『生きづらい明治社会 不安と競争の時代』という本を読んで、生きづらさの指標の一つはセーフティネットの有無によるものだと気付く。その上で、現代の“生活保護”についても不勉強だと思い、本書を手に取ってみた。ナマポの話だ。この蔑称が象徴するように、我々はそれを良くないものとして下に見ている。本来、同情すべき状態にあるはずなのに。また、本来これがあるから「挑戦ができる」「死ななくても良い」という心の保険になるべきものとして、制度としてよりポジティブに捉えても良いものではないかという思いもある。
で、本書はかなり教科書的な内容だ。どうやって生活保護を申請するのか、その際にどのような確認があるのか、など。例えば、扶養照会は、親子や兄弟姉妹等、一般的に扶養可能性が高い者に対して重点的に行うことが多く、3親等内の親族すべてに一律行っているわけではない。10年音信不通、DVから逃げてきたなど明らかに扶養の履行が期待できない場合等は照会していないなどの話。
気になるのは、「働けるのに生活保護もらっている人がいるのでは。審査ってきちんとできているの?」や「特に外国人への生活保護ってどうなっているの?」みたいなこと。それと、「万が一の時に自分は貰えるのか」など。
外国人に関してだが、「人道的な理由」から在留外国人(特別永住者・永住者など)にも、準用的に保護が認められている。実際の外国籍の受給者は約1.5〜2%前後らしく。多くは高齢の永住外国人で、年金を十分に受け取れない人たちだそうで、これを多いとみるかどうかは分からない。私は思っていたより多くないと感じたが。
本書には、ホームレス状態から生活保護制度を利用するための手続きも乗っている。とても実用的でイメージが膨らんだ。これで安心・・とはいかないが、一つの参考になった。