モノノヴのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
わたしは最終回まで結構好きな作品でしたよ。
巻数としては2冊分、延べ15話で完結する訳だが最後まであーしちゃんらしい摩訶不思議な拍で走り抜けたな、というスッキリ爽やかな読後感。
巻末ラストにみっちりとモノノヴ先生直筆によるあとがきがあるのだけど、文字や文章から人柄が伝わってきますね。絶対にいい人だと思う。
さて、そのあとがきの中に作品連載時の読者コメントで色々と指摘があった、みたいなくだりがあったので興味本位でジャンプ+へ1話目を確認しに行ったのだが、そこには確かにうっすら荒れ気味のコメント欄が…。パンチラなんてあったっけな?と半信半疑で読んでたらあまりにも堂々としたあーしちゃんのパンツが確かに描かれていました。おそらく単行本ではスパッツ修正されたのでしょう(1巻を確認すればいいのだけど本棚から探すのが困難なので…)。
パンツはさておき、読者コメントの指摘内容もまあ確かに言わんとする事はわかる。独特な台詞回しだったりレトロな表現だったり、そもそも「どんな漫画なの?」と聞かれた時に説明が難しい類の作品だとわたしも思う。
なんだけど、それらが本作およびモノノヴ先生の魅力に他ならず(特に言葉選び)、且つ描きたいものなんだろうと理解しているので、誠に勝手な事を申せばもっとゆったりとしたペースと環境で連載出来る媒体で挑戦されたらいかがであろうか。
そもそもが中学時代という繊細な時期の心の機微だったりサッカーという競技の拡がりだったり、まして‘人生‘をひとつの作品で描くのは難しい事だったと思う。人によってはテーマが散らかってる、と非難を向けたかもしれない。けども「この程度の苦難にて 志を捨つる道理非ず」(p115)と、あーしちゃんも語っております。
モノノヴ先生の漫画道のゆく先にも満開の桜が咲き誇らん事を祈りつつ、引き続き応援をさせていただきます。
1刷
2026.5.5 -
Posted by ブクログ
生姜湯みたいな、滋養をもらえる漫画だと思いました。
すごくホッとする画風、テンポ、言葉の選び方。
男の子にドキッとして心臓が飛び出しちゃうとか女の子の可愛さに気付いてキューピッドに弓矢で射られちゃうとか、今日日なかなかありそうで見ない演出ですよね。
これだけだとミルクセーキとかはちみつラテとかそんな感じの甘々になっちゃうところ、ヒロインの〈あーしちゃん(桜野あしな)〉は恋にかまけるだけの子ではなくて、13歳から14歳という心身の変化・成長が著しいときをサッカーボールを蹴り出しながら強くなっていく予感…というピリッとした味付けがいい。
面白いなと思ったのは、あーしちゃんはサッカー部員というわけでなくてただドリブルが上手い子である(ただしやってみたらシュートとか上手い)、という設定。ドリブルしながらの登校中にサッカー部の人気者〈神堂碧斗〉と路地で鉢合わせしちゃう、ベタかと思いきやちょっと外してくる感じが全体から伝わってくる。
神堂くんは神堂くんで、人格者だしものすごくいい奴なんだけども、ちゃんとあーしちゃんの胸元とか腰とか見て悶々としたりきちんと年相応の反応をしてるのがむしろ健全で応援したくなる。《第6話》であーしちゃんがドリブル対決している様子を橋の上から見守る神堂くんはさながら明子姉さんの如し。
いや、セリフとか演出がなんか味わいがあるんですよね。語弊を恐れずに言えばスタジオジブリ的な、なんか沁みてくる。あーしちゃんの嘘みたいな牛乳瓶眼鏡と「〜だし」って語尾癖から当初は変わったキャラクターによる出オチパターンかなと思いきや、流れる空気にしっかり読者を捕まえる魅力がいっぱい。
てか、今どき牛乳瓶眼鏡って伝わるのか…。
「今日は寒くてセーター一緒だね」
「寒の戻りなんだし」(p163)
ここのやり取りが一番好き。
「只 君という惑星にもっと近づくために
あーしの頭でぐるぐるしている
君に伝えたい想いは
結局口にすることはできず
いつも重力に負けて落っこちちゃうんだし」
(p134、135)
ちょいちょい挟まるポエミーなあーしちゃんもよい。
あーしステップの続きが読みたい!
長く連載してほしいなあ。
1刷
2025.7.19