三橋正枝のレビュー一覧

  • 聞書 戦前の暮らし方 ――「90歳」の証言集

    Posted by ブクログ

    大勢の「90歳」への戦前の暮らしのインタビュー集。イメージしていたよりもずいぶん豊かで地域性が大きくて日本はこんなにも多様な世界だったのかという驚きを感じました。
    貧しかったはずの戦前の人々が、あるところでは毎日うなぎを食べて、食べ飽きて味付けを工夫してみたり、海の近くでは魚介を毎日のように、山では山菜や木の実、果物を食べたり。でも一方で貧しい食生活を送っていた人もいて簡単にはくくれないです。
    自然が豊かで、川には魚、水辺や山には鳥、樹の実や果物、ホタル狩りもいろんな人の回想に普通に出てきます。
    交通は不便でどこへでも長時間歩いて行きますが、それが当たり前なので誰も気にしません。ちょっとした娯楽がとても楽しく感じられます。村の人達は家族のようで、共同体の中で助け合うことは当たり前です。
    こういうことは、皆、表面と裏面があって、生活の大変さ、息苦しさにも繋がっていくのですが、戦前の暮らしというものが、少しくっきりとした手触りで感じられる本だと思いました。

    0
    2026年07月04日