リチャードコールズのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレオリーブ色の背景にステンドグラスのような図柄と聖書を読み上げる親娘の姿。
そんな装丁だから宗教色強めなピリピリした雰囲気を纏う物語かと思ったが、冒頭、教会の説教の場面で司祭が放った言葉。
荒野で怒れるイスラエルの民達を前にモーセが岩を打ち、奇跡の水を湧き出させ、苛立ちと乾きを鎮めた場面を模して、
「わたしたちも新たな水が流れることを、というか水を流すことを、認めようではありませんか。みなさん、わたしたちには新たなトイレが必要なのです」
ここから、教会へのトイレ設置をめぐるスモールタウンでのいざこざへ発展。
真面目で理性的で寛容、慎み深い発言の中にときに茶目っ気を含ませる、主人公で司祭のダニエル。
ダニエルが静なら、母オードリーは動。
ダニエルの代わりにとばかりに噂話に首を突っ込み情報収集。
誰にも物怖じせずに、そこまではっきり言っちゃう?とばかりにずけずけと発言する。
この母息子コンビの凸凹加減、町の人々とのやり取りにそこはかとないユーモアが散りばめられており、序盤はどちらかというとコージー感強め。
そう言われてみるとこのタイトル、かの国内ユーモアミステリがよぎりますね。
とはいえ現役の司祭さんが書いたと言うこの作品。
凡百のコージーミステリにはない、神への信仰を下地にした雰囲気が強く漂う。
教会や教区内の会議などの事務的な記述はもとより、礼拝、祈り、聖歌と切ってもきれない日常や聖書の言葉が自然に入り込んでくる感じが特徴的。
何よりダニエルの人格者然が良すぎて感服。
こんなにも自分と異なる人々を受け入れられる度量の大きさ、心の平静さはどうやったら手に入れられるのだろう。
対立に対して引き下がるわけでもなく、相手を責めるわけでもなくな切り返しは人間の成熟という観点で大変勉強になりました。
事件はこの町の一大イベント、町の名士ド・フローレス卿のお屋敷の一般公開日に起きる。
たくさんの人々をもてなした後に訪れるほっと一息の時間にド・フローレス卿のいとこアンソニーが礼拝堂で殺される。
こんな辺鄙な街では滅多に起きない殺人事件。
近くの歴史的史跡に人の立ち入った形跡があればそこもあっという間に警察に封鎖される加熱ぶり。
そんな中でやはり発生した2件目の殺人事件。
「二週間で殺人が二件もですよ。イギリスのいなかの村にしては多すぎでしょ、セント・メアリ・ミードでもかなわないわ」。。。
かの村の犯罪発生率にはそこまで詳しくはないが、それなりなのでは。。。
いやそれはともかく、チェスタトン路線なのかクリスティ路線なのかそこが揺れに揺れる感じを受けた。
ダニエルが事件に対する洞察を受ける一幕。
「キツネは多くのことを知っているが、ハリネズミは大事なことを一つだけ知っている。両方にはなれないんですね」
「おそらく、ハリネズミはキツネ的に、キツネはハリネズミ的にと心がけるべきなんだろうな。一歩下がってみたまえ、、、」
うーん、チェスタトン寄りか?
本国では第3作まで出ている模様。
続編は、邦訳されるのか!? -
Posted by ブクログ
英国の片田舎の教会で牧師を務めるダニエル。
地元の有力者ド・フローレス家とも
教会に通う住民たちともうまくつきあい
ゴシップ好きな母親と暮らしている。
ところが、教会にトイレを作りたいと言うと
賛成・反対で信者たちが二分してしまった。
そして、その中の一人がよりにもよって
教会の中で刺殺されてしまった!
なんか、この英国っぽい感じ…好みでした。
作者さん、本当に牧師さんなんだ〜。
なので細かくしきたりとか書いてくれてるのね。
母親の他にも、弟のセオは芸能界にいて
ふたりとも普通に下世話な庶民だから(笑)
ひとりダニエルだけ気苦労が絶えない。
そんなコージーなミステリでしたが
事件の動機はちょっと戦争の傷跡が絡む
せつないものでした。