北朝鮮がどのように変化しているのかを知りたくて読書。
エピローグに北朝鮮の読者へ向けて、最後に金正恩へも呼びかけているのがユニーク。
現在、北朝鮮報道は、核ミサイルが先行しがちだ。確かに核ミサイル問題は日本の安全保障上の脅威であることは間違いない。しかし、核ミサイルで隠される北朝鮮経済を苗床である農業の現状、変化。一般国民の生活状況、地方都市の実情なども知ることはことは重要。
金正恩政権で北朝鮮がどのように変化したのか。
中国は2017年に国際的なNGOやNPO団体を活動禁止にして追放した。北朝鮮はもっと過激にコロナ禍直前に北朝鮮に駐在していた国際機関も国外退去させたので北朝鮮のリアルを知ることは難しい。
日本や欧米視点の価値観で見ると、低所得国であり、中国よりもひどい人権状況の権威主義国家。
多くの日本人のイメージは北朝鮮=飢餓かもしれない。しかし、現在、飽食とまではいかないが、食糧生産は着実に向上し、最低限の食料は行き渡り、飢餓状態を脱してる可能性が高いという。
金正日時代までは度々受けていた食糧援助も受けていない。
2024年7月末の鴨緑江の洪水で大きな人的被害も出したとされるが、中国からの人道援助も断ったと報じられる。これらは「自力更生」をアピールするための痩せ我慢なのか。それとも…。
韓国の国防費だけで北朝鮮のGDPの1.5倍という現実で金正恩は、かつて鄧小平が提唱し、実現させた「両弾一星」を参考に核開発と実戦配備まで一気に進めることで、中国のような経済発展へシフトさせるとの見立てもある。
核保有国と主張し、外交を優位に進める材料とし、北朝鮮が新冷戦という状況の中で、中露とともに新しい国際秩序の一翼を担いつつあることは否定できない。
北朝鮮は現在、159か国と国交を持っているが、核実験を経て、核保有国となったことを理由に断交した国は1か国もないと著者は指摘する。確かに…。
まだまだ発展途上の低所得国だけど、国民が飢えるほどではなくなった核保有国・北朝鮮を日本はどう認識して、どう対峙していけば良いのだろうか。
メモ
韓国に居住する外国人も220万人を超える。このうち、半分以上は北朝鮮と友好関係にある中国やベトナムの国籍を持つ。このような韓国を相手に北朝鮮が核戦争を起こすということは、全世界との全面戦を選択することと同じことだ。(P123)
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