イーダ・トゥルペイネンのレビュー一覧

  • 極北の海獣

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    凄い本に出会ってしまった。という感想しかない。
    海獣というのはジュゴンのような〜?という予備知識しかなく、アラスカに到達したロシアの博物学者の冒険譚なのかと思って読み進めた。そしてわかったことは絶滅してしまった動物たち。人間のせいで…ということ。
    ほとんど歴史に名を残せなかった人たちで紡がれたこのフィクションは博物学のみならず世界の広さもそこに住まう人間の傲慢さも生きとし生けるものすべての存在価値も考え直されてくれる。そして、訳者先生の淡々としているけれど鋭く的確な品のある文章が私たちに理解の助けを与えてくれた。
    著者、訳者、出版社誰も彼にもお礼を叫びたい。

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    2025年11月04日
  • 極北の海獣

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    ネタバレ

    3世紀にわたって、1頭の生態がわからない動物を調べるために命を張った調査や、のちの復元について書かれていて「滅びたものと相まみえてみたいと、だれもが一度は夢見たのではないだろうか」という言葉に衝撃を受け、良い冒険小説を読んだと思いました。

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    2025年05月25日
  • 極北の海獣

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     ヘルシンキの自然史博物館に展示されているステラーカイギュウの骨格標本にまつわる人々の物語だ。第一章はカムチャッカ半島の周辺を探検していたベーリング隊の学術員シュテラーさんだ。半島探検中に遭難し、無人島に漂着したベーリング隊は、そこに住むステラーカイギュウを捕獲し命をつなぐ。その肉が美味であることが世間に伝わり乱獲される。同時にラッコが乱獲されることにより、ラッコが主食としていたウニが増殖し、ウニが海藻を食べつくすことによりステラーカイギュウが主食を失った状況も併進する。結果ステラーカイギュウは絶滅する。

     100年が経過し、アラスカ総督府夫人と義妹の物語、さらに100年経過し、ヘルシンキの

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    2025年08月19日
  • 極北の海獣

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    発見から27年で絶滅してしまったステラーカイギュウを巡る物語。探検家、博物学者、最後から2番目のアラスカ総督、昆虫画家、鳥卵博物館の標本管理士…面白くないわけがない。

    史実の隙間の誰も知り得ない詳細を埋めるように作られたフィクションであるがゆえに、タイムワープしてその時代を覗き見ているような感覚に陥った。

    人類による絶滅、という概念がなかった時代にそれを証明する事自体が困難だったなんて、これを読むまで考えたこともなかった。生物への愛と探究心に溢れたかつての人々の努力によって、いま当たり前に知ることのできる事実がある。彼らに敬服する一方で、同じ人間によって絶滅に追いやられたいくつもの生物がい

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    2025年08月01日
  • 極北の海獣

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    今はこの地上にいない巨大な哺乳類にちなんだ近世の物語。それぞれ違った目的で彼の地に向かう彼らの精神力が凄まじい。

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    2025年06月10日