杉原達のレビュー一覧
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安易に「多文化共生」なんて言えないということを思い知らされる一冊。近代アジアのなかの国際都市「大大阪」、そのなかでの朝鮮人の歴史を「君ケ代丸」という済州島との定期連絡船などに焦点を合わせつつ描き出す。
個人的体験に寄せて興味深かった点が2点。1点目は自分が生まれた東大阪。あまりに小さいころのことなので母から聞いただけの話だが、近所には朝鮮人が多く住んでいてキムチなどをもらっていたという生活の場での異文化交流の「思い出」。もう1つは父の父、つまり祖父も昭和初期に朝鮮に渡り、商売をしていたということ。父はそこ(光州)で生まれた。同書によると日本から朝鮮に渡った日本人の方が、朝鮮から日本に来た人び -
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つかみと言っては失礼iになるかもしれないが、本書は四代目桂米團治の上方落語「代書」の紹介から始まる。色々なものを書いてもらいに来た客と代書屋のおやじとのユーモラスな掛け合い。そうした客の一人として、郷里の妹のために”トッコンションメン”の願書を書いてもらいに来た男。兄妹の出身は済州島、そしてトッコンションメン=渡航証明。そこから、戦前のと主として済州島出身の朝鮮人との関わりの歴史が語られていく。
大阪は日本で最大の朝鮮人居住地であり、在朝鮮人の中の在阪朝鮮人の比率は1932年に30%になっており、絶対数では32年に10万、35年に20万、40年には30万人を超えている。その中でも最大のボ