キミ・カニンガム・グラントのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
★5 父と娘の愛おしくも苦しい物語、ラストの台詞はきっと涙が止まらない… #この密やかな森の奥で
■あらすじ
アフガニスタンで従軍していたクーパーと、その娘のフィンチ。彼らは静かな森の奥でひっそりと暮らしていた。仲睦まじく暮らしている二人だったが、クーパーが過去に罪を犯してしまったことから、表立った生活はできなくなっていたのだ。ある日、森に見知らぬ少女が現れ、二人の隠れ家が明るみになる危険性が出てしまい…
■きっと読みたくなるレビュー
森が目の前に広がる…太陽の木漏れ日、爽やかな風の音、動物たちの鳴き声、樹木と草の香り。そんな人気のない山奥が舞台にした、父と娘の物語です。
はぁ~この二人 -
Posted by ブクログ
本書は、わけあって森で隠遁生活を送っている父と娘の物語。前半はほぼ森の生活の描写に費やすが、父と七歳になろうとする幼い娘との森の中の隠遁生活はメルヘンのようだ。不思議な独り暮らしをする森の隣人以外、誰もいない世界で父は娘を育てている。
それにはもちろんわけがあって、主人公は特殊部隊の兵士という過去を持ちその経験は誰にも言えない。当時の部隊仲間だった友人ジェイクだけが年に一度膨大な食糧や生活必需品を携えて彼らのキャビンを訪れる以外、人に会うことはない。7歳になろうとする娘の生きるパワーと父娘の愛情、そして森という生命に満ちた舞台そのものが作品の前半を組み立てるが、ミステリー的要素はさほど感 -
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ネタバレキミ・カミンガム・グラントの初訳。デビュー作ではないようで。
ある罪を犯して逃亡中の父クーパーと、何も知らずに森で暮らすその娘フィンチ。一年に一度だけ、親友のジェイクが物資を運んでくれるのだが、約束の日に来なかった。最後の手段として、近くの街へ買い物に出かけるが。。。
非常に読みやすい。そしてそこまで長くないので、サラッと読める。雰囲気というか、ジャンルとしては『ザリガニの鳴くところ』や『われら闇より天を見る』の系統。ただ重厚感は全くなく、その2作をかなりライトにした感じ。
ミステリ要素もほぼなく。親子の成長譚。ちょっと色々ご都合主義のところはあったが、そこを踏まえてもラストは良かった。 -
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Posted by ブクログ
本を開けば美しい景色がそこにある。そう期待して読み始めたけれどそれは期待以上だった。
鳥の鳴き声や静けさまでもが行間から滲み出てきて、自分の周りを大自然が取り囲む。
そして、その美しい自然と絡み合うのがサスペンス。
真逆とも言えるその要素は決して異物ではなく、上手く溶け合っている。
ジェイクが亡くなり、妹のマリーがやってきたことで、保っていた均衡が崩れてゆく。
心に溢れる想いがクーパーを変えてゆく…。
やはり人は人に救われるのだと言うことなのだろう。
最後はちょっとキリスト教の要素が強く、理解が追いつかないが故にちょっぴりしらけてしまった感も否めないけれど、とても面白く読めた。 -
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過去にある罪を犯した元軍人のクーパーは、その罪から逃げるようにアパラチア山脈の山奥の一軒家で8年間、一人娘のフィンチとともに暮らしてきた。電気もない自給自足の生活は年に一度物資を届けてくれる親友のジェイクだけが頼りだが、その冬は何日経ってもジェイクが姿を見せず、数日後に現れたジェイクの妹マリーはその死を知らせる。さらにクーパーが森で見かけた少女が行方不明となっていることから保安官に質問を受けることになり、懸命に築き上げてきた静かな生活は少しずつ崩れていくがー罪と罰と愛と苦悩について考えさせられる重厚なサスペンス!
いくらでもハードな展開になりそうなのだが、そうはならないのが、本作の優れた点だ -
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Posted by ブクログ
ネタバレMGS生みの親、小島秀夫監督のおすすめから手に取りました。
父子の物語、家族の物語ではあるものの、特筆すべきは大自然で暮らす描写の素晴らしさ!
まるでパノラマ映像を観ているかのように、かと思えば耳元で薪がはぜる音が聞こえるかのように、ありありと情景が浮かびます。
ストーリーラインもしっかりと組み立てられており、退役軍人である主人公のPTSDや家族の歪さ・生まれの貧富による差別など、さまざまな要素が丁寧に掘り下げられていました。
ラストはやや強引なハッピーエンドに感じましたが、登場人物みんなの豊かな心に親しみを持てました。
大切な人と道徳心どちらをとるか?という問いかけが形を変えていくつも提 -
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Posted by ブクログ
ゲームクリエイター小島秀夫さんが帯で語るようにこの作品には「現代人が背負うべき罪と痛み、そして育むべき恵みがある」し、ラストの手紙を読んで無償の愛について深く感じ入った作品でした…!
作中でも触れられていますが、主人公の過去をとある人物がアメリカン•プロディガルと表現しています。このプロディガルはルカ福音書にあるイエス・キリストの放蕩息子のたとえ話で「どんなに罪を犯した人でも神様は愛してくださる」ということを語った内容です。
これを読み終えたときにまさにアメリカンプロディガルだなと強く感じました。
主人公も過去に罪を犯し、雄大なアパラチア山脈の使われていない友人の別荘に逃げ潜みます。そこで様 -
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Posted by ブクログ
罪と罰と愛と苦悩の物語
社会が求める姿に適応するべき?余計な雑音を避けて人間元来の生活を続けるべき?本当の幸せって何だろう…
一般的な家庭とは明らかに違っていたとしても、間違いなくフィンチは惜しみない愛情を注がれていることが分かるのがとても良かったです。文章も詩的な表現が多く美しい描写が好きな人には特に刺さりそう
巻末に訳注や後書き以外に、著者インタビュー、ボーナスシーンの他、読書会のための論題などが付いているのも面白いですね。あまり見たことなかった(実は有名なのかな)のですが、物語を深掘りする手助けになるし、他の作品でもこういう付録が欲しいな -
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