野上大樹のレビュー一覧

  • ソコレの最終便

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     終戦日直前を描いた戦争小説は多々ある。
     なぜ、もっと早く終戦にならなかったのか。
     そのタイミングで起こる悲劇が、世界各地で起きたはずだ。

     本作の舞台は満州。
     陸軍列車第四連隊の朝倉は、満州のあるものを日本に輸送するように関東軍から指令を受ける。
     それは、戦艦大和の主砲を凌駕する装甲列車、通称ソコレだった。
     昭和二十年、8月9日、列車連隊は牡丹江を出発し、8月16日のリミットを目指してソコレ九十四式の回収へ向かう。
     しかし、時同じくしてソ連が日ソ不可侵条約を破棄して満州に押し寄せていた。
     虎口でソコレを回収、鉄道橋爆破により大回りで哈爾賓、新京を経由し大連を目指す。
     その途

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    2024年08月05日
  • ソコレの最終便

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    命を惜しむな。名こそ惜しめ。
    兵隊の命を一銭五厘の価値にしか見ない関東軍幹部から、満州深部に配属された朝倉九十九は火砲列車を大連に運ぶ任を受ける。
    が、敗戦間際のロシアの侵攻を受け朝倉率いる列車隊は窮地に陥る。
    殺し殺される戦争の論理の前に現れた人道の倫理を貫く17才の雲井ほのか看護婦は、戦争の論理に抗い正しい行いで朝倉に影響を与えてゆく。
    朝倉は軍隊に対する疑念を抱える将校であり、現代の倫理と共鳴する考えを持つ人間なので読者は彼に共感を持つ。ただ、彼は軍人であり部下を率いる身分だけに、人命を軽んじる軍隊に拒否感を持ちながらも、軍命に従わざるを得ない役職であった。
    戦場を舞台に極限の環境の下で

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    2024年07月15日
  • ソコレの最終便

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    砲弾飛び交う中を駆け抜ける装甲列車と乗務する軍人らの姿を戦争冒険活劇として描いた作品。
    時は昭和20年8月9日。日ソ中立条約を破棄したソ連軍が満州国に進攻、国内が大混乱に陥る中で、陸軍大尉・朝倉九十九率いる一○一装甲列車隊「マルヒト・ソコレ」に特命が下る。それは、輸送中に空襲を受け、国境地帯の虎林駅で立ち往生している日本軍唯一の巨大列車砲を回収し、遥か彼方の大連港まで送り届けよという関東軍総司令官直々の緊急命令だった。
    タイムリミットは7日間、巨大列車砲の回収までは比較的スムーズに進んだものの、ソ連軍の素早い動きによりマルヒト・ソコレは大迂回を余儀なくされ、命をかけた危機が幾度もおとずれる。指

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    2025年01月20日
  • ソコレの最終便

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    戦争の無情を語るありがちなストーリーだが、ソコレという装甲列車の大連までの軌跡は読み応えがある。戦争物語はおもしろいと同時にどうにもおもしろいと思う気持ちが気持ちよくない。

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    2024年08月28日
  • ソコレの最終便

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    2024.12 残酷な描写の多い小説でした。作家さんがこの小説で伝えたかったのは戦争の理不尽さと残酷さだったのでしょうか。

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    2024年12月12日
  • ソコレの最終便

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    ネタバレ

     終戦間際の満州を舞台にした冒険小説。
     戦時下の惨状を描きながらも、爽やかな読後感は、凄惨極まりない戦場で失われがちな、人間本来の優しさや、正しくあろうとする足掻きを、愚直なまでに貫き通す主人公たちの姿がもたらしたものに他ならない。

     昭和20年8月9日。陸軍大尉朝倉九十九率いる一〇一走行列車隊に、日本軍の秘密兵器列車砲を回収、本土決戦に備え大連港から積み出せとの特命が下る。
     大連からの輸送船の出港のタイムリミットと、日ソ中立条約を反故にし北から迫るソ連軍。分かりやすいくらい分かりやすい、舞台設定。

     その中で、隊員たちの他、道中に加わる避難民らとの反発や理解、協同による作戦遂行のエピ

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    2024年10月18日
  • ソコレの最終便

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    装甲列車が存在していたこと自体を知らなかった。さらに終戦間際にソ連と戦いながら大連を目指す。死闘だ。
    そこに女性看護師がとても良い存在感を出している。
    8月にこそ読むべき本であった。

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    2024年09月09日