平林健一のレビュー一覧
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サラブレッド―速く走ることを目指して人間によって改良が重ねられた経済動物であり、主な用途は競馬が大多数である。GIレースを何勝もするような名馬の裏には、何千頭もの馬たちが生まれ、知らないうちに消えていく。そんな競馬界のタブーとも言われる実態に切り込んだ内容となっている。
現在、日本国内で誕生するサラブレッドは約8,000頭/年であり、競走馬としてデビューするのが約5,000頭、そこから熾烈な勝ち残りを経てだいたい5歳になるまでにその運命が決まる。そこで約4,000頭/年の馬が“行方不明”となっており、恐らくは食肉として処理されている。
一方で犬や猫といった愛玩動物とは違い、あくまで経済動物 -
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何これ?!
とんでもなく素晴らしいんだが!
はい、自分のことを競馬ファンだと設定している人は絶対読まねばならない必読の書です
元競馬狂からの至上命令です
いいから読みなさい
四の五の言わずに読みなさい
いわゆる「引退馬問題」についてですな
2023年のサラブレッド系の生産頭数は7,796頭だそうです
そしてそのほとんどが最後まで生を全うすることなく、どこかに行ってしまうわけですな
その競馬界のタブーとも言える問題に真正面から切り込み、問題提起をし、筆者の考える問題との向き合い方、そもそも解決とはどいう状態を指すのか決められない中で一歩でも前に進むためにそれぞれの立場で出来ることについ -
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誕生し、競走馬としての現役生活を歩み、引退へ。
だが、華々しいばかりではない。生を受ける前から、
産まれてから競走馬に成るまでの選別と、厳しい生活。
それらの中でも引退はある。彼らの行く末は如何に?
その現実と未来を丹念に取材し、課題を問うノンフィクション。
・はじめに
・映画「今日もどこかで馬は生まれる」の成功から見えた景色
・競馬大国・日本の課題
第1章 隆盛を極める日本競馬
第2章 馬はいかに「競走馬」になるか
第3章 生き残りを懸けて――サラブレッドの現役生活
第4章 引退後に進む道――セカンドキャリアの選択肢
第5章 生かすことだけが幸せか――家畜商という存在
第6章 命と経済――生 -
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厳しい現実を突きつけられた一冊。
私は競馬はやらないが、それでもニュースでサラブレッドの名前は耳にするし、
何よりあの美しいフォルム、やさしい瞳は印象的。
しかし、、そうやって大活躍したサラブレッドの引退後の運命は知らなかった。
というか、皆種馬として余生を送るか、乗馬うまになるのかと思い込んでいた。
安楽死、も知ってはいたが、それは競争上の怪我でやむを得ない処置、
滅多にないこと、と思い込んでいた。
そんな甘いものではなかった。
確かにあの肢体を養う経費は半端ではない。
賞金で元が取れるサラブレッドはごく一握り。
勝てない馬は種馬の勝もない。
そうなるとどうなるか、、、肉になるのだ、、、
残 -
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ネタバレ競馬を走れなくなった馬の行先と、その福祉をめぐる話。著者はこの問題に関する映画を自主製作しており、その流れで本書の執筆もされている。
毎年7000頭のサラブレッドが競走馬になるために生まれてくる一方で、4000頭ほどの引退競走馬が食肉として屠畜されていると推定されるという。(このあたりの統計がちゃんとないのも一つの問題なのだろう。)屠畜を免れたとしても、馬の引退後の”余生”は長く、天寿を全うさせるのには経済的な面を含めて課題が多くある。本書では、これらの現状と、それに対する取り組みを多面的に紹介している。
牛や豚が日常的に屠畜され食されている現状にあって、なぜ馬を特別視するのかという意見は多 -
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<目次>
第1章 隆盛を極める日本競馬
第2章 馬はいかに「競走馬」になるか
第3章 生き残りを懸けて~サラブレッドの現役生活
第4章 引退後に進む道~セカンドキャリアの選択肢
第5章 生かすことだけが幸せか~家畜商という存在
第6章 命と経済~生かし続けることはなぜ難しいのか
第7章 それでも生かすために
第8章 ハンドルとエンジン~転換期のJRA
第9章 リーダーを育て、共に歩む~私たちにできること、私にできること
<内容>
競馬場の芝の美しさ、馬の肌の美しさなど、最近競馬にもちょっと興味が出てきた。そこで考えたこと。馬は何を考えて走っているのか?そして多く生産される馬 -
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競馬のために生まれたサラブレッドの一生を明らかにし、引退馬の問題提起する1冊。
本のページ数の割かれる割合からしても、サラブレッドが表舞台で活躍するのは一生のうちの本当に短い期間なのだなと驚かされ、天寿を全うできる馬はものすごく少ない事実を改めて突きつけられました。
また、競走馬を引退した先のキャリアがあった場合でも、そのキャリアの引退も必ず訪れることを、当たり前のことなのにこの本に教えられました。
JRAが競馬振興の一環とはいえ、引退馬問題に対して動いているとのことで、今の規模のままとするのかはともかく、競馬を嗜好として楽しみつつも、そこには引退馬という問題がついて回ることを忘れてはいけな