大原鉄平のレビュー一覧

  • 八月のセノーテ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    裕福で暴力的な父。見て見ぬ振りをする母。理不尽な学校生活。心の支えになる異性の幼馴染。美しい海の景色。人工島で暮らす閉塞感。日常がどれほど苦しくても、幼さゆえにどこへも行けない。少年はノートに絵を描き、イマジネーションの世界に救いを求める。
    湊かなえさんの原作で、何度も繰り返し観たドラマ『Nのために』を彷彿とさせる世界観の小説だった。

    少年が父親の暴言や暴力に直面させられるシーンが何度か出てくる。そのどれも、生理的反応として時に否応なく流れてきてしまう涙以外、彼の表情や感情などについての描写はない。その描写がないことで、父親の言葉が自分の中に浸透してしまわないように、心を無にして、必死に抗っ

    0
    2025年10月09日
  • 八月のセノーテ

    Posted by ブクログ

    人工島で街が沈んじゃったらで始まる摩訶不思議な入り方の物語、主人公、仁寡と同級生りょう水泳部先輩の野口と月見先輩、野口は中学生なのに金髪でタバコを吸う奇妙な行動の数々そして中でも印象に残ったのが仁寡の父の行動自分が経営するレストランに野口が来た時の野口の悪行に対しての行動が物凄く印象に残りました。単なる青春ストーリーかと思いきや、異色中の異色の物語に読む手が止まらず新しい感覚の物語でした。そしてあなたもこの奇想天外の物語に酔いしれて下さい。

    0
    2025年06月30日
  • 八月のセノーテ

    Posted by ブクログ

    経済的に恵まれていることと、個人の幸福はあまり一致しないという事実を、新市街の隙のない窮屈さと、本土のえもいわれぬ雑多さを比較して描いていたのだと思う。
    更に、そこに生きる中学生たちの、それぞれが置かれた生活環境での生きづらさが痛く伝わってくる。数は少ないけれど、登場する大人たちの気持ちや行動も、わからなくはない。
    沈みゆく(としか想像できない)場所で生きるのって、絶望しかない。
    収録されているもう一遍「森は盗む」も主なテーマは同じなのかなと思う。物はそれぞれ置き場所が決まっている、という発想はとてもいい。
    また読みたい作家が増えました。

    0
    2025年10月26日
  • 八月のセノーテ

    Posted by ブクログ

    読んだのに覚えてない
    読み終わってすぐ
    星3つって記録して
    感想書くの忘れてたら
    ほぼ内容覚えてない

    住んでるマンションが沈んじゃう
    って話だったような…
    ティーンの繊細な心理が
    中年には眩しいな
    って思ったような気がする

    今、星つけるなら2つだな
    9割以上記憶にないから

    0
    2025年09月05日
  • 八月のセノーテ

    Posted by ブクログ

    母娘の関係は多いけど、これは父(毒父)と息子の関係。ジュブナイルものといってもよさそうな話。林芙美子賞受賞したらしいが、氷室冴子賞でもよさそう。
    父親の描き方がちょっと古いな、と思っていたら、デビュー作だけど、昭和生まれの作者だった。光や心象風景の描き方がうまい。終始青いイメージが付き纏う描写が良かった。

    0
    2025年08月24日
  • 八月のセノーテ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ


    「逃げられへんのではなく逃げへん」という文章が印象に残りました。自分で逃げないことを決める意思。何から逃げないのか。親から。祖母から。はたまたそれ以外。
    少しずつ沈んでいる街から逃げない覚悟。
    純文学の中では読みやすいけれどわかりそうで、わからない。何かが掴みきれない。
    もう一度読みたいと思いました。

    0
    2025年07月10日