ゲレンデのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
中高生向け文学だけど、とても感動して何度も涙した作品。
田舎の中学校で、三年生のあるクラスが舞台となる。
東京から転校してきたけど、皆が憧れるような垢抜け感はなく、虫オタクで周囲から距離を置かれる吉岡さん。
夏休みの蛍の住処を綺麗にするボランティアを巡り、4人の友達ができる話。
思春期らしい様々な悩みを抱える中学生たちが、吉岡さんと話して虫に例えられることで、悩みと向き合っていける良作でした。
自分的には、ちょっと前にヨビノリたくみさんの動画で『素数ゼミ』の話を見たところだったので、そこも興味深く感じた。
中学生の数学のカリキュラムなんてもう覚えてないけど、この本を読んで13年ゼミと17年ゼミに興味を持たれた中高生の皆さんは、ぜひヨビノリたくみさんの動画を見ていただきたいですね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレコセアカアメンボ
今、わたしがいるのは、暗くて濁っていて泳ぎづらい水の中。そんな「合わない」場所でもわたしは泳げる。吉岡さんが言ってくれたとおり、それはすごいことなのかも。
でも、無理して泳ぐことはない。わたしがいる場所は、ここだけじゃない。
別の場所でも、うまくやっていけるかもしれない……。
そう思ったら、だんだんと気持ちが軽くなっていく。
この章は、自分の気持ちを正直に言えない女の子が主人公のお話です。
私も、この言葉を言った主人公と同じように相手に合わせるために自分の気持ちを押し殺して過ごしてしまうことがある気がします…
そして、そういう自分がずっと嫌いだったのですが、この「コセアカアメンボ」を読んで少し心が軽くなりました。
カブトムシ
「たまたまなんだ。たまたま、ボクも彼も男だったってだけ。それだけのことさ。まぁ、たまに祝福されないこともあるけど……」
うつむいたニックの頬に長いまつ毛が影を落とす。もしかしたら、これまでに傷つくようなことを言われた経験があるのかもしれない。
それでもニックは自分の気持ちに正直に向き合っている。
この章は、男の子に恋をしてしまった男の子と男性同士で付き合っているALTのニック先生のお話です。
私はニックと違って自分の気持ちを正直に出すことが出来ないと思うので、ニックは本当に凄いなと思います…!
私も少しずつでもいいから、自分の気持ちを正直に伝えられるようになりたいです…!
アブラゼミ
目標も将来の夢もなにもない俺だけど、セミでいったらまだ土の中にいるようなもんだよな。成虫になるそのときまで、俺の中身をじっくり埋めていこう。
この章は自分が空っぽだと思う男の子が主人公のお話です。
私も自分には何にも無いのではないかと不安になることがあるのですが、
このお話を読んで、何もないならじっくり埋めていけばいいじゃないか!と気持ちが明るくなりました! -
Posted by ブクログ
ネタバレ「夏休みのホタルのボランティアをやってくれる人」
先生の声かけに真優は少し興味を持ちつつも、目立つことなんてできるわけがないと思い手を挙げなかった。誰もが固唾を呑んでシンとしている中、手を挙げたのは虫好きで変わり者の転校生、吉岡さんだ。真優は吉岡さんと目が合った。吉岡さんがやるなら、尚更自分はできないと真優は思う。なぜなら、真優の友達グループにいる咲は吉岡さんを目の敵にしているから。案の定、お昼にグループでお弁当を食べていると、吉岡さんの話題になった。
第64回講談社児童文学新人賞佳作
第64回は豊作だという別作品の感想を読んだので、立て続けに受賞作、佳作を読みましたが、本当にそうだなと思いました。
オムニバス形式で毎話主人公が変わるけれど、同じクラスメイトの関わりがある人が主人公となるので話は全て繋がっています。
それぞれの話の中で主人公達は悩みがあり、それを乗り越えていきます。主軸になるのは虫好きの吉岡さんで、それぞれの話の主人公達は虫に見立てられます。
最後の主人公が吉岡さんです。それまで彼女以外の人目線で見る吉岡さん像とは異なり、吉岡さんにも困難や悩みがあるという、当たり前のことに改めて気付かされました。
表面上ではクラスや対人関係に問題がなさそうな人も、吉岡さんのように孤高の人、ゴーイングマイウェイに見えるような人も、その内側では悩み傷つき、人を求めている。大人の自分からすればそれらが形式美に見えてしまうところもありますが、今その時を生きている子ども達にとっては、こんなに丁寧に分かりやすく、かつ読みやすく書かれていて、きっとどれかの話には胸を打つものがあるのではないかなと思えました。
中学生のお話ですが、高学年にも薦めたい本です。 -
Posted by ブクログ
昆虫を媒介に、複雑でありながら純粋な10代の心の動きが描かれています。自分の心が中学時代にタイムスリップしたようでした。昆虫の生態と人間がこんなにもリンクしてというか、近しいものに感じられたことはありませんでした。本作が、講談社児童文学新人賞佳作入選ということに納得いきます。
色々様々に揺れ動いていたあの時代は、友達関係でちょっと悩んだこともあったけれど、とても懐かしく、キラキラしていたように思い出されます。
昆虫の挿画も素敵でした。一つの体の中にオスとメスの特徴が交ざり合ってることを『雌雄モザイク』といい、カブトムシ、クワガタ、チョウ、セミ、ハチも発見されていること、驚きでした。
悩み多き思春期のみなさんにとって勇気をもらえる一冊であり、その時代を一生懸命生きてきた大人にとっは、心洗われる一冊です。 -
Posted by ブクログ
タイトルで拒絶しないで! 本書は昆虫図鑑ではなく、中学3年生たちの青春物語なんです。虫が苦手な人も大丈夫、いじめや暴力のドロドロもなく、平易な文章で気持ちよくスルスルと読めます。
コセアカアメンボ、カブトムシ、アブラゼミ、ジャコウアゲハ、ゲンジボタル。これは各章のタイトルです。虫嫌いの方はまぁ(虫だけに)無視して!
田舎の中学校に転校してきた女子は、空気が読めない(実は不器用な)虫オタクなのでした。悩める級友たちにさりげなく寄り添い、虫の例え話から彼ら彼女らの胸の内を掘り下げていく展開です。
5人それぞれの視点で物語が進みます。それぞれの中学生ならではの苦悩を打ち明ける級友と、不器用で伝わりにくい優しさを示す虫オタ女子の対話が読みどころです。それぞれの個性の書き分けが上手く、それぞれの意識変化と成長ぶりに胸熱です。
虫オタ女子も、悩みを抱えて転校してきたのでした。つまりは「救いの神」のような扱いではないのがいいです。それに、悩める級友たちに直接的な助言を与えるのではなく、昆虫の生態の例えから解決の糸口となる気付きを与えるに留めている点が好印象です。
中学生たちの不安定さや多様な葛藤が、霧が晴れるように少しずつ解消され、最後は美しい情景とともに輝きます。押し付けのない安心と勇気をもらえる物語です。さらには、昆虫の未知な生態を含め、理科の興味・関心につながるかもしれません。
・講談社児童文学新人賞佳作
・未来屋アオハル文学賞大賞