入門書です。集合概念の説明に始まり、そこから発生するパラドクスとその解決策として公理論を導入しています。ZFC公理系を詳しく説明し、古典論理から直観主義に基づく直観論理、ファジー論理など応用についても解説しています。ゲーデルの不完全性定理も漏れ無く登場します。数学はこの定理によって証明可能性に限界があるのかと思っていましたが、そうではないと書いてあって驚きでした。ZFC公理系に「無矛盾である」とする公理を付け足し、さらに付け足した新たな公理系もまた「無矛盾である」と付け足しを繰り返し行うという発想があることに目から鱗。本書に書かれている通り、集合論を基点とする数学の本質はその自由性