ボラーニョ初体験なのだがこれは面白い。ラテンアメリカの持つ歴史や文学、業といったものを引き受けながら、それを哄笑にひれ伏させるほどの力強さを持つ強烈なイマジネーション。短編作はラテンの地を想起させる陰影の強い世界でありながら、決してそれだけに留まらせない寓話性も合わせ持る。講演録である二作は死を前にしながらも皮肉を忘れず、言葉は前に進もうと情熱が静かに叫んでいる。カフカを引用した本書のエピグラフは、作者の死を越え読者を導いてくれるだろう。「結局のところ、きっとぼくたちはそれほど多くを失ってはいない。」