宇野宮崎のレビュー一覧

  • 敏腕弁護士の不埒な盲愛に堕とされました

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    事故で恋人を亡くして以来、感情を閉ざしたまま日々を送っているフリーライターの夏乃子。
    仕事に没頭しながらも、心の奥では過去に囚われ続け、前を向けずにいました。

    そんな彼女の前に現れたのが、弁護士の黒田。
    初対面から距離の詰め方は少し強引に見えるものの、軽薄さとは無縁で、驚くほど誠実で穏やか。

    「一人で抱え込まないで、自分にも共有させてほしい」と言葉にしてくれる姿がとても心強く、
    少しずつ夏乃子の止まっていた時間を動かしていきます。

    亡くなった恋人への想い、指輪のエピソード、元恋人の両親との関係など、
    喪失を抱えたヒロインの背景は切なく、読んでいて胸が締め付けられました。

    それでも黒田は、過去を否定せず、急かすこともせず、
    「全部俺のせいにして流されてしまえばいい」と、強引さの裏に深い優しさを滲ませながら彼女を包み込みます。

    恋愛は理屈じゃない
    まさにヒーロー側の視点からそう感じさせられる物語でした。
    年齢差以上の包容力があり、ヒロインが安心して身を委ねられる相手に出会えたことが何より救いです。

    途中で思いがけない障害もあり、順風満帆とはいきませんが、
    それも含めて二人の関係性に厚みを持たせていたように思います。

    ドアマット気味だったヒロインが、愛されることで少しずつ自分を取り戻していく過程も丁寧でした。
    万人向けというよりは、
    「喪失」「再生」「重めの愛情」をじっくり味わいたい人向けの一冊。

    派手なざまぁや爽快感よりも、静かに心をほどいていくタイプの恋愛が好きな方には刺さる作品だと思います。

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    2025年12月23日