西本千尋のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
暴力的な「まちづくり」に警鐘を鳴らし、意志ある人々の前例に希望を見出だす1冊。
p143 まず人がいて、地域と暮らしがあって、その関係性の束が建築をつくり、支えるのであって、その逆ではない(建築家やまちづくり屋は、この順番がすぐに逆になる)。
p171 「形だけ復興しても、意味がない」。
p174 「祭りをしたい」というのは、その土地に根を張った生活を回復したい、ということの象徴的な表現だと思う。ーそれは、花のかたちをした何かを飾れば足りるという話ではない。今年だけ無理やり花を咲かせればいいということでもない。
p184 185「好んで来てもらった外国人」と「好んで来てもらったわけではない外国人」のあいだに線を引くこと。ー「多文化共生」であるはずなのに、「普通に一緒にいる」ことを許可されていない人がいる。
まちづくりということは、ハコを作ることではない。人が暮らしていく場所をつくることだ。そして、人が暮らしていく場所をつくるということは、ただ便利な新しい施設を整えることではない。
そのまちの環境の中で知り合いと会ってしゃべったり、昔からの自然の姿にホッとしたり、大事な思い出や生きる上で核となる何かを大切に守りながら生きていける場を、そこで生きる人たちの話をじっくり聞きながら作っていかなければ。 -
Posted by ブクログ
本書を手に取ってたいへんよかったと思います。
現代の再開発や災害復興、エリアマネジメントのようなものに対する鋭い批判が随所にあります。安全・安心などと謳われる公共の福祉なるものがいったい何なのか。受け取る側である私たちが、実現するとされるそれを評価して、大規模な事業が行われるべきかどうか判断することに参加することはほとんど適いません。代わりに、参加していると錯覚させるような制度があふれているように思います。
私有財産をどう処分するかはその所有者に委ねられているため、所有者たる企業が自身の利益を最大化するために、所定の手続きにしたがって各種の緩和を受けることは当然許容されています。そしてその大義に用いられる公共の福祉と、その背後で失われている別の価値がある。
そういうことが、一つひとつ語られています。
環境影響評価制度は、事業を進めるブレーキではなく、お墨付きを与えるアクセルとして機能しているように思いますが、もっと本書で紹介されているような側面への影響も考慮する仕組みが必要です。評価項目や尺度だって、時代の流れで激しく変わっていると思います。
固定されたものさしで見ていくことには限界がありますし、古い制度の上で運用しつづけることにも無理があるようです。都市計画と建築の分野では、時代にあった制度を一から再設計する必要があるような気がしてなりません。
そのときに、どんな「ことば」を選びとっていくか。そういうことが問われています。