坂元希美のレビュー一覧

  • 人はなぜ特攻に感動するのか

    Posted by ブクログ

    思わず「特攻」で手が伸びてしまった…。映画論の棚にあったら手に取らなかったかも知れない。
    まず引かれるのは「ゴジラ-1.0」
    この映画に「特攻文学」の特徴を見る。
    それは、自らの命を、未来のために自発的に使い、父になる物語。
    誰かに強要されるのではなく、自分の栄誉やプライドのためではなく。
    この「特攻文学」という言葉は知らなかったが、なんだかやたら「永遠の0」とか「あの花」とか、特攻にかんする物語、また知覧博物館がいけてるスポットであるかのように持て囃されるのを苦い思いで見ていたのは、こういうことかと納得した。
    人間の命を粗末に扱った特攻は、あってはいけない。まずそんな正義感があると、「特攻文学」に拒絶から入ってしまう。
    しかし、「特攻文学」の刺さるパワーが権力者に奪われたら、それこそ国のために命を差し出す世界に戻ってしまう。
    だから、「この話のこの部分は特攻につながる」「特攻につながり感動を誘うには、このような要素が含まれている」と見つめておくべきだという話。
    大変参考になる話だと思う。

    ただ、映画論で終わってしまったので、もう少し現実世界に繋げて欲しい気もするがそれをしたら「映画論が読みたいだけなのに!」という人には叱られてしまうのだろうか。

    「特攻隊が命を捨ててこの国を守ってくれたおかげで今の我々があるんだよ」
    例えばこのような言説に対抗するのが、一読者に託されるとちょっとつらい。
    もう少し導いて欲しかった。

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    2026年07月06日