服部倫のレビュー一覧
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大阪在住の売れないドラマー・椿恭志郎は、柄の悪い男たちにからまれていた聴覚障害者の男子中学生・晴斗を助け、晴斗にドラムを教えることになる。
しかし建設会社に勤める晴斗の父親が謎の大金を残して自殺。晴斗と交流があることから、椿はメガソーラー建設工事利権の闇に蠢くヤクザや半グレらに目を付けられ、事件に巻き込まれていく。
月村了衛、中山七里、葉真中顕、湊かなえといった錚々たるメンバーが選考委員を務める第29回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
関東出身の椿は標準語だけど、舞台は大阪。軽快な大阪弁がバンバン出てきて読みやすかった。
稀少な生物が棲息する大阪府北部の湿地(ウェットランド)周辺の開発が話の軸になってるだけあって、希少な昆虫、植物などの生態系の話から、半グレの世界の話まで、実に幅広く面白かった。
椿の友人、女子プロボクサーの夏実や阪大生でアフリカ系アメリカ人を父親に持つ自称ボカロPのマクナイトなど、個性豊かなメンバーがとても魅力的。
作者の服部さんは私より年上の新人作家さん。このメンバーでの続編も面白そうだけど、違った作風も読んでみたくなった。 -
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日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作(選考委員が、月村了衛・中山七里・葉満中顕・湊かなえというラインナップもよい)。必要な要素がすべて詰まった新人離れした傑作ミステリー。2作目プレッシャにならないか心配になるぐらい完成度が高い。プロットが確りしているのが大前提だが、その展開の手腕が特に素晴らしい。また東京町田出身のドラマー主人公とコテコテ大阪人のマクナイト・夏実・汐里とのウィットに富んだ会話が緩衝材となって、物語をドンドン面白く引き付けていき、読後の爽快感まで昇華させている。これもっと評判になってもよい作品で、多くの人に読んでもらいたいものだ。
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売れないドラマーの椿恭志郎が、友人の女子プロボクサーである夏実と、男子中学生がチンピラに絡まれているのを助ける。
その後、NPOの指導員・織戸汐里に連れられてきたのが、聴覚障害がある出島晴斗であり、先日助けられたお礼に来たのだった。
だがその晴斗と出会った後、晴斗の父の自殺や正体の怪しい男の付き纏いや暴行など、予期せぬ出来事に巻き込まれていく。
阪大生であり、ボカロPでもあるマクナイトの助けもあり、椿は真相解明のために奔走することになる。
希少生物が棲息する湿地(ウェットランド)で、開発が頓挫されていることやヤクザや半グレが関わっていることなどで、輪郭がぼんやりと浮かんでくる。
個性豊かな登場人物に飽きることなく、徐々に見えてくる真相に呆れながらもこのような繋がりがあったのかと…。
嫌味のないさらりと読めるミステリーだった。
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聴覚に障害がある男子中学生晴斗を助けた主人公椿。ある日晴斗の父親が謎の大金を残して自殺。そこから半グレだとか反社とかいろいろ絡んできて、まるで龍が如くのシナリオのように笑いあり涙ありのいい感じのバランス。
面白かったです。テンポも文章も軽快で読みやすく最後まで一気に読んでしまいました。
ただちょっといろいろ詰め込みすぎの感もある。メガソーラー利権の裏でごたごたがメインではあるんだろうけど、聴覚障害のあれこれとか差別がとかLGBTがとか希少な生物が生息する湿地(ウェットランド)がとか興味深くはあるけど読み終わって思い返してみると物語の焦点みたいなものがちょっとぶれちゃう。
と、書いてはみたもののデビュー作でこれはかなり面白いよ。次回作も期待です。 -
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YouTubeの出版区で湊かなえさんが出ててその時に紹介されていたので手に取ってみた。
「植生遷移」って言葉を初めて知った。自然はほっとくと「陰樹の森」になって「極相」という状態になるそうだ。その状態が続くと生物多様性が貧しくなってしまうが昔は河川の氾濫や土砂崩れや山火事で環境がリセットされて生物多様性が回復してきたらしい。
そして自然はある程度人の手が入った方が生物多様性が保たれるという。「里山」や「里地」みたいな「二次的自然」のことらしい。
この作品に出てくる登場人物も多様性に満ちていておもしろい。多様性を保つには時々、リセットしないといけないみたい。凝り固まった「極相」にならないように人間自らが切り開いていかないといけないのかなと思った。