発達障害者の将来の自立について知りたくて読書。
発達障害という言葉が一般化し、特にこの10年ほどで発達障害を取り巻く環境は大きく変わったことがわかる。
発達障害だと診断される子供が増えている背景は興味深い。
基本的には生来の脳の特質ではあるが、家庭環境や食事などで障害が悪化することもある。
明確な障害があると診断されるのケースは、まだ良いは言葉を選ばないといけないが、難しいのはグレーゾーンとされるケースだろう。
身体障害者と異なり、見た目は健常者のため、周囲の理解を得るのが難しいからだ。さらに、発達障害とも診断を受けていないので、公的な支援も受けづらいという状況に置かれる。
現状、偽装や疑似的、自称発達障害などが社会問題になりつつあると思われる。
しかし、過去、うつ病、パーソナリティ障害などが社会的に認知されていく過程でも同じようなことを経験している。そう考えると過渡期と言える。
症状や程度、特徴が多種多様な発達障害は、社会の理解と公的な支援、さらには、早期診断によって特徴を客観的に本人も親も正しく理解し、その特徴に最適な発達支援と療育を地道に行うことで社会への適応力を獲得することができる。それが生きるストレスを最小限にして自立する上で重要となる。
以前から発達障害の教育においてアメリカは、日本の20年先を行っていると言われていた。現状はどうなのかも知りたい。
さて本書は、関連本100冊を読み込み、そのエッセンスを抽出しているという。構成にも編集にも膨大な手間と時間がかかっていることは容易に想像できる。
ぜひ、本書が発達障害を持つ親の子育てのバイブル的な存在になるためにも100冊の参考文献一覧に、本文との関連付け、レファレンスを紐づければ、「この症状・状況ならこの本を手にしてみよう」という有意義なガイド本になるのではないかと思う。
本文中に注釈として、この箇所は参考文献2など入れるのも良いと思うけど、読みづらくなるのかもしれない。
本書が短時間でより最適な参考書を探し出せる存在になると良いのかもと感想。
読書時間:約40分